このエントリーでは、キャリコン学科試験に出題されている、ソーシャルサポートについて解説しています。

ソーシャルサポート

ソーシャルサポートとは他者から得られる有形・無形のサポートであり、4種類のモデルがある。

ソーシャルサポートの 4つのモデル

① 情緒的サポート:つらい気持ちをなだめたり、落ち着かせるようなサポート
② 評価的サポート:がんばったり、努力したことに対する支持や是認。「がんばったね」、「よくや ったね」などと声をかけるサポート
③ 道具的サポート:困っていることを直接的に助けるサポート
④ 情報的サポート:その人が求めている情報や、その人にとって価値ある情報を伝えるサポート

ソーシャルサポートの効果

ソーシャルサポートの効果は2種類のモデルで表される。
①直接効果のモデル:ソーシャルサポートが常に良好な効果を持つと考えられる。
➡ソーシャルサポートはストレッサーの多寡に関わらず、ソーシャルサポートを多く受けているほど精神的健康が高いというモデル。

②緩衝効果のモデル:ストレッサーが多いときにソーシャルサポートが効果を発揮すると考えられる。
➡ストレッサーが少ないときはソーシャルサポートの多寡によって精神的健康に差がないが、ストレッサーが多いときソーシャルサポートを多く受けているほど精神的健康が保たれるというモデル。

ソーシャルスキル・トレーニング

ソーシャルスキル・トレーニング(socialskillstraining)は、対人行動の障害やつまずきの原因を、ソーシャルスキルの欠如(問題の原因は対人場面で必要な様々なスキル(技術)が足りないために起きる)と考える。

不適切な行動を修正し、必要なソーシャルスキルを積極的に学習させながら、対人行動の障害等を改善しようとする治療・訓練技法。

ソーシャルスキル:さまざまな社会的状況に対して適切に対応し、円滑な対人関係を実現するための認 知的な能力や実行技能。

コミュニケーション力とソーシャルスキルが異なる点:ソーシャルスキルという概念が想定しているのが全般的な対人的相互作用場面であるのに対し、コミュニケーション力はあくまでコ ミュニケーション場面に限定したもの。
➡コミュニケーション力はソーシャルスキルの一側面とみなすことができる。

ソーシャルスキルの具体的スキル

① 相手の思いを的確に受けとめるために必要な「聴くスキル」

② 自分の思いを相手に伝えるために必要な「自己主張スキル」:自分の考えをただ一方的に強く言い張 るなど攻撃的な反応をすることではなく、相手の立場や状況なども尊重し、感情をコントロールし ながら自分の考えや感じていることを率直に表現することである。

③ 対人葛藤を解決するために必要な「対人葛藤処理スキル」:考えも価値観も異なる者同士が相互に関 係を築いてく上で様々な葛藤が生じるのは当然であり、だからこそ対人葛藤から逃れようとするの ではなく、その対処法を知り、具体的な方法を身につけることが重要。

ソーシャルスキルの獲得メカニズム

ソーシャルスキルは繰り返し練習することで身に着けることが可能

①言語的教示:ソーシャルスキルに関することを、まわりの家族、友人・知人、同僚・先輩・上司などから言葉で言われて学習する

②オペラント条件づけ:生体が環境の中でさまざまな行動を自発し、その行動がもたらした結果によって 次の行動が変化していくという学習過程。

③モデリング:他者の対人反応や行動の結果を観察することによって学習する。肯定的な結果を観察すれば、その反応や行動をまねてみようとし、否定的な結果を観察すれば抑制しようとする。

④リハーサル:記憶の定着を図るために、短期記憶内に貯蔵された情報を、意図的または無意図的に何回 も反復して想起する。頭の中で知識を言語的に反復する「言語リハーサル」や、行動レベルで繰り返し練習 する「行動リハーサル」によってソーシャルスキルを獲得する。

参考:「職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査」独立行政法人労働政策研究・研修機構