第15回キャリアコンサルタント学科試験で、出題が予想される論点の一つが、「動機付け理論」です。

動機付け理論とは、簡単に言えば「ヤル気の出し方」です。

あなたがご存じの「自己効力感」も、この「動機付け理論」の一つと言えます。

「自己決定権の放棄」が金メダルという前人未到の結果を残した事例

この「動機付け理論」では、あなたが(多分)忌避しているコミュニケーション方法もあります。

それが下記のような関係性を元にしたコミュニケーション方法です。

「監督から渡された練習メニューをみた時の印象は「そんなのとても無理。」これが監督のすばらしいところなんでしょうけど、押しつけるのではなく、「じゃあ、思ったとおりやってみろ」と言ってくれたんです。しかし、やはり監督の考えには一理も二理もある。そのときです。「私は人形」と心の中で決めました。監督の言われたことは全て忠実にこなそう、と。二年間は人形に徹しました。」

(引用:「モチベーションを学ぶ 12の理論」 鹿毛雅治)

「自己決定権の放棄」という、キャリアコンサルタント業界ではありえない関係性。

この関係性に基づいたゴールデンコンビが、誰あろうあの、故小出監督・高橋尚子選手です。

アドラーは、「褒めない」理論が有名ですが、小出監督は「ほめて育てる」という選手育成方法が知られています。

また、ほめるだけでなく、叱る、アドバイスや注意をするといったことも組み合わせ、相手の個性に合わせて指導することが大事と述べられているそうです。

叱ること、アドバイスをすることも、キャリアコンサルタント試験(というか養成講習)では当然、禁忌です。

あなたが、そして誰もがキャリアコンサルタント養成講習では、「自律・自立」を謳い、「言われるがままにこなす」つまり「自分の頭で考えない」人形という在り方など、良い結果がでないと教わったはずです。

「親との関係では、親の期待、それと自分のやりたいこととの葛藤、親の期待を裏切ることへの罪悪感、親に認めてほしいとの承認の欲求が語られている。小出監督との関係では、尊敬、自己決定の放棄、認められることの喜びが語られ」

(引用:「モチベーションを学ぶ 12の理論」 鹿毛雅治)

高橋尚子選手の親御さんは、高橋選手を教師にしたかった。

それに対して、高橋選手は自分がやりたいことをやっているのに、親が認めてくれないことに対する「うつうつとした気持ち」を抱えていた。

そんな気持ちを抱えた高橋選手は、小出監督に対して「自己決定を放棄」したわけです。

そこには、自己肯定感や自己効力感の低さがあったり、「今のままではダメだ」という気持ちがあったのかもしれません。

その「自己決定権の放棄」が、シドニーオリンピック金メダルという、前人未到の快挙を生み、女子マラソンの元世界記録保持者、女子スポーツ界で初の国民栄誉賞を受賞という結果に繋がったことは否定できない事実です。

「モチベーションを学ぶ 12の理論」では、高橋選手とそしてもう一人、やはりマラソン五輪メダリストの有森裕子選手との対比が語られています。

お時間のある方は、ぜひ読んでみて下さいね。

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人生には「模範解答」はない

試験には「模範解答」があるはずですが、人生には「模範解答」はありません。

かつては「上司が鬼とならねば部下は動かず」という書籍がブームになったこともありました。

真逆の意見が「誤り」だとは限らない。

真逆の意見は「誤り」ではなく、むしろもう一つの「正解」です。

アドラーが高橋尚子選手を指導したら、高橋選手を金メダリストにすることはできたでしょうか?

それは誰にも分かりません。

とは言え、小出監督がキャリアコンサルタント試験を受験したら、その「相談者の自己決定権を放棄させるようなアプローチ」は、不合格になるでしょう。

しかし、それは当然、小出監督が間違っているのではありません。

「人と人とのコミュニケーションに『模範解答』があると言わんばかりの、キャリアコンサルタント試験や養成講習」が間違っているんです。

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