キャリ魂太郎です。
このエントリーでは、犯罪被害者支援と聴かないことについて解説しています。
犯罪被害者支援としてできること。
実は、昨年から犯罪被害者支援に取り組んでいます。
例えば、通勤電車の中で痴漢にあったとしましょう。
その痴漢がきっかけでPTSDやウツになってしまったら?
社労士の方、社労士受験中の方はご存知のように、そもそも精神疾患での労災認定のハードルは、いわゆるケガよりもけっこう高いんです。
理屈としては、ケガは目に見えますし、原因がハッキリしているからですね。
加えて、「通勤災害」です。
そして「第三者行為」によるものです。
痴漢の場合に限らず、犯罪行為は加害者が捕まるとは限りません。
また、労災制度の制定趣旨に沿うかという、制度的な問題もあります。
簡単に言えば、通勤していれば、ほぼ誰でも自動車事故に遭遇する可能性があります。
しかし、性被害などのケースでは「特定個人」を対象にしている(好意など)ことも少なくありません。
これは「通常、通勤という行為に内在する危険」とは考えづらい(ので、保険で補償するべき問題ではない)とされるんですね。
こういう風に書くと、労災って冷たいと思われるかもしれませんが、労災的には、保険料は会社が全額負担していることもありますので、制度趣旨にそぐわないこと、そして、「特定個人を対象にした加害行為」の場合は、その加害者から保障してもらってくださいということになるんです。
このように、制度的には複雑な問題が絡むため、本来なら労災が受けられる場合でも、受けられなくなっていることもあるのではないか、というのが私の場合のスタートです。
話せない、だから聴かない。
さて、ロゴ画像でもご承知のとおり、私は男性です。
外見の性と内面の性も一致しています。
であれば、女性の方が私に性的被害の支援を求めるでしょうか。
通常、求めません。
なぜなら、「被害内容を話さないといけない」からです。
このハードルはやはり、同性であっても相当高いのではないでしょうか。
異性である私に話す方は、まあ5%もいれば良い方だと思います。
でも、「話さなくてよい」としたらどうでしょう。
話さなくてよい理由が2つあります。それは、
1.詳細を聴くのは警察、医療機関の業務であり、被害の詳細については(かかわり方にもよりますが)基本的に知る必要がない。
2.聴かない心理支援がある。
この2つです。
1.については、警察や医療機関で話したような詳細を、また一から社労士にも話さなければならないと誤解されている方もいるかもしれません。
しかし、社労士が知りたいのは、「(通勤)労災の要件を満たすかどうか」であり、被害の詳細は知る必要がありません。
(ただし、労働基準監督署の調査は警察、医療機関とは別に行われるため、この調査では再度お話して頂くことがあります(私は立ち合いません)。)
2.については、これは例えばEMDRやEFT、TFT、ヒプノセラピーといった、「話を聴く必要がない」心理支援メニューもあるからです。
何でも話してくださいね、が逆に負担になる。
専門家だろうが心理職だろうが、どこまで行っても他人という考え方は、一つの事実です。
また、「傾聴する」ことで逆にPTSDやパニックが起こるかもしれません。
だから、「聴かない」というメニューを加えているわけですね。
そして、「聴かない」からこそ構築できるラポールもあるんです。
例えば、親という、ある意味では最高のラポールがある存在ですら、「どうしたの?」「何があったの?」とどれだけ優しく問いかけても、「ほっといて」「なんでもない」といった言葉が返ってくることは珍しくありません。
そういうとき、親はどうするのが良いのでしょうか。
ひとつの答えは、無理に「聴かない」ということですよね。
親だから、子どもを信用しているから、できる判断です。
では、クライエントと支援者の関係に当てはめればどうなるでしょうか。
私の場合、クライエントに「安心して頂く」ために、聴かないんです。