キャリアコンサルタントの欠格事由:職業能力開発促進法及び施行規則の改正

成年被後見人等を資格・職種・業務等から一律に排除する規定等(欠格条項)について、心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査し、各制度ごとに必要な能力の有無を判断する規定(個別審査規定)へと適正化するため、関係法律の規定を整備することとなりました。

その関連で、職業能力開発促進法のキャリアコンサルタント登録規定(第30条の19第2項)も下記のように改正されています。

職業能力開発促進法の改正

(キャリアコンサルタントの登録)
第30条の19 キャリアコンサルタント試験に合格した者は、厚生労働省に備えるキャリアコンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けて、キャリアコンサルタントとなることができる。

2 次の各号のいずれかに該当する者は、前項の登録を受けることができない。

改正前:一 成年被後見人又は被保佐人

改正後:一 心身の故障によりキャリアコンサルタントの業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの

「心身の故障によりキャリアコンサルタント業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定める者」とは?

この「心身の故障によりキャリアコンサルタント業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定める者」は、下記のように定められています。

精神の機能の障害によりキャリアコンサルタントの業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者

具体的な精神疾患や障害の記載はありません。

当然と言えば当然ですが、同じ病名、障がいを抱えていても、一人一人の症状の程度は異なるため、そのつど適切な業務遂行が可能かどうかを判断することになるのだと思います。

実務上の留意点

今回の改正に関連して、実務的に留意しておきたいのは、職業能力開発促進法施行規則第48条の23です。

(業務廃止等の報告)
キャリアコンサルタントがその業務を廃止し、死亡し、又は法第三十条の十九第二項各号のいずれかに該当するに至つたときは、当該キャリアコンサルタント、その相続人又はその法定代理人は、遅滞なく、その旨を、書面により、厚生労働大臣に報告しなければならない。(職業能力開発促進法施行規則 第四十八条の二十三)

自らが「精神の機能の障害によりキャリアコンサルタントの業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない」かどうかは、通常は医師の診断によって決定されることになると思います。

が、今回の改正が最初に記載したように「年被後見人等を資格・職種・業務等から一律に排除する規定等(欠格条項)を設けている各制度について、心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査し、各制度ごとに必要な能力の有無を判断する規定(個別審査規定)へと適正化する」ことを目的とするのであれば、この「個別的、実質的に審査」がなされるはずです。

またその上で、再審査、不服申立ての制度なども今後整備されていくのだろうと思います。

学科試験に出題される可能性は高いとは言えませんが、キャリアコンサルタントとして、認知症等も含めて「精神の機能の障害」とキャリアについて、どのようなアプローチ、サポートがあるのか、チェックしておくと良いのではないでしょうか。