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従来のカウンセリングや心理療法は暗い
「従来のカウンセリングや心理療法って、なんか雰囲気暗いんだよねぇ。暗ければ暗いほどよい、笑いなんてもってのほか的勢いでやってらっしゃるところすらあるくらいですからねぇ。(中略)カウンセリング領域ではずっと、「受容」「共感」が強調されてきて、確かにそれは重要なことなんだけれども、従来モデルって、どうしてそんなにクライエントさんの「つらさ」や「大変さ」といったネガティブ感情ばかりを拾い上げるの?感情や気持ちにはいろんなものがあるはずなんだけど、選りすぐってネガティブ!だよね」
(引用:「ブリーフセラピーの極意」森俊夫 ほんの森出版)
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これは、臨床心理士としては、ブリーフセラピーの第一人者であり、東京大学医学部助教授を務められていた、森俊夫先生の言葉です。
確かに、キャリアコンサルタント養成講習でも、「ツラさ」や「不安」といった気持ちの受容、共感ばかりが強調されているように思います。
更に、この新型コロナウィルス感染症拡大の中、雇用・キャリアについての「不安」を抱えるクライエントが多いことも、この傾向に拍車をかけているのではないかと思います。
様々なアプローチを学ぶことがプロのカウンセラーの義務
一部には、「解決志向」を「自分の考えとは違う」と拒否するようなキャリアコンサルタントもいると聞きます。
諸富祥彦先生も
「お金と時間とエネルギーが許す限り、様々なアプローチを学ぶことがプロのカウンセラーとしての義務」
(引用:「カール・ロジャーズ入門 自分が”自分”になるということ」 諸富祥彦 コスモス・ライブラリー)
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と述べておられるのですが、特定の技法の「職人」になろうとしているキャリアコンサルタントが少なくないように思います。
特に、日本人は「一所懸命」と「継続は力」(さらに言えば「専門特化」)が無意識的に至上価値を持つ、内的照合枠が形成されていることがほとんどなので、「法律的アプローチ」と「心理的アプローチ」を組み合わせる人(社労士とキャリアコンサルタントのダブルライセンス等)も意外と少ないですよね。
メジャーリーグでも、大谷選手が二刀流(ピッチャー、バッター)をすることに否定的な人も少なくありません。
確かに、一つの技法を「究める」「極める」のに、何十年もかかるのは事実です。
私自身、公認心理師としてはエリクソニアンであり、ヒプノセラピストですが、15年以上学び続けてもまだまだその深奥はどこまでも広がっています。
キャリアコンサルタント試験や養成講習は、細かく分ければ1000以上、割と大きく分けても400と言われる、心理療法の「サワリ」を紹介しているに過ぎません(森田療法や内観療法等がその代表的なものですね。試験に出題されるところしか学ばないと思います)。
自分に合わない理論・療法を学ぶ
本来、カウンセリングとはポジティブであるはずです。
なぜなら「人間の可能性」を信じているはずだからです。
にもかかわらず、なぜかカウンセリングの場では受容・共感(的理解)が強調されるため、暗い面ばかりを見てしまう時間になっている。
それは、かえって問題を深刻に捉えてしまう原因の一つになっているかもしれません。
私が公認心理師の現任者講習で学んだ際に、講師の先生が「自分の幅を広げるには、自分が合わない・嫌いだと思う理論・療法を学ぶと良い」と仰っていました。
なるほど、と得心した記憶があります。
あなたも、「自分には合わない」と感じる理論・療法を学ぶことにチャレンジしてみるのはいかがでしょうか。