キャリ魂太郎です。

このエントリーでは、「キャリアコンサルタント」として商工会議所から依頼される講師になる講座をご説明しています。

セルフ・キャリアドックの終了によるダメージ

2019年1月19日、キャリ魂塾のキャリアコンサルタント実務講座として開講した、「90日で商工会議所に呼ばれる講師になる講座」が修了しました。

やはり、このキャリアコンサルタントという資格の大きな弱点として、「しっかりと活用するビジョンが描けていないと、使いこなせない」というものがあります。

私の養成講座同期の場合、「ハローワークで勧められた」という理由で資格取得されていた方も複数名いらっしゃいましたが、当時はセルフ・キャリアドック助成金業務がまだあったため、養成講座で社労士と知り合うなどすれば、仕事になった方も少なくないと思います。(実際私も、何名かの方にセルフ・キャリアドックの仕事をご紹介しました)

が、助成金終了後は当然そういったご紹介がなくなるわけで、当時のキャリアコンサルタント資格ニーズから考えても、助成金業務を見込んで資格取得された方は大きなダメージを受けたのではないでしょうか。

国(=厚労省)に頼ったキャリアを描いていると、このように政策の変更によって、もろくも崩れ去ってしまいます。

やはり「自力で稼ぐ」ビジネスモデルが無ければ、安定して収入を得ることはできません。

しかし、口で言うのは簡単ですが、実際にキャリアコンサルタントが安定して稼げるビジネスモデルを「対人援助」に求めるとなると、極めて厳しいのが現実です。

なぜならば、セルフ・キャリアドック、そして国の進めるキャリアコンサルタント制度には大きな欠点があるからです。

セルフ・キャリアドック、キャリアコンサルタント制度の大きな欠点とは?

セルフ・キャリアドックどころか、キャリアコンサルタント制度には、大きな欠点があります。

その1つが、「二重関係を前提としている」という点です。

ハッキリ言いましょう。

「社内キャリアコンサルタントに、本当のことを話せる従業員はほとんどいない」

ということです。

あなたが相談者の立場で考えてみてください。

上司や人事部部長が「キャリアコンサルタント試験に合格したよ、資格を取ったよ、だからあなたのキャリアの悩み、相談してね!」

と言ってきたところで、素直に心を開いて相談できますか?

あなたが、行政機関を含む公的機関や、上場企業、教育・研究機関といった「従業員のキャリア形成支援」に理解がある企業等にお勤めならば、相談できる可能性は決して低くはないでしょう。

しかし、残念なことに、世の中には「助成金目当て」でセルフ・キャリアドック制度を導入している企業も少なくありません。

つまり、企業内キャリアコンサルタントは、「従業員の不信感をどう払しょくするか」という大きな課題を抱えています。

この点について、私とある中小企業診断士の方が、木村周先生に直接質問をしたところ、回答は「個々のキャリアコンサルタントが、国家資格者として信頼を得る」という回答でした。

このキャリアコンサルタント業界では、ほとんど神様とも言える木村先生ですが、私は、その考え方では残念ながら広まらないと感じています。

加えて、当日木村周先生と同席されていた下村英雄労働政策研究・研修機構(JILPT)研究員は、下記にご説明するように、あり得ないレポートを公表しています。

下村英雄労働政策研究・研修機構(JILPT)研究員のあり得ないキャリアコンサルタント制度提言

もし仮に、学科試験でこのような問題が出題されたら、あなたはどの選択肢を正解と判断しますか?

第89回労働政策フォーラム(2017年2月3日)新時代のキャリアコンサルタント-その使命と責務-で提言された「企業内キャリアコンサルタントの在り方」として誤っているものを選べ。

1.企業内キャリアコンサルタントは、公正中立であり、また相談者の自己決定権を尊重するため、相談者の意思を方向付けしない。
2.日本の企業内キャリアカウンセリングは、人材を社内に押しとどめる方向で支援する。
3.企業内キャリアコンサルタントは、転出の相談があった場合、意志確認を徹底し、引き止める方向で話を進める。
4.企業内キャリアコンサルタントは、ニューカマー(新卒者・中途入社者)の受け入れにあたっても重要な役割を担う。

誤っている選択肢は…










1です。

論より証拠、下記の資料(画像)にしっかりと書いてあります。

出典:キャリアコンサルティングと社会正義 労働政策研究・研修機構 キャリア支援部門 下村英雄

私たちはみんな「キャリアコンサルタントは相談者を誘導してはいけない」と学んだはずだし、それが正しいのは「自己決定権の尊重」がラポール形成にとって何より大切だからです。

このような「人材を社内に押しとどめる方向」で支援されると知っていれば、誰が社内キャリアコンサルタントに相談するでしょうか。

下村研究員は、先述の二重関係の問題について、「日本だけでなく、その他の国でもキャリアカウンセラーの二重関係は問題と捉えられている」と発言されていましたが、少なくとも日本では完全に「二重関係を前提として企業のために」キャリアコンサルティングを行うことが機能的に期待されていると、当の下村研究員が公表しているわけです。

