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河村たかし市長の「金メダルかじり」事件の本質は「ハラスメントへの理解不足」
さて、このメルマガでは、五輪の話題がありません。
理由は簡単。
私がテレビを持っていないからです。
昨年引っ越しした際、捨ててしまいました。
しかし、ネットがあるのでニュースは見ます。
あまり政治(家)の話題は扱いたくないのですが…今回はハラスメント事例の解説として取り上げたいと思います。
名古屋市の河村たかし市長のニュース。
あれは最悪のハラスメントです。
河村市長の「金メダルかじり」は「モラハラ」
ご存じない方のために、簡単に解説します。
河村市長を表敬訪問した、ソフトボール金メダリストの後藤希友投手の金メダルを、河村市長ががっつりかじったのです。
ここまでで、何が悪いのか分からない人がもしいたら…
大変恐縮ですが、現在の合否にかかわらず、キャリコンやカウンセラーを仕事にするのはおススメできません。
この問題を、コロナ感染の観点から唾液がどうとかいう人もいますが、そちらは本質的な問題とは別です。
人生の多くを費やし、それでも一握りの人しか得られない貴重なもの。
まさにその人の「これまでの人生の成果、集大成」といえるもの。
それを、傷つける。
これが「モラルハラスメント」として最悪だからです。
ネットでよく見かける相談に、「相手の趣味の取集物を勝手に捨てる配偶者」があります。
河村市長がしたことは、これと一緒。
相手の大切にしているものを毀損してはいけない。
これが分からないから、「モラルハラスメント」をするんです。
河村市長の「謝罪」は「セクハラ」
さらに河村市長は、この「金メダルかじり」への批判に対し「最大の愛情表現、迷惑をかけているならごめんなさい」と答えたそうです。
この言葉から「(職務に付随して行われる)愛情表現は、まずハラスメントと考える。」
これも理解されていないことが分かります。
表敬訪問は河村市長にとって「公務」であり、その相手に「愛情表現」などしなくていいんです。
せめて、「金メダルを目の前にして、舞い上がってしまったのか、魔が差してしまったと言えばいいのか、自分でもなぜそんなことをしでかしたのか理解できない。誠に申し訳なく、深くお詫びする」と謝罪していれば、世間の反応もまた違ったのではないでしょうか(この点から考えると、名古屋市役所には、適切な謝罪などのアドバイスができる担当者がいないんだと思います)。
河村市長の潜在意識は「相手が迷惑じゃなければハラスメントじゃない」
「愛情『表現』」とは、職務に付随して行うものではありません。
例えば、あなたが妊娠中だとしましょう。
職場で男性上司がこう言ったらどうですか?
「今日から残業しなくていい。お腹の子に何かあるといけないからね。これは私の愛情だよ」
くっそキモい。これが一般的な反応です。
「職場(職務)」では、愛情があってもそれを「表立って現す」ことをしてはいけない。
職場は仕事(ビジネス)の場です。ビジネスの場に、「愛」という「プライベート」を結びつけると、一般的には「キモい」となるんです。
キモい。つまりセクハラです。
同じ残業抑制でも、愛情表現をしなければどうでしょう。
「今日から残業しなくていい。社員の健康を守るのも会社の義務だからね」
まさに「ビジネス」ですが、「キモさ」は生まれませんよね。
「金メダルかじり」が「愛情表現」なら、「モラハラ」×「セクハラ」です。
河村市長は、自分が「セクハラ」で追い打ちをかけたこと(セカンドハラスメント)を理解していない。
だから「愛情表現。(相手が)迷惑に感じているならごめんなさい」という言葉が出てくるのです。
「相手が迷惑じゃなければハラスメントじゃないだろ?」
この考え方が、河村市長の潜在意識にあることが分かります。
つまり「やってはいけないことをしている」自覚がない。
繰り返しますが、表敬訪問相手に「愛情表現」などしなくていい。職場(職務)で愛情を「表現」する必要はない。仮に愛情があるならそれは「表に出さない」。
これが「セクハラ防止」で重要な考え方です。
河村市長がもともとそうなのか、誰かから間違ったレクチャーを受けたのか。自治体首長という権力がそうさせたのか。はたまた何かアクシデントや食生活などで、脳の一部が変質してしまってそう考えるようになったのか。
それは分かりませんが、「市民の気持ちをまず慮る」これが「市長」にとって本当に大切な基本だとすれば、今の彼は、自治体首長への能力的な適性はあるかもしれませんが、市長が最も大切にすべきものを持っていない、理解していないことになります。
職業適性と「その仕事ができるか」は別問題
能力適性はあっても、本当に大切なものを持っていない、理解していない。
これは、キャリアコンサルタントでもあり得ます。
クライエントの悩みを受容・共感することはできる。
クライエントの行動変容支援もできる。
しかし、守秘義務は守れず、Twitterで毎日「今日のクライエント」をツイートする。
こういうキャリアコンサルタントだって、たくさんいます。
能力的な適性があるからと言って、その職の仕事理解ができているかどうかは別問題なんですね。