キャリ魂太郎です。
このエントリーでは、「公認心理師のための「発達障害」講義」という書籍をご紹介しています。
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発達障害の理解はまだまだ遅れている。
発達障害と診断される方が増えているそうです。
例えば、時間が守れない、片付けができない、重要な約束でもすっぽかしてしまう…こういった特性を持つ方が、ADHDと診断されることも珍しくなくなってきました。
また、「ドラえもん」ののび太君は、遅刻や睡眠過多、宿題などの忘れ物など、発達障害の特徴があると指摘する方もいますね。
のび太を発達障害と見るかどうかはさておき、一般的にそういった行動が多いことがよく知られていますが、こういった発達にかかわる障害は、発達障害を抱える本人ですら、正しく理解できているとは限りません。
それは、支援者の側でも同様であり、医師はもちろん、臨床心理士などですら、まだまだ理解が遅れていると感じますし、その障害の多様さからも十分な理解が得られるのに時間がかかるでしょう。
「スペクトラム」という言葉の意味
この界隈で「スペクトラム」と言えば、自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)」という言葉がまず思い浮かびますが、「スペクトラム」という言葉は英語で「連続体・分布範囲」を表します。
これまでは、「障害者」と「健常者」を明確に区分することが当然のように行われていましたが、最近では「スペクトラム」(連続体)という言葉が表すように、区分できない、連続したものと捉えるように変わりました。
ここからここまでが障害、病気、と明確に線引きできず、連続している。
つまり、グラデーションのようになっているとイメージすればよいかもしれません。
また、光彩としてのスペクトラムの意味があり、これは「どの部分が強く(個性として)打ち出されているか」が人によって違うだけ、という考え方もあると精神科医の方がお話されていました。
そのため、同じ診断名がつけられていても、その本人の生きづらさや、困難な分野は様々であり、一様に捉えられないということだと私は理解しています。
発達障害者が発達障害の診断を受けるとは限らない
発達障害者が発達障害という診断を受ければ、楽になれるか、と言えばそうとは限りません。
さまざまなスティグマ(烙印、転じて偏見などを意味する)が社会に存在しており、結婚や就職はもちろん、人間関係構築といった場面で、不利に働くのではないかという恐れがあり、その診断を受けることを躊躇する方も多数いるものと思われます。
合理的配慮は診断の有無とは関係がない
こういったスティグマを恐れるがために、診断を受けない方はもちろん、手帳を持たない方が不利に働くことも想定されます。
そのため、障害者差別解消法では、対象となる障害者の定義として、診断や手帳を求めていないし、内閣府の定めた基本方針でもその旨が下記のとおり明記されているのです。
対象となる障害者は、障害者基本法第2条第1号に規定する障害者、即ち、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」である。これは、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。)のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえている。したがって、法が対象とする障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない。
繰り返しになりますが、就職に当たって必要となる「合理的配慮」に、手帳の所持の有無は何の関係もありません。
このあたりも、学科試験対策講座でしっかりとお伝えしている部分ですね。
誰もが働きやすいような職場環境を整備する。
この視点が必要だということになります。
発達障害の理解におススメの1冊
学科試験対策としては、ボリューム的におススメできるわけではありませんが、合格後はぜひ、下記の1冊をお手元に置いて下さい。
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