本エントリーでは、労働施策総合推進法の改正に伴い、2021年4月1日より施行された「中途採用比率の公表義務化」について、キャリアコンサルタント学科試験対策として押さえておきたい論点を解説しています。

中途採用比率の公表義務化の趣旨

今回新たに施行された「中途採用比率の公表義務化」の趣旨は、厚生労働省のQ&Aによれば、下記のとおりです。

中途採用比率の公表は、労働者の主体的なキャリア形成による職業生活のさらなる充実や再チャレンジが可能となるよう、中途採用に関する環境整備を推進することを目的としています。

(厚生労働省パンフレット)

厚生労働省の回答は少々漠然としていますが、この「中途採用比率」を公表すること、つまり「企業が長期的な安定雇用の機会を中途採用者にも提供している状況」を明らかにすることにより、「(労働者が301人以上の)大企業でも、中途採用がこれだけいる」と視覚的に認知されるようになっていけば、転職に対する前向きなマインドの醸成、つまり「労働移動の活性化」に役立つと考えられています。

対象企業

今回対象となっているのは、従業員301人以上の企業です。

試験的には、300人以上ではない点に注意が必要です。

公表方法

対象企業は、インターネットの利用その他の方法(自社ホームページ等)を利用し、定期的に中途採用比率の公開を行う必要があります。

罰則

罰則規定は、特に設けられていません。

ただし、労働施策総合推進法では「厚生労働大臣は、(中略)事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができる。」と定められており、本公表を行わない企業に対して、行政指導が行われる可能性があります。

労働施策総合推進法は要注意

労働施策総合推進法(旧雇用対策法)は、職業能力開発促進法第1条において述べられていること、そしてキャリアコンサルタントが「職業相談(就労相談)」を担うことからも、キャリアコンサルタントにとって、非常に重要な法律です。

この法律は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)と相まつて、職業訓練及び職業能力検定の内容の充実強化及びその実施の円滑化のための施策並びに労働者が自ら職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するための施策等を総合的かつ計画的に講ずることにより、職業に必要な労働者の能力を開発し、及び向上させることを促進し、もつて、職業の安定と労働者の地位の向上を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。

(引用:職業能力開発促進法

労働法の中ではまだまだマイナーな扱いですが、改正ポイントを中心に、必ず押さえておくようにしてくださいね。