キャリ魂太郎です。

このエントリーでは、外国人労働者数が過去最高を更新したというニュースや、学科試験での労働者属性に関する出題例などを解説しています。

厚生労働省が集計・発表した、外国人雇用状況届出状況のポイント

外国人雇用状況の届出書に基づく、厚生労働省の発表は下記のとおりです。

・外国人労働者数は1,460,463人で、前年同期比181,793人、14.2%の増加(平成19年に届出が義務化されて以降、過去最高を更新)
・外国人労働者を雇用する事業所数は216,348か所で、前年同期比21,753か所、11.2%の増加(平成19年に届出が義務化されて以降、過去最高を更新)
・国籍別では、中国が最も多く389,117人(外国人労働者数全体の26.6%)。次いでベトナム316,840人(同21.7%)、フィリピン164,006人(同11.2%)の順。対前年伸び率は、ベトナム(31.9%)、インドネシア(21.7%)、ネパール(18.0%)が高い。
・在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」の労働者数が276,770人で、前年同期比38,358人、16.1%の増加。また、永住者や日本人の配偶者など「身分に基づく在留資格」の労働者数は495,668人で、前年同期比36,536人、8.0%の増加などとなっている。

引用:厚生労働省

学科試験対策として考えると、本年1月の発表ですから、第11回学科試験に、この細かい数字が出題される可能性は極めて低いと考えられます。

ただ、平成31年度から試験実施回数が3回に減少し、第12回試験までの期間が長いことや、第12回試験直前に実施される平成31年度前期2級キャリアコンサルティング技能検定学科試験では、一応ざっくりと押さえておくほうが良いでしょう。

在留資格別の割合をみると、永住者や日本人配偶者など「身分に基づく在留資格」で就労されている方が50万人近くとなっており、トップになっています。

こちらも、おそらく第12回以降のキャリコン試験は2019年4月1日に施行された法律に基づいて実施されるため、在留資格別の割合はあまり意味がないかもしれません。

私が試験委員なら、こういった『数字』は受験生を混乱させることになるため、あまり出題せず、むしろ4月に施行される改正入管法の概要くらいは知っているかどうかを平成31年度試験では問いたいと考えますね。

そして、試験云々ではなく、この外国人雇用に関する論点は実務的に非常に重要なトレンドであり、今後、キャリアコンサルタントならば避けて通れない必須知識になります。

なので、↓のようなセミナーを緊急開催することにしたわけですね。

外国人労働者数が派遣労働者数を上回った?

既に引用しましたように、外国人労働者数が146万人を超えましたが、同日の日本経済新聞では、下記のように報道しています。

厚生労働省は25日、2018年10月末時点の外国人労働者が前年同期比14%増の146万463人だったと発表した。
6年連続で増え、調査開始以来初めて派遣社員の数を上回った。19年4月の改正出入国管理法の施行により、外国人労働者数は今後さらに増える可能性が高い。
国内外で人材獲得競争が激しくなるなか、受け入れ体制の整備が急務になっている。

出典:日本経済新聞

日経新聞を信用しないわけではないのですが、厚労省の発表は「外国人雇用状況の届出書」に基づくものであり、外国人雇用状況の届出書には、当然のことながら「派遣労働者数」は記載されておらず、今回も触れられていません(私が読んだ限りでは)。

下記のPDFを読んで頂ければお分かりいただけるように、派遣労働者数は直近の発表(平成29年6月1日現在で集計、平成30年3月30日発表)が約156万人なんですよ。
労働者派遣事業の平成29年6月1日現在の状況

日経新聞は、いつの、どの調査結果と比較して、「外国人労働者数が派遣労働者数を上回った」と判断したのでしょうか。

少なくとも、2018年10月末時点の派遣労働者数を正確に調査・公表している団体はないと思うのですが…

疑うわけではないのですが、数字を比較するなら、ある程度同じ期間で調査した結果でないと意味がありませんし、昨今は厚労省のデータが誤っていたことも大きなニュースになっているわけですから、報道機関もしっかりと根拠を明示していただきたいと思います。

学科試験で出題される問題例

さて、こういった労働者類型(属性)やその人数について、学科試験では下記のような出題が考えられます。

下記の選択肢のうち、正しいものはどれか。
1.派遣労働者数はパート・アルバイト労働者数よりも多い。
2.正規雇用労働者数は、非正規雇用労働者数よりも多い。
3.2018年10月末時点の外国人労働者数は、146万人であり、調査開始以来最多となった。
4.フリーターのうち、最も多いのは「夢追求型」であるため、キャリア形成などの支援は必要とされない。











パート・アルバイト労働者数は労働人口の約25%

まず、「派遣労働者数がパート・アルバイト労働者数よりも多い」と思っている方が意外と多いのですが、実は、パート・アルバイト労働者数は1414万人と労働人口の約25%を占めています。
出典:平成29年労働力調査(詳細集計) 総務省統計局

これは、日本型雇用の特徴の一つとして、女性のキャリアが出産・育児で中断することがまだまだ多く(M字カーブの底)、子どもが小学校に上がるなど、子育てが一段落した時点でパート就労を開始する女性が多いことなどが要因です。

細かい数字を覚えるのではなく、「日本型雇用の特徴」としてとらえておけばいいですね。

フリーターの類型とその割合

また、フリーターの類型のひとつである、「夢追求型」の占める割合は、労働政策研究・研修機構の下記資料によれば、1割程度であり、特にフリーター就労をされている方は教育研修などキャリア形成の機会に恵まれないことが多く、キャリア形成支援が必要とされています。
大都市の若者の就業行動と意識の変化―「第4回 若者のワークスタイル調査」より

細かいことですが、上記資料ではフリーターの類型が、これまでの「夢追求型」「モラトリアム型」「やむを得ず型」の3つから「ステップアップ型」を加えた4つになっていますね。

必要だからとは思うのですが、ステップアップ型って、夢追求型の一類型ではないでしょうかねえ…

調査や分類は「継続性」が特に大切ですから、安易に変更しないでほしいものです。


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