このエントリーでは、解決志向傾聴アプローチと問題志向傾聴アプローチの共通点と相違点について解説しています。

解決志向傾聴アプローチと問題志向傾聴アプローチの共通点

解決志向傾聴アプローチと問題志向傾聴アプローチの共通点は、どちらも「人間に対する絶対的な信頼」であり、「人間には、困難を克服するリソースが備わっている」という信念です。

私は、発達障害も含めて、治らない精神疾患や障害など一つもないと、今本気で思っています。

(ブリーフセラピーの極意:森俊夫著 ほんの森出版)

ブリーフセラピーの第一人者であった森俊夫先生は、このように述べています。

そして、ブリーフセラピストをはじめとする、エリクソニアンは、みんなそう思っているはずです。

なぜなら、クライエントではなく、「支援者ができないと思ったことはできない」が我々エリクソニアンのベースだからです。

つまり、クライエントが諦めたときに治療が失敗となるのではなく、支援者が諦めたときに治療が失敗となる。

これが、エリクソニアンに共通する信念です。

私はロジャリアンではないので、ロジャリアンの考え方は分かりませんが、この点については恐らく同じなのではないでしょうか。

解決志向傾聴アプローチと問題志向傾聴アプローチの相違点

そして、解決志向傾聴アプローチと問題志向傾聴アプローチの相違点は多岐にわたり、ほぼ真逆になります。

真逆・矛盾するアプローチをどう統合するか

この「真逆」「矛盾」したアプローチをどう統合し、使いこなしていくか。

これが、解決志向傾聴アプローチを学ぶキャリアコンサルタントにとって、非常に重要なテーマの一つです。

特に、養成講習機関で「質問してはダメ」「オウム返しをしなさい」と口酸っぱく指導された方ほど、「あの指導は何だったのか」と思われるのではないでしょうか。

それは、養成講習機関での指導が間違いなのではなく、「【各々の養成講習機関が解釈した傾聴(ロジャーズ)】的キャリアコンサルティング」を指導している、というだけのことです。

元々、ロジャリアンは排他的なため、他学派を否定するのがデフォルトです。

創始者であるロジャーズ自身が、指示的カウンセリングについて、アポなしでいきなりウィリアムソンに論争を挑んでいたりするわけで、そのフォロワーであるロジャリアンが他派に対して否定的なのは伝統・血脈とでも言うべき姿勢ですね。

例えば平木典子先生は、まさにそのウィリアムソンに師事されましたが、このように述べられています。

私は1960年代の初期にミネソタ大学でカウンセリングの訓練を受けて、指導教授も先輩もいない日本に帰国した。新米カウンセラーとしての体験の始まりはも大げさに言えば、未開発の学生相談との悪戦苦闘と、ロジェリアンとの対決でもあった。
 (中略)
ロジェリアンとの対決とは、私の書いたものからは想像できない人も多いかと思う。しかし、私は帰国してからしばらく、カウンセリング界では時代遅れの異端者であった。

(引用:日本カウンセリング学会リレーエッセイ

エリクソンは、ここでも真逆。

「それぞれの個性を生かして、好きにやりなさい。」です笑

「好きにやりなさい」。

この言葉にも、エリクソンの「信頼」が込められているように感じます。

あなたのやり方で良い、つまりエリクソンは、支援者であるあなたを「信頼」しているんですね。

だから、自分のやり方を他人に押し付けるようなことはしなかった。

(ちなみに私は「オウム返し」を否定していますが、それは「試験対策」として否定しているのであって、合格したら好きにやって下さいとお伝えしています。)

逆に言えば、あなたが「好きにやるべき『何か』を持っているか」それが問われる。

それに対するアンサーが、解決志向傾聴アプローチの一番難しいところかもしれません。

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