キャリ魂太郎です。
このエントリーでは、「心理支援」を行うにあたって、最初に知っておくべき「心理カウンセリング」「心理療法」「臨床心理学」の違いについて述べています。
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「キャリアコンサルタント」が「心理カウンセラー」を兼務するために。
キャリアコンサルタントを目指した理由について話を伺うと、「心理カウンセラー」の資格を検討したが民間資格しかなく、国家資格としてはキャリアコンサルタントだけだったのでキャリアコンサルタントを目指した、という方が少なくありません。
また「心理カウンセリング」を学ぶのに、臨床心理士ではハードルが高く、産業カウンセラーとキャリアコンサルタントを検討した結果、キャリアコンサルタントを選んだ、という方もいらっしゃるかと思います。
確かに、キャリアコンサルタントは「キャリアコンサルティング」を行うにあたって「心理支援」の技法を数多く取り入れていますが、このブログでもお伝えしているように、「心理職」ではないため、心理支援のベースとなる知識についての誤解が多いように感じます。
このエントリーでは、そういった誤解を招く原因のひとつである、「心理カウンセリング」「心理療法」「臨床心理学」について、その違いを確認しておきたいと思います。
心理カウンセリング
まず、心理カウンセリングです。
心理カウンセリングは、
人間の成長力を信頼し、カウンセラーの人間性と様々な領域に共通する心理支援の基本技法を重視する。
出典:公認心理師技法ガイド 文光堂
となります。
もともと人間に備わっているリソースを活用するものであり、カウンセラーの「態度」など、心理支援の基礎・基本に基づく支援を指します。
いわゆる「傾聴」、「マイクロカウンセリング技法」、「来談者中心療法」がこの部分と考えて良いかと思います。
心理療法
心理療法は、現在400を超える技法があると言われます。
特定の学派の理論モデルに基づく心理支援の技法を重視し、学派ごとの教育訓練を前提とする。
出典:公認心理師技法ガイド 文光堂
「心理カウンセリング」という基礎(技法)に基づき、更に個別の学派が形成した理論モデルを活用した心理支援であり、実施には当然「教育訓練」が必要となります。
言い方を変えると、心理カウンセリングは当然身に付けていると考えられる一般的知識であり、心理療法はその一般的知識の上に構築する、専門知識でありスキルです。
例えば、「傾聴」をいくら行っても、PTSDに効果がないことも当然ありえます。
この場合に、EMDR(眼球運動における脱感作と再処理法)を行う、などのケースが該当します。
臨床心理学
そして「臨床心理学」は
心理学としての実証性と専門性に基づき、客観的データに基づくアセスメントと、有効性の認められた心理支援の技法を用いた介入を重視する。
出典:公認心理師技法ガイド 文光堂
エビデンスと専門性を基本とし、その上でアセスメントに基づいて、どの心理支援を行うかを決定するという「介入手順」を学ぶものです。
「介入手順」には、単なる知識や技法以外にも、多職種連携や職業倫理といった「専門職」としての在り方が含まれます。
心理カウンセラーが学ぶべき知識
一般的に、心理カウンセラーがまず学ぶべきは心理カウンセリングの知識と技法ということになります。
つまり、キャリアコンサルタント養成講習で学ぶ「傾聴」は基本であり、当然のことながら「全て」ではありません。
このようなことをわざわざ繰り返し述べなければならないのが、現在のキャリアコンサルタント業界の課題です。
毎回、受講生の方から「傾聴が全てである」「傾聴ができればあとは相談者が自発的に変容する」という、一種の「傾聴信仰」が一部のキャリアコンサルタント養成講習で行われているとの情報を頂いています。
それは2級、1級キャリアコンサルティング技能検定という熟練・指導者レベルが集う場ですら、「傾聴」ができているかどうかを評価している現状では、致し方ないことなのかもしれません。
しかし、このようなある意味「バイエルから離れないピアノ指導」のような現状が許されるのも、キャリアコンサルタントが「心理支援をメインとする職業ではない」からです。
逆に、心理支援がしたいのであれば、傾聴という基礎の上に積むべき「心理療法」の知識、スキルが当然必要になります。
更新講習では、こういった「心理療法」を行っている団体もありますので、心理支援を行いたい方は、そういった講習を選ぶのも一つの方法です。
昨日下記エントリーでご紹介した、「公認心理師技法ガイド」を読むと、気になる技法が見つかるかもしれません。
この「公認心理師技法ガイド」、今のところ、2019年に購入した書籍の中では一番おススメです。
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