このエントリーでは、キャリアコンサルタントにとって必要な「心情を捉える能力の訓練法」について、ご紹介しています。
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心情を捉える能力を身に付け、高める。
私自身、文学部卒業であり、宗教学や、倫理学、哲学など、昨今の「文系不要論」のやり玉に挙げられるような、「不必要とされる学問」を学んだ身として、20年近くなかなか肩身の狭い思いをしてきましたが笑、最近のコロナ禍や心理人気の高まりとともに、ようやく「身の置き所」ができたように感じます。
最近特に大切だと思うものが文学の分野(現代小説や現代ノンフィクション)です。小説等にはいろんな職業・職種の主人公が登場します。小説を読むことで何十種類もの職業や職種をあたかも経験したかのように学ぶことができます。それもかなり詳しくです。働き方もいろいろで、さらに主人公の世代や性別も異なります。
職業理解・仕事理解にこれほど役立つものはありません。また主人公の仕事ぶりや姿勢、考え方、生き方等などから何十種類ものキャリアを考えることもできます。もちろん主人公を取り巻く人間関係などは複雑で、ここでも何十種類の人間関係の在り方を学ぶことができます。なによりその人の”キャリア”という視点からの事例には事欠かないからです。
(引用:キャリアコンサルティング協議会コラム)
片っ端から映画を見る、音楽を聴く、興味のなかったジャンルの本を読む、行ったことのない場所に行く、知らない人と話す……日常生活の中でそういった非日常的アクションを起こすことが疑似体験になり、「感性」は磨かれていきます。そんな日々の積み重ねによって、「引き出し」は確実に増えていきます。そうすれば、到底わからないと思っていた人のことが、少しずつわかるようになっていきますし、”気づき”が訪れて、クライアントにとってベターであろう支援策がふっと降りてきたりするのです。
(引用:キャリアコンサルティング協議会コラム)
感性を磨く:「群青」YOASOBI
このMVで表現されているのは、どのようなことか、考えてみます。
主人公は、コンテンポラリーダンサーを目指す女性です。足を怪我しながらも練習に励むが、上手くいかない。
その彼女を通して、クリエイターは何を訴えよう、伝えようとしているのか。
答えは特にありませんが、MVという「非言語表現」を通じて、クリエイターの気持ちを読み取ろうとする訓練です。
考察例
1.なぜ隕石の中に「ヒト」がいるのか。
2.なぜ隕石は「主人公の瞳の中(≒頭の中)」にあるのか。
3.なぜ隕石の衝突日は「12/28」なのか。
4.なぜ隕石はわざわざ「日本」に落ちたのか
考察サイトをチェックする
このMVは、多くの人に衝撃を与えたようで、「群青」「MV」「考察」と検索すると、非常に多くのサイトがヒットします。
例えばこんな解説サイトも。
群青MVは、いわゆる三幕構成というものを採用しています。三幕構成とは、シド・フィールドによって開発された、映画創作の設計書のようなものです。「こんな人が、あんな試練を乗り越え、どんな変化がもたらされたのか」みたいな流れに沿った物語のこと。
長編映画の制作のために開発された理論を、262秒のMVに当てはめるのはお門違いな気がしますが、実際に分析してみると、これがびっくり。しっかりと三幕構成のセオリーに従っているではありませんか(しかもプロットタイプは、強いて言うならば「ヒーローズジャーニー」)。三幕構成の理論を参考にして創作されたMVなのかもしれません。
(引用:【徹底解剖】『群青』MV
三幕構成…メモメモ。勉強になりますね。
自分が苦手な分野の作品を、敢えて観る。
時には、自分自身が苦手としている分野の映画も観る。
ホラー映画を観るときは、例えば「どうすれば『人は怖がる』のか」を考えながら観る。
恋愛映画を観るときは、「どうして、この人は恋人にこんな言動をしたのか」を考えながら観る。
【閲覧注意】「ミッドサマー」
私が去年観た映画は、胸糞グロ映画と評されることの多い「ミッドサマー」。
観るにはメンタルのタフさが要求されるというか、心が健康でないと観てはいけないような、キツイ映画です。
映像の美しさとは裏腹に、カルトに取り込まれていく主人公の心情と、カルトの手口などが生々しく描写されており、洗脳についても考えさせられます。
展開的には、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を思い出すような、そんな感じ。
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予告編だけご紹介しますが、メンタルが弱っていると、これだけでもちょっとキツいかもですね。
予告編は1分(60秒)までなら、大丈夫だと思いますが、それ以降は不穏になりますので、見ないことをおススメします。
※「それは悪夢の始まり」の音声や、「今すぐ逃げないと」と表示されたら、その先は自己責任です。
私の楽しみ方ですが、時折現れる「ルーン文字」が持つ意味なども考えながら観ています。言葉に興味関心を持っているのなら、そういう楽しみ方もアリではないでしょうか。
「生産性」と「非生産性」という「矛盾」を使いこなす
私も含め、キャリアコンサルタントの方の多くは、いわゆる「ビジネス書」を読むことが多いと思いますが、ビジネス書を毎日1冊読んでも、「感情」「心情」を汲み取る訓練にはなりません。
ビジネス書とは「利益」を上げる「メソッド」書であり、それは「感情」とは合致しないことも多々あるからです。
ビジネス書(生産性)を右手に、左手に芸術作品(非生産性)という「矛盾」を学ぶ。
それが、認知行動的「科学的アプローチ」とは真逆の、「感情的アプローチ」を身に付ける方法ではないでしょうか。
この「矛盾するアプローチ」を統合し、提供できるのが「心理職」なのかもしれません。