資格で理想のライフスタイルを実現する、キャリ魂塾のキャリ魂太郎です。


このエントリーでは、キャリアコンサルタントが負う「法律上の義務と責任」である「善管注意義務」について、解説しています。

「善管注意義務」とは

キャリアコンサルタントに限らず、全ての人は法律行為を行うに際して一定の義務や責任を負っています。

これは例えば「権利の濫用は認められない」(宇奈月温泉事件)や「権利の上に眠れるものは保護に値せず」(時効についての基本的な考え方)に表れています。

このような考え方の1つに「善管注意義務」、つまり「善良なる管理者としての注意義務」があります。

簡単に言えば、「人はそれぞれの年齢や社会的な立場に応じ、一般的に期待される、『善良な管理者』としての『注意義務』がある」ということです。

例を挙げると

・教師が生徒のテストの点数を管理する際に払う注意は、教師ではない一般の人よりも厳重であるべき
・弁護士が依頼人の秘密を管理する際に払う注意は、弁護士ではない一般の人よりも厳重であるべき
・許可を得て行う産業廃棄物処理業者が、委託された産業廃棄物を処理する工程は、一般の人がゴミを処分するよりも厳重であるべき

このような考え方であると理解して頂ければと思います。

キャリアコンサルタントと善管注意義務

キャリアコンサルタントも、国家資格者という意味では、例で挙げた弁護士と同じです。

そのため、キャリアコンサルタントがその業務を行うにあたっては、「国家資格者としての善管注意義務」が要求されることになります。

簡単に言えば「一般人ではなく、国家資格者(キャリアコンサルタント)として期待しうる義務を果たしているかどうか」が重要になるわけですね。

では、具体的にどういった点で問題となり得るのか、2つほど例を挙げて見ていきます。

1.守秘義務違反

キャリアコンサルタントの守秘義務違反に際しては、一般の人が「守秘義務」として考えるよりも高度なレベルの守秘義務が要求される。

➡氏名だけ隠しておけば特定されないだろう、というような情報の発信の仕方では個人情報保護(守秘義務遂行)として不十分

2.通報義務違反

キャリアコンサルタントは国家資格者であり、一般の人よりも法令順守が求められる。

➡DV防止法、高齢者虐待防止法、いじめ防止法、児童虐待防止法といった、各種の法律に基づく通報義務の遂行が求められる。
法的義務:「刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。」(高齢者虐待防止法等)
➡通報を怠った場合、信用失墜行為となる可能性がある。

この善管注意義務については、キャリ魂塾のテキストだけでなく、「キャリアコンサルティング理論と実際」(通称「木村本」)にも掲載されていますので、木村本(5訂版)をお持ちの方はP149~をご確認下さい。

国家資格者は、善管注意義務違反を厳しく問われる

国家資格者がその業務に際して訴訟になった場合、この「善管注意義務」を遵守していたかどうかは、一般の人よりも厳しく問われることになります。

裁判所は通常、「国家資格者」としての責務を「専門家としての責務」と捉え、一般の人よりも厳しくて当然と考えるからです。

一般の人よりも厳しい責務を果たすからこそ、国家資格者は「名称独占」「業務独占」などの特権(「名称独占」を特権と考える方は少ないとは思いますが)が与えられているんですね。

しかし、キャリアコンサルタントの方だけに限りませんが、Twitterを始めとするSNSでの情報発信は、相談者の名前を出さなければ良いだろう、と考えておられるかのようなツイートも散見されます。

特に、キャリアコンサルタントの守秘義務違反は「親告罪」ではありません(非親告罪)。

非親告罪ですから、相談者本人以外からも守秘義務違反で訴えられる可能性があります。

学科試験でも、今後難化が進めば、労働法だけではなく「民法の理解」が問われる出題も考えられます(例えば「目標設定後の『契約』」など、一部既に出題されている論点もあります。)

キャリ魂塾の学科試験対策講座では、「実務上必須の知識」でありながら、養成講習では割愛されることが少なくない論点についてもしっかりと解説を行っています。

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