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このエントリーでは、「一問一答」型の問題集がキャリアコンサルタント試験に向かない理由について、説明しています。
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第7回国家資格キャリアコンサルタント学科試験 問8類題
バンデューラ(Bandura, A. )による、自己効力感(self-efficacy)について述べた下記の文章について、正誤を答えなさい。
自分がある行動についてしっかりとやれるという自信であり、これまでの達成経験やモデルによる代理的経験、
言語的説得、情動(的)喚起によって高まる。
この問題について、あなたは〇と判断するでしょうか、それとも×と判断するでしょうか。
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正解は、×です。
理由は、下記のとおりです。
情動的喚起:身体や心の中で起きた生理的・感情的な変化を体験することによっても自己効力感は形成される。
人前で話をした時に、聴衆から嘲笑を受けると、ドキドキして冷や汗をかき恥ずかしさを感じる。
このような経験をすると、人前で話すことへの自己効力感は低下する。反対に、リラックスして落ち着いていると、自己効力感は向上する。
つまり、生理的・感情的な過剰反応をしていると自己効力感が低下するのである。
引用:職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査 独立行政法人 労働政策研究・研修機構
ここで述べられているように、他の3つと異なり、情動喚起には「低下」が含まれています。
それに対して、問題は「高まる」としか述べられていないため、これは明らかに「誤り」となります。
一問一答タイプの問題集では、他の選択肢との比較して解答する練習ができない。
キャリアコンサルタント試験に限らず、「一問一答でみれば、明らかに誤り」である選択肢が、本試験では正解肢になっている出題は珍しくありません。
そして、問題文にもこのような記述があったりします。
「最も正しい(適切)と考えられるものはどれか」
「最も誤り(不適切)と考えられるものはどれか」
直近の第11回学科試験問題で言えば、問4、問5などがこのタイプの「他の選択肢との比較検討作業」が含まれる出題となります。
一問一答タイプの問題集では、「厳密には誤りを含むが、他の選択肢との比較によっては、正解肢とせざるを得ない」選択肢についての練習ができないため、キャリアコンサルタント学科試験のような試験では、避ける方が良いでしょう。
一問一答が向くのは、「知識の確認」であり、「本試験対応力養成」ではない。
一問一答が向くのは、「知識の確認」をしたい場合です。
例えば、
「労働基準法は、労働者が5人以上いる事業所にのみ適用される」
この問題について、正誤を考えるのは、一問一答タイプの問題集で十分です。
これは、他の選択肢と比較するまでもなく誤りであることが分かるからです。
ただ、こういった「素直」な問題になれてしまうのが、一問一答タイプの欠点です。
素直な問題ばかり解いても、応用力が身に付いていないため、足元をすくわれかねません。
それに対して、多肢選択タイプの問題集では、応用力が身に付けられます。
例えば、
「1.労働基準法第14条は、労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年を超える期間について締結してはならないと定めている」
これは、正しいのか誤りなのか、この選択肢だけでは分かりません。
「労働契約は~3年を超える期間について締結してはならない」という点については、間違いなく条文に沿った内容だからです。
しかし、ご存知のように、労基法第14条は、カッコ書きで(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)という、オマケがついています。
この場合、他の3つの選択肢を読んだうえで、「より」問題文が求める選択肢を選ぶという訓練が必要になります。
試験終了後、「あの2つの選択肢、どちらも正解の選択肢だった!」と試験機関にクレームを入れても、相手にしてもらえないかもしれません。
問題文には「最も」と書いてあるかもしれませんから。