キャリ魂太郎です。

このエントリーでは、無料でのキャリアコンサルティングについて、独占禁止法上の不当廉売行為に該当するかを考えてみました。

一般論として、キャリアコンサルティングは無料で提供されている。

まず、一般論としてですが、このキャリアコンサルティング業界では、ほとんど全てのキャリアコンサルティングが、「無料」で提供されています。

例を挙げると

・ハローワークでの職業相談
・一般企業での人事又はEAP的に行われるキャリアコンサルティング
・人材ビジネス企業でのキャリアコンサルティング
・NPO法人などで行われているキャリアコンサルティング
・大学その他教育機関に在籍する学生に対してのキャリアコンサルティング

です。

無料キャリアコンサルティングが当然であることが、独立キャリアコンサルタントが食えない理由でもある。

例えば、日本全国どこに行っても、ハローワークがありますから、ハローワークでキャリアコンサルティングが無料で受けられるわけです。

(私の最寄りのハローワークでは、キャリア・インサイトも無料です。)

これが、「(対人援助メインの)独立キャリアコンサルタントが食えない」理由の一つです。

なぜ、無料で受けられるものを、わざわざ有料(しかも高額)で受けなければならないのか。

クライエントをひとりの消費者の立場で考えたとき、そうなるのは当たり前です。

厳密には、就職支援≒キャリアコンサルティング ですが、そういった理解をクライエントに求めるのはあまりにも酷です。

現在の無料キャリアコンサルティングの問題点

しかし、上述した無料キャリアコンサルティングは、大きな問題を抱えています。

それは、これら無料キャリアコンサルティングは全て「二重関係(多重関係)」が生じているということです。

一般企業では、上司がキャリアコンサルタントだった場合、部下は本当の意味で心を開いて安心して話せるでしょうか。

人材ビジネス企業のキャリアコンサルタントは、職業紹介実績(売上)を考えずにキャリアコンサルティングができるでしょうか。

ハローワークの職員にも「評価」があります。

つまり、こういった「無料キャリアコンサルティング」は、二重関係問題の観点から言えば、残念ですが、アウトです。

だからこそ、キャリアコンサルタント倫理綱領では「努める」という努力義務にしかなっていないのです。

キャリアコンサルタントが、心理職としての専門性を高めれば高めるほど、この二重関係問題は避けて通れません。

しかし、もはやこの二重関係問題を解決することは、ほぼ不可能です。

この点からも、キャリアコンサルタントは「心理職」ではないことになりますね。

そもそも無料でのキャリアコンサルティングは可能なのか?

また、一般的な独立キャリアコンサルタント(つまり私のような業務スタイル)で、無料キャリアコンサルティングを行う場合、これが独占禁止法上の不当廉売に該当するかどうかも確認しなければならない点です。

(こういう考え方を先にするのは、「行政」書士的な思考ですね。)

不当廉売とは

不当廉売とは下記に該当するものとなります。

・正当な理由がないのに商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給する行為
・その他不当に商品又は役務を低い対価で供給する行為であって、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの。

出典:公正取引委員会

公正取引委員会にも確認しましたが、いくつかのパターンの無料キャリアコンサルティング事業について、不当廉売となる可能性が高いものがありました。

仮に、無料キャリアコンサルティングが不当廉売と指摘された場合、信用失墜行為となる可能性がありますので、無料キャリアコンサルティングを事業としてお考えの方は、事前に公正取引委員会にご確認ください。

国や公的機関がやっているから間違いはない、こともない。

無料キャリアコンサルティングに制度上の問題点(二重関係・不当廉売)があると考える方は、やはり心理畑や法務畑からの参入者に多いようです。

そして、国や公的機関がやっているから大丈夫、間違いはないと考えるのは危険です。

弁護士、税理士、行政書士、社労士、司法書士…

私が行政書士として独立したのは、平成13年(2001年)だったわけですが、その当時は各士業団体(〇〇士会等)が定める、報酬額があったのです。

(建設業許可が月に1件あれば、1か月は暮らせるな…などと甘い夢を見ていたものです)

それが、平成13年10月、下記のように公表されました。

第2 資格者団体の主要な活動についての独占禁止法上の考え方
1 報酬に関する活動について
 事業者が供給する商品又は役務の価格は、事業者の競争手段として最も重要なものであり、事業者団体が構成事業者の供給する商品又は役務の価格を制限することは、独占禁止法上問題となる。

出典:公正取引委員会

私が開業したらこれですよ。士業の大競争時代の始まりです。泣けますね。

(しかし、これは、弁護士(会)ですら「独占禁止法を理解していなかった」ということなんでしょうか。)

このように、公的な機関がやっているから正しい、と思考停止していてはいけないんです。

その他、あなたの記憶に新しいところでは、今や雇用保険の高年齢雇用継続給付ですら、同一労働同一賃金という流れの中で、その在り方が問われているわけです。

専門家として、無料キャリアコンサルティングの是非について、あなたも考えてみてくださいね。