日本一書くキャリコン キャリ魂太郎です。
このエントリーでは、キャリアコンサルタント学科試験受験生の最も多い悩みランキングの第2位である、「理論が覚えられない」というお悩みについて解説をしています。
Contents
第2位:理論が覚えられない。
この1年半、900名を超える受験生から、講座のアンケートをはじめとして、キャリアコンサルタント試験に関するお悩みを聴いてきました。
その結果、学科試験のお悩み第2位は、
理論が覚えられない。
というお悩みになっています。
確かに、法律と同じく、この理論についても養成講座ではあまり突っ込んでやりませんね。
とはいえ、そもそも学科試験について教えられる講師はあまり多くないのが現状です。
(養成講座以外でも受験対策講座はありますが、どこも「面接ロールプレイ試験」対策講座ばかりでしょう?)
法律と同じく、キャリア・ガイダンス理論や各種心理療法の理論も、養成講座では手薄になりがちです。
そのため、学科試験に苦手意識を持つ受験生は多く、第4回以降、国家資格キャリアコンサルタント試験では
「学科試験の方が実技試験よりも合格率が低くなったまま」
なんですね。
特に、第4回学科試験ショックは大きく、
JCDA受験生の学科試験合格率は19.7%と、20%を切ってしまいました。
養成講座には、元々養成力がなかった!?
実は養成講座は、旧標準キャリアコンサルタント試験のころからずっと…
学科・実技それぞれの合格率は50%前後なんですよ。
その証拠がコチラ。
つまり、元々この程度なんです。養成講座の養成力って。
「自ら養成し、自らが作成した試験を実施していたのに、学科、実技それぞれ50%前後しか合格させられない」
これが国家資格化前の養成講座の実態です。
そうでなければ、合格者数を50%前後に調整しているのかなぁ…。
「(旧)キャリアコンサルタント試験は、絶対評価試験」
と言われてましたから、そんなことはないですよね。
そう、講師の言葉どおり「絶対評価試験」ならば、間違いなく、養成講座の養成力は、50%前後しか合格させられない程度なんです。
当時民間試験だったキャリアコンサルタント試験に学科・実技それぞれ50%。
単純に言えば25%しか合格させられないのが、養成講座とは名ばかりの、養成講座です。
あの難関と言われる、司法試験ですら合格率22%(2017年)だというのに。
これは、悪口でも誹謗中傷でもなんでもなく単なる事実です。
そして、キャリ魂塾塾生は、第4回学科試験を除けば、概ね合格率90%以上です。
おっと、このままだと養成講座制度にどれだけ問題があるかという話になってしまいますので、この辺で。
理論が覚えられない理由
さて、養成講座の養成力の低さを嘆いても、試験日は近づいてきます。
心を落ち着けて、なぜ、「理論が覚えられないのか」を考えてみましょう。
私は、受験生が理論で苦しむ理由は
「実務と関連付けられていない」
からだと考えています。
つまり、養成講座の講師は「傾聴」だけしか使えなかったり、そもそも実務経験がないために、受講生の記憶に残るような教え方ができないからです。
(あ、また養成講座が原因に…)
グレゴリー・ベイトソンとダブルバインド
例えば、グレゴリー・ベイトソンという研究者は、「ダブルバインド」な状況に置かれると
どんな人でも統合失調症になりうる
という理論を提唱しています。
この場合のバインドには下記の条件があります。
1.対象者に禁止命令とそれと矛盾するメタ的な禁止命令が繰り返し提示されている。
2.対象者がその矛盾した命令から逃れられない状況下である。
ここで養成講座のテキストは終わっちゃうわけですね。
だから分からない。
実務にリンクしていないからです。
なので、キャリ魂塾の講義では、こうなります。
一例をあげると
上司が部下にいつも
「おい、長時間労働になるだろ?残業するな!」
と言っているとしましょう。
しかし、「業績を下げても良い」とは一言も言っていません。
これでは、単に「残業するな」と指示しているだけです。
そして、仕事の分量や取り組み方が何も変わらなければ、どちらかしか達成できません。
こういった状況下で、部下には住宅ローンなどがあって辞められないとしましょう。
これが、「働くな(業績は下げるな)」という矛盾した命令があり、そこから逃れられない(辞められない)環境です。
つまり、皆さんの職場にこのような「ダブルバインド」があれば、メンタル不調の方が発生する可能性が非常に高いということになります。
そして、この例で大事なことは、
「〇時間の残業時間そのものにメンタル不調者が発生する原因があるわけではない」
ということなんです。
この理論によれば、残業時間の長短・有無に関わらず、この上司の意識が変わらなければ、メンタル不調の方が発生するリスクは変わらないのです。
傾聴には限界がある
養成講座では、「傾聴」を金科玉条のように押し付け、「質問するな」「助言するな」と指導します。
(論理療法だって養成講座で教えているのに、「反論」をしようものなら、即否定ですよね)
しかし「傾聴」は、専門家として「当然の前提となるべき姿勢・態度」です。
あなたが「傾聴しか使わない、使えない」というのでは、この相談者を支援するにはリファーしかないのです。
なぜなら、このケースは、「傾聴」でどうにかすべきことではないからです。
だって、「相談者が悪いのではない」のだから。
ここで「相談者に変化を促す」ことは、相談者を受容しているのではなく、未熟なカウンセラーによる傾聴の押し付けです。
単に覚えるのではなく、実務に関連付けて考える
いかがでしょうか。
このように「理論」を「実務と関連付けて」考えると、無味乾燥だと思っていた理論が、生きた学びとなって、実務で役立つ知識に変わりませんか?
そして何よりも、「理論」がなければ「見立て」は単なる「勘」にすぎず、非常に不安定なものとなってしまいます。
理論についてお悩みの方にとって、理論と実務が遠いものではなく、密接にリンクしているんだと感じて頂ければ幸いです。
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