理想のライフスタイルを実現する、キャリ魂塾のキャリ魂太郎です。

このエントリーでは、「エビデンスがないアプローチ」を指導・提供することについて、問題提起を行っています。

エビデンスのない療法を提供するのは、平成で終わろう。

残念ながら、キャリアコンサルタント養成講習の中には、論文の一本も書かれておらず、エビデンスのない「アプローチ(や技法)」を教えているものがあります。

また、そのエビデンスのないアプローチに傾倒しているキャリアコンサルタントも多数いるように感じられます。

例えば、キャリアコンサルタントとクライエントの話す割合は「2:8」や「3:7」というのも、「その話す比率にすれば、(治療)効果が上がる」ということについてのエビデンスはありません(あれば教えて下さい)。

私は、法律畑出身ということもあり、元々「根拠」がない理論や技法に対して懐疑的なのですが、心理支援の世界でも「根拠に基づかない心理療法の提供」がなされていることは少なくないようです。

この現状について、筑波大学人間系心理学域教授である、原田隆之先生が「エビデンスのない技法」について述べられている一節をご紹介したいと思います。

かつて、「心理療法には効果がある」と疑いもせずに信じていた時代があった。

それは、1つには大学や学会で権威ある先生から習ったことや、教科書に書いてあることは正しいとナイーブに信じ込んでいたからであろう。

また1つには、日々の臨床活動のなかで、目の前のクライアントが良くなるのを見て、それが「論より証拠」であったのだろう。

しかし、これらはいずれもエビデンスではない。

どれだけ高名な権威の意見であろうと、データに基づいていないものは「ただの意見」にすぎない。

教科書に書いてあることは、必ずしも「最新」のことばかりではないし、データを無視した記述も多い。

また、自分の臨床経験によって「確かにこの療法には効果がある」と実感したとしても、それは単なる主観にすぎず、そのようなものに頼ることは危険である。

なぜなら、都合のよい事例ばかりを記憶していて、効果がみられなかった事例を忘れていたり、あるいは「効果が見られないのはクライアントのモチベーションが低かったからだ」などと都合の良い理由付けをすることもあるからだ。

そしてさらに、エビデンスのない方法を実施することを下記のように厳しく批判しています。

エビデンスのない方法、効果の実証されていない方法をクライアントに実施することは人体実験と同じであり、「ヘルシンキ宣言」をはじめ、医療や臨床の倫理綱領では厳しく禁じられている

引用:公認心理師技法ガイド 文光堂

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この「公認心理師技法ガイド」は、対人援助を行うキャリアコンサルタントにとっても必携の一冊であると感じます。

エビデンスがあるということ

エビデンスがあるということは、簡単に言えば「効果があると言えるだけの科学的な根拠がある」ということです。

あなたの個人的な考え方は、もしかしたら「科学で人の心は測れない」と思っているかもしれません。

それは、「あなたがそう思っている」だけならば良いのですが、クライエントにあなたの考えを押し付けてはいけないのは当然のことです。

エビデンスのないアプローチを行うということ

例えばあなたが、ある心の病気を患っているとしましょう。

毎日ツラいので、病院に行くことにしました。

そこで、医師が、

「科学的にはこのA薬を投薬すべきであり、臨床試験の結果もこのA薬が最も優れています。しかし、私はこれまでの経験から、個人的にこの臨床試験を経ていないこのB薬の効果を信じていますし、実際にこちらのB薬が効いたという方も多いので、B薬をあなたに使用します」

と言ったら、あなたはB薬を受け入れますか?

これはあくまで例え話です。

医療では、臨床試験を経ていない薬を処方されることはありません。

しかし、キャリアコンサルタントの世界では、患者にA薬を知らせることなくB薬を与えるような行為が、半ば当たり前になっているように感じます。

というか、B薬しか持っていない(持とうとしない)キャリアコンサルタントが多数いるようにすら感じます。

私は、平成28年度の国家資格化のときから、この風潮・傾向を批判してきました。(黙殺されていますが)

ネットで情報発信している多くのキャリアコンサルタントが、エビデンスがない技法を、「やっぱりこの技法は凄いと改めて実感」などと発信していたからです。

先の引用でもお伝えしたように、

自分の臨床経験によって「確かにこの療法には効果がある」と実感したとしても、それは単なる主観にすぎず、そのようなものに頼ることは危険である。

と述べられていることを、しっかりと受け止めなければなりません。

また、クライエントが、時間と費用を使っている以上、効果が科学的に証明されており、長時間よりも短時間で効果がある(費用が抑えられる)アプローチを提供するのは、専門家として当然の姿勢です。

ロジャーズ自身は「三条件」について補足している。

私は、「教科書(テキスト)」を信用していません。

それは、先ほど述べたように、「法律畑」出身だからです。

別に、私が意地悪い人間地というわけではなく、単純に「教科書は古いことがあり、法改正や最新の判例に対応していないことがある」のが当然だからです。

だから、毎年必ず最新のテキストを買うし、法律についてはネットで最新の条文に当たります。

(そうすると、あの木村本ですら、間違いがあることに気づきます。)

私をふくめ法律畑の方にとっては、「教科書とは間違っている可能性のあるもの」というのが、おそらく共通認識でしょう。

だからこそ、私は心理療法についても、その正しさに「根拠」を求めるというスタンスなんですね。

では、キャリアコンサルタント試験受験生、そして合格者の全員がまず間違いなく学んだであろう、ロジャーズの「治療的人格変容の必要十分条件」について、ロジャーズは完璧なものとして修正等は一切行わなかったのでしょうか?

