このエントリーでは、最近出題が難化傾向である、ホールのキャリア理論について解説しています。
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ホールのキャリア理論
ホールの理論:キャリアは他者との関係の中で互いに学び合うことで形成されていくとする「関係性アプローチ」。
➡ホールは、キャリアは他者との関係において、相互に学びあう中で発達していくとして、関係性アプローチの立場から新たに「プロティアン・キャリア」の概念を提唱した。
ホールによるキャリアの定義:「キャリアとは、生涯にわたる期間において、仕事に関する諸経験や諸活動と結びついており、個人的に知覚された一連の態度や行動である」
変化の激しい現代においては、依存的ではなく、独立的でもない、相互依存的な人間関係の中で学び続けることによって「変幻自在なキャリア(プロティアン・キャリア)」を築いていくことができるとする。
ホールによる「キャリア」
① キャリアとは、成功や失敗を意味するのではなく、「早い」(昇進)や「遅い」(昇進)を意味するものでもない。
② キャリアにおける成功や失敗は、他者によってではなく、本人によって評価される。
③ キャリアは行動と態度から構成される。
④ キャリアを捉える際には、主観的なキャリアと客観的なキャリアを考慮する必要がある。
⑤ キャリアはプロセスであり、仕事に関する経験の連続である。
キャリアの主観的側面を強調
産業社会の構造的変化により、かつてのような雇用の安定を前提とした心理的契約に代わって、貢献と利益による短期的な契約が台頭してきた。
➡「プロティアンなキャリア契約」
このような状況の中では、個人も組織内での上昇を前提としたキャリア形成ばかりを望むのではなく、個人の仕事における「心理的成功」を目指す「自己志向的なキャリア」を望むようになってきていると捉える。
プロティアン・キャリア
組織ではなく個人によって形成され、その人の欲求に見合うようにその都度方向転換される変幻自在なキャリアであり、下記の4つの特徴を持つ。
① キャリアは組織ではなく、個人によって管理される。
② キャリアは生涯を通じた経験、スキル、学習、転機、アイデンティティの変化の連続である。
③ キャリア上の年数は、年齢に関係なく重要である。
④ 発達とは、継続的な学習、自己志向的、関係的であり、仕事のチャレンジにおいて見いだされる。
職務満足をキャリアと直接結びつけた研究
ホールらは、心理的成功と失敗感に基礎を置いた組織キャリア開発モデルを提案した。
① 自己概念、キャリア・コミットメント、自尊感情の増大は、適切なキャリア目標の達成をもたらす。
② 初職の職務評価、成功感が、その後数年のキャリア・コミットメント、職業的行動、成功を決める
③ ある地位からほかの地位への移動は、その個人の自己概念、満足及び仕事に対する態度の顕著な変化となって完成される。
※キャリア・コミットメントとは、仕事に対する(組織に対する)愛着の態度や心理的距離の概念
【参考書籍】
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