このエントリーでは、キャリアコンサルタント学科試験対策として、高齢期の基礎理論のうち、心理学的加齢理論を解説しています。

高齢期の基礎理論:概要

高齢期の基礎理論のベースとして、暦年齢が加算されていくとともに

1.生物学的側面の変化
2.社会的側面の変化

という2つの変化が生じます。

これが「高齢者の心理」に大きな影響を及ぼす要因となるため、これらに対する「適応方略(理論)」を検討し、認知の変容(「心理的加齢」)を図ることになります。

生物学的側面で言えば、運動機能の低下などがありますが、例えばこの運動機能の低下に対して「自動車運転免許の返納」という、社会参画を制限される事象が発生します。

こういった事象に対して、どのような「適応方略」を検討することで、個々の高齢者の認知の変容(心理的加齢)を図るかを考える。これが高齢期のクライエント支援です。

心理学的加齢理論

適応方略(理論)としては、心理学的加齢理論と社会学的加齢理論の2つを検討します(医学モデルではないため)。

このうち、心理学的加齢理論として取り上げられる理論に

・選択最適化補償理論(SOC理論)
・老年的超越理論
・社会情動的選択性理論

などがあります。

選択最適化補償理論(SOC理論)

米国の心理学者、ポール・バルテスによる理論です。

バルテスは、アルトゥール・ルービンシュタインという、89歳まで現役で活躍したピアニストを例に、この理論を説明しています。

選択

体力の低下に対して、演奏曲をこれまでより減らす(選択する)。

最適化

演奏曲を減らした分、1曲の練習にかける時間を増やし、クオリティを高める(最適化)。

補償

身体機能の低下により、ピアノの速弾きが難しくなってくる。
この問題を解決するために、全体的に遅く弾き、速弾きが求められるパートは可能な限り速弾きすることで、この問題をカバー(補償)する。

老年的超越理論

スウェーデンの社会学者、トレンスタムによる理論です。

老年的超越とは、物質世界(現実)から精神世界への認識の加齢変化と定義され、その変化は社会的側面・自己の側面・宇宙意識の側面という3側面で生じると想定されています。この3側面の変化に伴い幸福感が高くなるとされます。

社会関係の側面

社会常識に捉われなくなり、知恵を獲得する。

自己の側面

若さに伴う自己中心性や自尊心が、よい意味で低下する。

宇宙的意識の側面

思考の中に時間や空間の壁がなくなり、意識が自由に過去や未来と行き来するようになる。

社会情動的選択性理論

米国の心理学者、 カーステンセンによる理論で、Wikipediaによれば下記のように説明されています。

生涯にわたるモチベーションについての理論である。この理論によれば、人生の残り時間が少なくなると、人々は通常、強い選択を行うようになり、自分の持つ資源を、情動的に満足できるような目標や活動に注ぎ込むようになる。
こうしたモチベーションの変化は、認知の過程にも影響を及ぼす。加齢により、注意や記憶の過程で、ネガティブな情報よりもポジティブな情報を好んで取り入れるようになる(これはポジティブ効果と呼ばれている)。

(Wikipedia:社会情動的選択性理論

情動的に満足する、つまり未来志向というよりは現在的、知識的というよりは感情的なゴールを目指すことが述べられており、これはプランドハプンスタンス理論が高齢者に響かないケースの説明になります。

超高齢化社会だからこそ求められるキャリアコンサルタントに

2020年、日本における女性の半数が50歳を超えた今、60代以降のキャリアを考えるニーズが増加していることもあり、これらの理論は、キャリアコンサルタント学科試験でも出題される可能性が高まっています(SOC理論とバルデスは、2級学科試験で出題済み)。

高齢者や中年期の発達理論やキャリア理論については、現行能力体系で学ばない理論についても、学習を進めて行く必要があるように感じます。

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