実はそうではありません。

ロジャーズのカウンセリングは, 最初 「非指示的カウンセリング (non-directive counseling)」 と呼ばれ, やがて 「来談者中心療法 (client-centered therapy)」 に名を変え,そして1974年以降は 「クライエント (来談者)」 や 「セラピー (治療)」 という言葉も取り,「人間中心のアプローチ (person-centered approach)」 と呼ばれるようになった。

こうした名称の変更にもかかわらず, 彼の基本的仮設として保持され続けているのは,個人には本来自己実現への力が内在しており (ロジャーズの大前提),その個人が, ある促進的な心理的風土にさらされる時には (カウンセリングにおける中核条件の研究),その個人に建設的な人格変容が起こる (「十全に機能する人間」 の研究),という命題である。

この 「個人に建設的な人格変容をもたらす, ある促進的な心理的風土」 に関するロジャーズの代表的な研究が, 1957年の 「治療的人格変容の必要十分条件 (The necessary andsufficient conditions of therapeutic personality change)」 という論文である。

そこで提示された6つの条件の中の 「無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard)」「自己一致あるいは純粋性 (congruence or genuineness) 」 そして 「共感的理解(empathic understanding)」 は, 「カウンセラーの三条件 (あるいは, 中核条件)」 と呼ばれ, 以後, この 「三条件」 をめぐって多くの研究者たちが膨大な量の実証研究を産みだすこととなる。

しかし, ロジャーズ自身は, この 「三条件」 について, 最晩年のインタヴューの中で,次のように語っている。

「今まで私の本では, あの三つの基本条件 (自己一致, 無条件の肯定的関心, 共感的理解) をあまりにも強調し過ぎていたのではないかと, 今では思いたくなっている。 おそらくセラピーにとって本当の意味で最も必要な要素は, これら三つの条件の縁 (edge) の周辺にある何か, 言い換えれば, 私という人間が, 非常にくっきりと, 見ればすぐわかるような形でプレゼンスする, つまり, まさにそこに存在するところにあるのではないか」 と。

ロジャーズが最晩年にたどりついた境地は, 「人間には本来自己実現への力が内在している」 という人間観に基づきつつ, その個人に, 「プレゼンス」という言葉で表現したくなるような特質を持った心理的風土を, カウンセラーが提供することの重要性であった。

中略

…相手の言葉が, その人自身にとってどんな意味を持つかを, 自分自身に正しく理解させようとすることなどほとんどない。

その理由は, 理解することが実は危険をはらんだ行為だからであると私は思う。

他人を本当に理解しようとすれば, その理解によって自分自身の方が変わってしまうかもしれないのである

引用:来談者中心療法の本質探求への一試論―薬に頼らない精神科医の実践から来談者中心療法の意義を照らしだす―上嶋洋一

ロジャーズは、「理解することが実は危険をはらんだ行為」であるとまで述べています。

それは「他人を本当に理解しようとすれば, その理解によって自分自身の方が変わってしまうかもしれないのである」という言葉で説明されています。

例えば、認知能力に不安のある高齢者が自動車を運転することの是非や、死刑の問題…

ロジャーズですら、「自分自身の方が変わってしまう」危険性、つまり影響を受けてしまう危険性について述べているわけです。

あなたの考える「クライエントの十全な発達」と「クライエントの考える十全な発達」が一致している可能性も、実際には思っているよりも低いはずです。

傾聴を教えるのであれば、ここまで教えるべきだと私は思います。

キャリコンの常識と心理支援界隈の常識

私は、催眠という一般的には怪しいと思われ、またキャリアコンサルタント界隈ではまず知られることのないアプローチを使用することがあります。

しかし、催眠はフロイトの登場以前から世界的に多数の臨床研究があり、その効果も限界もほぼ明らかにされています。

簡単に言えば、「多くの心理療法のなかでも、比較的研究が進んでいるアプローチ」であり、「エビデンスが豊富」なため、他の心理療法とも組み合わせるなど幅広く活用されているアプローチと言えます。

このように「キャリアコンサルタント養成講習で使用される教科書・指導される常識」と「心理支援界隈の常識」は、大きく異なる点があります。

こういった、「キャリアコンサルタント業界」の大勢を占める考え方とは異なる考え方があるということを、知っておいて頂きたいと思います。

キャリアコンサルタントは、多種多様なアプローチを持つべきである

私がずっとお伝えしているのは、「傾聴」は態度であり、基礎であるということです。

その「傾聴」という態度・基礎があって、はじめてラポールが生まれ、相談者が前向きな変容への支援を求め・受け入れるようになっていきます。

そのとき、「次のカード」を持っていなければ、せっかくのラポールも壊れてしまうかもしれません。

その次のカードが、「情報提供」できる知識であったり、「認知行動療法」のようなアプローチであったりするわけです。

だからこそ、協議会も「ワークシート」を使った技法を研修として提供しているのかなと思います。

傾聴を基礎とし、情報提供もできる、心理支援もできる。

更に言えば、「傾聴の限界」を知っている。

これが、キャリ魂塾が開塾当初より訴えている「新世代キャリアコンサルタント」の在り方です。

キャリアコンサルタント試験合格後に学びたい心理支援アンケート

キャリ魂塾では「キャリアコンサルタント試験合格後に学びたい心理支援」について、アンケートを行っています。

結果は4月中旬に公開いたしますので、お楽しみに!

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