キャリ魂太郎です。

このエントリーでは、公認心理師試験発表と今後のキャリアコンサルタントについて、思うところを述べています。

第1回公認心理師試験合格発表がありました。

本日、公認心理師試験の結果発表がありました。

合格者は27,876人
合格率は79.6%

となっています。

合格率が高いことは、新設国家資格試験ではよくあることですが、今後合格率が徐々に下がっていくとしても、おそらく当分の間は、合格率は50%を切らない試験になるはずです。

なぜ公認心理師の合格率は50%を切らないのか。

公認心理師試験の合格率は、当面50%を切らない、そう考える理由は、下記のとおりです。

1.受験資格制限型試験の合格率は基本的に高い。
2.臨床心理士の合格率が、おおむね50%程度である。
3.スペシャリストではなく、ゼネラリスト型資格である。

では、この3つを解説していきます。

受験資格制限型試験の合格率は基本的に高い。

受験資格制限型試験の合格率は、基本的に高くなります。

これは、合格率を絞ると「養成校からクレームが出る」からです。

それはそうですよね、キャリアコンサルタント受験生の皆さんも、合格率が低いと、まず、養成講座にクレームを言いたくなりますよね。

「ちゃんと教えているのか!」
「養成講座の意味がない!」

って。

だから、受験資格制限型の国家試験(つまり大学その他、履修科目が指定されている学校の卒業が受験資格)は、通常合格率が高めになります。

例えば、医師国家試験、看護師国家試験、ともに合格率は90%以上です。
歯科医師国家試験は60%程度にまで落ちていますが、それでも60%ですね。

薬剤師国家試験も合格率は70%程度、介護福祉士、精神保健福祉士国家試験の合格率も60%強で推移しています。

例外的なのが、社会福祉士で、30%程度ですね。

そういう意味では、養成講座制度があるキャリコン試験も、学科・実技の両科目で考えると、合格率は多少低めの試験ということになります。

臨床心理士の合格率が、おおむね50%である。

そして、ほぼ難易度的に同等レベルになっていくと思いますが、臨床心理士の一次試験合格率がおおむね60%前後です。

公認心理師試験は、全てマークシート試験であり、ゼネラリスト型試験である、臨床心理士一次試験よりも難しくなることは考えにくいため、この点からも50~60%の合格率が維持されると考えられます。

スペシャリスト型資格ではなく、ゼネラリスト型資格である。

公認心理師資格そのものが、ゼネラリスト型の資格であることは言うまでもありません。

そのため公認心理師師試験は、キャリアコンサルタント資格と同じく、まず「スタートライン」に立つ知識があるかを問うている試験となります。

下記のように、公的にも「汎用性」資格であることが明示されています。


(出典:一般財団法人日本心理研修センター)

そのため、例えば、特定の心理療法だけを突っ込んで出題することは、通常できません。

「クライエントによっては、その心理療法を扱わない」という選択も、当然にあり得るからです。

つまり、「広く浅く」知識があるかを問う試験となり、問題そのものはあまり難化しないと考えられます。

※誤解されると困りますが、キャリアコンサルタントにしろ、公認心理師にしろ、専門家であることは間違いありません。
ただ、「汎用性の高い」資格である以上、「試験問題そのもの」は、比較的広く浅くを問うものにならざるを得ないということです。
1級FP技能士や中小企業診断士、行政書士でも同様であり、問題そのものの専門性は高くありません。

試験範囲が広くて難しいという難度と、試験問題そのものが難しいという難度は別の話です。

今後も、毎年1万人の公認心理師が生まれる?

そして、一気に28,000人の「国家資格カウンセラー」が生まれたことは、特筆すべきことだと感じます。

これは、キャリコン登録者数の73.6%に上ります。

さらに、今回の受験人数は35,020人ですから、約8,000人が次回リベンジを期すということになります。

また、第1回は様子見で受験しなかった方や、都合が合わなかった方なども含めると、ほぼ同数近い、約3万人の受験人数が見込まれるのではないでしょうか。

そうなると、50%の合格率だった場合、15,000人の公認心理師が誕生し、わずか2回の試験でキャリコン登録者をほぼ上回ります。

簡単に言えば、キャリコン10万人時代の前に、公認心理師10万人時代が訪れます。

が、ここに一つ問題があります。

実は、公認心理師は「独立型」資格ではなく、臨床心理士と同じく、学校や警察、医療機関などで「勤務する」ことが見込まれている資格です。

そもそも論として、10万人の公認心理師を雇うだけの労働市場が、日本に存在しているでしょうか。

していません。

していれば、臨床心理士の給料が安い、たいていは非正規雇用である、こういったことが周知の事実とはなっていないはずです。
(一部に高額な職場があることは否定しませんが、あくまで一部です)