企業内キャリアコンサルタントとして、従業員のキャリア形成やキャリア選択の悩みに応えるべく、地道に頑張っておられるキャリアコンサルタントの方がたくさんおられます。

そして、そういった企業内キャリアコンサルタントの活動が社内で受け入れられるためには、「キャリアコンサルタントが国家資格者として公正である」ことや「経営者の正しい理解」が絶対的に必要であり、これを支援するのが国や協議会その他関係団体の行うべきことですが、残念ながら今のところ「後ろから弾を打つ」ようなことばかりしているように感じます。

特に、この「企業に向いた」キャリアコンサルタントの在り方は、相談者を裏切るものであり、個々のキャリアコンサルタントの現場での地道な活動を阻害するものとして、取り下げて頂きたいと考えています。

商工会議所は中小企業にとって最高のパートナー

ただ、企業内キャリアコンサルタントが公正中立であったとしても、企業内という構造・制度的に二重関係が生じてしまうわけですから、社内でセルフ・キャリアドックを適正に行っていくには、セルフ・キャリアドックを担うキャリアコンサルタントを外部に求めるほうが望ましいと私は考えています。

そしてそれは、キャリアコンサルタントも「営業」を行わなければならないということです。

その営業を行うにあたって、最も頼れるパートナーが、商工会議所です。

商工会議所では、中小企業経営者の方や、各部門責任者・担当者、その他従業員の方に向けた各種講座を開講しています。

こういった講座のメニューの一つとして、従業員のキャリア形成を考える時間を組み込んだセミナーなどを企画、ご提案することで、キャリアコンサルタントの正しい活用を知ってもらえるのではないでしょうか。

前置きがめっちゃ長くなりましたが、こういったことを色々考えて、商工会議所講師をご提案しているわけですね。

大好評!90日で商工会議所に呼ばれるキャリアコンサルタントになる方法:大阪開講決定!

そして、この商工会議所の開催する講座に「講師として」招聘される方法論の第一人者が、「90日で商工会議所からよばれる講師になる方法」を執筆された、東川仁先生です。

キャリ魂塾では、この東川仁先生をお招きし、1月19日に東京にて「キャリアコンサルタント」として商工会議所によばれる講師になるための講座を開講しましたが、関東以外にお住いの方からも、大きな反響を頂いており、この度大阪でも開講を決定いたしました。

詳細は下記バナーをクリックすると、ページが移動しますのでそちらで…。

キャリアコンサルタントが制度に対して建設的な批判を行えるよう、実技試験の透明化を。

私はキャリアコンサルタントのみで収入を得ているわけではなく、協議会その他、一切のキャリアコンサルタント関係各団体からも収入を得ていません。

なので、誰に対しても自分の考えをハッキリと表明します。

木村先生や下村研究員を尊敬していることと、制度上の問題点をどう考えているかは当然切り離して考えなければならないし、木村先生も下村研究員も私と同じく「キャリアコンサルタント制度がインフラとして社会に根付くこと」を考えているわけですから、ここで喧々諤々の議論が発生することは当然です。

そしてその在り方こそが、在職者及び求職者から信頼される、独立した専門家としての在り方と考えています。

(弁護士会なども、弁護士会の方向性に関係なく、個々の弁護士の方が様々に意見表明されていますよね)

しかし、多くの(というかほとんどの)キャリアコンサルタントが、きちんと名前を出して国や協議会にモノを言えない状況です。

その最も大きな原因は、多くのキャリアコンサルタント受験生が、そしてキャリアコンサルタント試験合格者が、2級、1級技能士を目指すという構造、そして「実技試験の採点基準が不透明であること」ではないでしょうか。

試験制度やキャリアコンサルタント制度にモノを言いたい方は本当にたくさんいらっしゃると思います。

しかし、「名前を出すと、試験機関に名前を憶えられて、採点で不利にされるのでは…」

そんな風に思ってしまうのは、受験生心理から考えれば致し方ないことです。

(特にJCDAは、試験に関する疑義は名前を書いて郵送で、という強烈なプレッシャーをかけてきていますからね…)

キャリアコンサルタント(及び技能士)試験で、論述や面接試験があるのは、非常に素晴らしいことだと思います。

しかし、その試験制度自体が、キャリアコンサルタント制度の健全な発展を阻害していることもまた事実として存在するわけです。

これらが改まることは、当面は難しいでしょう。

だからこそ、キャリアコンサルタントは「自ら稼ぐ」という気概をもって、キャリアビジョンを描いて頂ければと考えています。

先般、1級キャリアコンサルティング技能士の上に、SVという在り方が公表されたことも記憶に新しいところです。

キャリ魂塾は、国の施策や関係団体に翻弄される、凧のようなキャリアコンサルタントではなく、どのような風の中でも、しっかりと自力で飛べる、鳥のようなキャリアコンサルタントの在り方を、しっかりと支援していきます。



なぜいきなり「燃えよ剣」かというと、司馬遼太郎が近藤勇と土方歳三の在り方を、凧と鳥に例えたからです笑