理想のライフスタイルを実現する、キャリ魂塾のキャリ魂太郎です。
このエントリーでは、「コミュニケーションはどのように構築されるか」について、またその理解のもとに「アプローチを検討する」ことを解説しています。
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同じ言葉でも、与える理解は異なる。
私たちは、無意識的に、「同じ言葉でも表現方法によって、相手に与える影響が異なる」ことを知っています。
例えば、
「わかってるから!」
という言葉の意味するところは「私は理解しています」ではなく、
「黙っていて下さい」
です。
このように、言葉はその表現方法(投げかけ方)で、複数の意味を持ち、その意味するところを正確に受け止められるかどうかは、相手次第ということになります。
(なので、発達障害などの場合、「文字通りにしか意味を受け取れない」ということが問題になります)
・声の調子
・提示される単語の順序(倒置法などによる意味付け)
・削除(主語を書かない等)
・応答の時間
などなど、多くの要因が言葉を構成し、その意味や強調される部分が変わるということになります。
「声の調子が変われば、それが一つの語彙となって、言葉によるコミュニケーションを実際に変えることができる」
と言ったのは、ミルトン・エリクソンです。
そして、言葉にボディランゲージ(態度)が伴うことで、その意味するところは複雑化し、受け手の意識と無意識は、混乱することもあります。
その最も不幸な例が、「ダブル・バインド」による精神疾患です。
これは、グレゴリー・ベイトソンによって明らかにされましたが、人は「ダブル・バインド」を仕掛けられることにより、精神的に病んでしまう可能性が高いことが明らかになっています。
この場合のダブル・バインドは「やる気がないなら帰れ!」という言葉が例として挙げられます。
これは、言葉としては「帰れ」という命令(指示)がありますが、この命令に従うと、自分は「やる気がない」ということを肯定してしまいます。
また、発話者の意図が「帰れ」であるにもかかわらず、その意味するところは「帰るな」ということが明らかです。
つまり、「帰れと言われているが、帰ることによって、(やる気はあっても)やる気がないと評価される上に、本当は「帰るな」という意図が込められている」ため、「帰れない」。
知っていてこの言葉を使うのは、卑怯であり姑息であり、職位等が上位であるならばむしろ控えるべき言葉です。
知らないなら、上位者としては勉強不足です。
なぜなら、こういったコミュニケーションは、不健全だからです。
本当に帰っていいと思っているなら、
「やる気があるのはわかるけれど、今日はもう疲れているだろうから、帰ってゆっくり休んで、気分一新してまた明日がんばろうか」
と伝えるべきです。
もっと頑張ってほしいと思っているなら
「もしかしたら、もう帰りたいと思っているかもしれないけれど、ここは基礎になるところだからな。今日のうちにしっかりとマスターしておかないと、明日からの研修でもっと苦しくなってしまうぞ。もうひと頑張しておけば、次の論点が楽になるし、少し休憩してからでいいから、もう少しやろうな。ほら、飲み物買ってきてやるから、何がいい?」
という感じでしょうか。
カウンセリング(=傾聴)だけでは不十分である。
そして、不健全なコミュニケーションをしてくる上司の下で働いている場合、どれだけ相談者自身をカウンセリングをしたところで意味はありません。
その問題の原因は、当然上司だからです。
なので、こういった場合はキャリアコンサルタント業界では「環境介入」といわれますが、上司へのコミュニケーション指導が必要になります。
また、直属の上司だけではなく、社風(環境)の問題かもしれません。
この場合、家族療法的なシステムズアプローチや、社内でのSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)が求められるケースも考えられます。
そもそも、人は環境や人と相互作用している存在ですから、「対個人」のカウンセリングですべての問題が解決すると考えることは、明らかに誤りです。
そう考えると、キャリアコンサルタント学科試験の出題傾向が変わっていっているのも、方向性があるのかもしれません。