結果、公認心理師は、制度的に「雇用型」資格として設計されていると言われているにもかかわらず、資格を活用するという点で言えば、「独立」が選択肢に入らざるを得ません。

つまり、「心理カウンセリング(≒傾聴)主体型」のキャリアコンサルタントと猛烈にバッティングします。

公認心理師には政治団体がある。

公認心理師には、政治活動を行っている団体があります。

ざっと
日本臨床心理士会・日本心理臨床学会・日本臨床心理士資格認定協会・日本臨床心理士養成大学院協議会の4団体(臨床心理士関係4団体)
臨床心理職国家資格推進連絡協議会(臨床心理推進連)
医療心理師国家資格制度推進協議会(医療心理推進協)
日本心理諸学会連合(日心連)
が挙げられます。

(臨床心理士資格団体にとって、今回の公認心理師国家資格化が成功だったかどうかは別ですが…)

今回の公認心理師法は、これらの団体の長年の悲願だったわけですが、キャリアコンサルタントはどうでしょう。

ご存知のように「キャリアコンサルタント法」という法律はありません。

「職業能力開発促進法」の中で、位置付けられたにすぎないのが「政治団体を持たない」キャリアコンサルタントです。

厚生労働省がどちらに力を入れるか、想像に難くありません。

キャリアコンサルタントと公認心理師

最後に、ひとつ、考えてみてください。

A.1級キャリアコンサルティング技能士の行うキャリアカウンセリング
B.公認心理師の行うキャリアカウンセリング

あなたはどちらを選びますか?














もし、あなたが迷ったならば、その時点で「1級キャリアコンサルティング技能士」と「公認心理師」は同等レベルであるということになります。

そして、あなたはおそらく「キャリアコンサルタント」や「公認心理師」について、一般の方よりも詳しい可能性が高いですが、一般的な消費者・相談者からすればどうでしょう。

キャリアコンサルティング技能士1級の知名度‥‥

一般的には、ほぼゼロです。
(認定心理士のほうが、まだ高いのではないでしょうか)

国家資格試験前から、公認心理師の知名度は非常に高く、高校生でも進路の選択に入ってきます。

実は、私ですら既に、知人の塾講師を通じて「教え子(高校生)が、公認心理師になりたいと言っているが、どうすればよいか」といったキャリア相談を受けた経験があります。

今の公認心理師制度では、高校生時点での進路選択で、公認心理師になる道を選ばなければ、その後になりたいと思っても相当難しくなります。

イメージ的には薬剤師や看護師といった感じですね。

逆に「キャリアコンサルタントになりたい」という高校生がいるかと言えば、まずいないでしょう。

このように、一般論として、「キャリアコンサルタントよりも、公認心理師の方が圧倒的に知名度が高くなっていく」ことは避けられません。

さらには、公認心理師は試験がマークシートのみですので、簡単に言えば、比較的「報われる」試験です。

その逆が、実技の採点が一切ブラックボックスである、国家資格キャリアコンサルタント試験(&技能検定試験)。

このブラックボックスが敬遠されたのか、2級キャリアコンサルティング技能検定の受験者数は、最盛期から60%減少、直近第21回でも前期比17%減少しています。

2018年は「聴くだけ」時代の終わりの始まり

2018年は、「聴くだけ時代」の終わりの始まりです。

キャリアコンサルタント10万人時代が来るかは黄色信号ですが、それに加えて、公認心理師10万人時代も訪れます。

「聴くだけ」ではもはや、1級キャリアコンサルタント技能士に合格したとしても、更新ポイントニーズしかありません。

キャリアコンサルティング協議会ですら、「ワークシート型」のキャリアコンサルティング技法を作り、それを「インストラクター制度」を作ってまで、プッシュしていこうとしているのですから。

そして、1級技能士であっても、この「ワークシート型」のキャリアコンサルティング技法をSVすることはできません。

そんなこと、1級技能士面接試験で一切問われませんから。

それが、現実です。

今後、公認心理師と「同じ土俵」で勝負する、傾聴主体の「心理」カウンセリングを打ち出していくことは、非常に厳しくなっていきます。

繰り返します。

「聴くだけ時代」の終わりの始まりが2018年です。

だからこそ、「聴くだけ」ではない、「働きかける」キャリアコンサルタントになれるかどうか。

ほとんどの公認心理師が、これまで臨床心理士がメインとしてきた「学校」「医療」での「対人援助」だけを業務領域ととらえています。

その価値観があるうちに、キャリアコンサルタントであるあなたが、環境介入で評価を得られれば、そのまま「キャリアコンサルティング」ニーズの受け皿にもなれるでしょう。

あなたのキャリアビジョンがもし、「聴くだけ」のキャリアカウンセリングを中心に描いているとするなら、この「公認心理師試験結果発表」を転機ととらえ、自らを4S点検してみるのはいかがでしょうか。