理想のライフスタイルを実現する、キャリ魂塾のキャリ魂太郎です。

このエントリーでは、エビデンス・ベイスド・アプローチと傾聴による自己実現を考察しています。

キャリアコンサルタント業界は、根拠を必要としない業界である。

今回のエントリーは、非常に大事なことなのですが、あまりキャリコン業界では意識されていないことをお伝えします。

あなたが目指し、または今いるキャリアコンサルタントという「キャリアコンサルティング」を業とする人々で構成される世界は、とても不思議な世界です。

何が不思議かというと、さまざまな主張に「根拠」が求められないのです。

例えば、「この薬を飲むと、認知症が治るよ」というと、普通の方は「その根拠は?」と尋ねられるのではないでしょうか。

「この株を買うと儲かりますよ」と言われたら、「なぜそう思うの?」と質問しますよね。

「自動車で踏切を渡るときは一旦停止」するのは、法的根拠があります。

キャリ魂塾の講座について言えば、合格率や受講生の感想が「講座の質」の根拠になるから掲載しているわけで、単に自画自賛しているわけではありません。

逆に言えば、合格率や受講生の感想を掲載しない講座は、「根拠」がないということになります。

しかし、キャリアコンサルタント業界では、「この技法を使うと若年者の離職防止に役立つよ」という主張に対して、「その根拠は?」とは誰も尋ねないのです。

キャリアコンサルティング協議会は、中高年、女性、若年者に対するキャリアコンサルティング「技法」を開発し、研修を行っていますが、その「技法」が成果を上げたという根拠は見当たりません(というか、「これから皆さんで作っていって、よりよくしていってほしい」と言われたわけですが…(*_*;))

これは別に批判とかそういうレベルの話ですらありません。

「根拠のないものを技法として販売することが許される業界」が国家資格者で構成されるって不思議だなと思っているわけです。

心理療法の中でもっとも根拠があるのは、認知行動療法である。

心理療法の世界で言えば、もっとも根拠があるとされるのは、認知行動療法です。

また、認知行動療法を構成する重要な理論は、当然「行動療法」です。

行動療法とは、「見えるものから見えないモノを推測する」療法でした。

遅刻癖を治したいというクライエントに対して、

・平均して、毎月何回遅刻するか

という「目に見える」数字を確認し

・毎月の遅刻回数を〇回以内にする。

という目標を設定します。

そのために、「前日の行動を記録する」ことで、「遅刻した日の前日の行動」と「時間通り出勤できた日の前日の行動」の差異から、遅刻する原因・間に合う原因が浮かび上がってきます。

そして、このアプローチによって遅刻癖が改善した人が、全体の〇割いる、そして遅刻癖のある人に多いのは、前日に〇〇という行動をする人だ、だから前日の〇〇をしないようなアプローチをしよう。

という「臨床研究」に基づいたアプローチになります。

(ちなみに、これは私がオリジナルで書いているので、厳密に言えば違うという研究者の方もいるかもしれませんが、分かりやすく説明するということでご容赦ください。)

だからこそ、根拠を重視する欧米で急速に広がり、支持されているんですね。

来談者中心療法の根底思想にあるのは「信頼」である。

認知行動療法にも、傾聴は必要です。

しかし、傾聴だけでは限界があるから、認知行動療法を含め、多種多様な療法が生まれているわけです。

(欧米でも傾聴で十分である、傾聴だけにすべきといった傾聴原理主義の方も当然います)

ロジャーズは来談者中心療法の根底に「人間の本質」への「信頼」を置いています。

「人間の本質」とは、マズローも言ったように「自己実現欲求」であり「人間は本来調和を好み、他人と親和を求め、自分の可能性を広げる」という欲求です。

しかし、1990年代以降、マズローもロジャーズも知りえなかったツールを、我々は手にしました。

それが、インターネットです。

インターネットという匿名性の高い空間で、安心・安全な立場に置かれたとき、人はどう発達したでしょうか。

そう、「攻撃性」を発揮したのです。

攻撃により相手よりも上の立場であろうとする。

これが今よく言われる「マウントを取る」という行動です。

Twitterや知恵袋など、様々な情報発信を見ていると、非常に多くの方が間違った内容での発信を行っています。

私も、これを訂正したくなることが多々あります。

そして、訂正するときはこのブログやTwitterのように、「自分を明らかにして」訂正を求めたり、意見を述べたりします。

しかし、これが匿名に守られたときどうなるか。

攻撃性が発揮され、「誹謗中傷」になるのです。

キャリアコンサルタントは心理支援をどう捉えるか

ロジャーズ、マズローは、人間の自己実現欲求を定義しましたが、その自己実現欲求はエビデンスに基づいているというよりは、「思想」であり「哲学・倫理学」と言えるものです。

マズローの自己実現欲求への批判も当然あります。

自己実現欲求があるというのは、科学的な検証が困難であり、先に述べたような「思想」の範疇だからです。

さて、もう一度問いかけます。

我々は、国家資格者、プロフェッショナルとして、

「根拠のないものへの信頼」をスタートにしていいのでしょうか。

これを否定したのが「科学」であり「西洋医学」であり、心理学の科学モデルのスタートです。

科学的根拠、つまり「エビデンス(エビデンスにも信頼性の段階がありますが)」に基づかない知見は、全て「疑似科学」として扱われます。

来談者中心療法・傾聴による態度は、カウンセラーだけではなく、支援者が持つべき態度とされます。

態度を身に付けたその次に考えるべきことは、「食べて寝るだけでいい。毎日詩を書いてTwitterに投稿するだけでいい。植物のような穏やかな人生を送りたい」という相談者の「自己実現欲求」に、キャリアコンサルティングは何ができるのか、キャリアコンサルタントはどう対応するのか。

答は一人一人違うはずだし、国家資格者として自分で出さなければいけないはずです。