日本(のキャリアコンサルタント指導業界)では、

・質問しない
・助言しない
・提案しない
・頷き、相槌、オウム返しを多用する

といった、現実的ではない、そして殆ど役に立たない傾聴が蔓延しています。

そして、その間違った、役に立たない傾聴を強要されることで、多くのキャリアコンサルタント受験生が苦しんでいます。

なぜ、このような惨憺たる現状になったのか、その点について私見を述べます。

傾聴は援助職が身に着けるべき「態度」である。

日本のカウンセリングの殆ど(全てと言ってよいと思いますが)は、「傾聴」を重視します。

しかし、傾聴は当のロジャーズが述べているように

「態度」

です。

傾聴技法と呼ばれることもありますが、技法(スキル)ではなく、カウンセラーが身に着けるべき「態度」なのです。

そもそも、本当に「傾聴」だけでいいのならば、「学科」で様々な心理学理論や心理療法を学ぶ必要はないと思いませんか?

キャリ魂塾では、傾聴について

「この傾聴という態度があれば、様々な技法がより効果を発揮する」

と捉えています。

つまり、「傾聴」は、

キャリアコンサルタントとしての基礎・土台となる態度

として、ロジャーズの意図したとおりの指導を行っています。

「専門性は不要」…ロジャーズを曲解した日本。

なぜ、日本では「傾聴」だけしていればよいとでもいうような風潮が蔓延したのでしょうか。
そこには、日米のカウンセラー制度の違いがあると私は考えています。

アメリカのカウンセラー制度

アメリカでは、心理カウンセラーには

・大学院で10年程度の勉強が必要
・州(≒国家)資格が必要

とされています。

ここからもお分かりのように、非常に高い専門性を持っています。
(キャリアカウンセラー等分野ごとに更に専門教育が必要)

日本のカウンセラー制度

日本ではどうでしょう。

・誰でも思い立ったらカウンセラーを名乗れる
(ただし臨床心理士になるには2年間大学院での勉強が必要)
・国家資格なし。
(平成30年度から公認心理師試験が開始されるが、名称独占)

このように、日本の殆どのカウンセラーには、アメリカに比べて、
専門性も、国家試験に担保された知識もありません。
(臨床心理士の専門性の高さを否定するものではありませんが、アメリカとの比較においては一歩譲ると感じます)

ロジャーズが「専門性は不要」と感じた理由

そして、ロジャーズは、自らの「専門性の高さ」が故に、クライエントの話を聴けていないと感じました。

多分、クライエントが少し話し出したら、「ああ、このパターンか。これはこうすればいいや」とでもいいうような態度や自動思考があったのでしょう。

だからこそ、カウンセラーの持つ、

専門性の高さが邪魔になる

と提唱したのです。

その上、アメリカというディスカッション好きの国民性があります。

これは、渡辺三枝子先生も「新版キャリアの心理学」の中で、

「日本人と違って話をし過ぎるカウンセラーが多い」

ことに触れています。

更には「カウンセリングに保険が適用できることもある」ため、時間も費用もかけられますね。

そのため、このカウンセラーの在り方のパラダイムシフトとでも言うべき、「傾聴」が全米を席巻したことは想像に難くありません。

日本のカウンセラー制度には「専門性」が絶対に必要

アメリカに対して日本では、誰でも思い立ったら『カウンセラー』と名乗ることが可能であり、(そういった『カウンセラー』には、そもそも専門性が殆どない)「もともとあまり話さない国⺠性」(渡辺三枝子先生)が存在します。

にもかかわらず、

「専門性の高さは要らない」
(アメリカとは土台が違う!)
「話さない」
(元々話してない!)

を直輸入。

結果、「傾聴」しか勉強しないカウンセラーが当たり前になりました。

だって、専門性を高めるなんて、大変だしお金もかかりますからね。

勉強しない方がラクです。

しかし、そうなれば新規参入が容易なため、競合が増え、価格競争に巻き込まれることになります。

なので、日本ではカウンセラーが「食えない」職業の代名詞となりました。

参考:日米カウンセラーの平均年収

アメリカでのカウンセラーの平均年収…約800万円
日本でのカウンセラーの平均年収…臨床心理士ですら300〜400万円。

「間違った傾聴」を捨て、専門知識を身に着けよう

キャリアコンサルタント業界では、当初民間資格として、各養成講座が独自にキャリアコンサルタントを養成していました。

が、キャリアコンサルタント自体の知名度が低いのに、

「キャリアコンサルタント」養成講座

に人を集めるのは困難です。

かつての養成講座が、集客のために

「カウンセラー」
「カウンセリング」

を売りにしていたのは仕方のない面もあるでしょう。

しかし、そこで学ぶことは、アメリカという「カウンセラーに相当の専門性が要求される」場だからこその「傾聴」を、日本にそのまま輸入した

「使えない・間違った傾聴」

です。

キャリアコンサルティング協議会が

「気持ちばかり言われてちっとも役に立たない」

と、ある意味過激な田中春秋先生の言葉を紹介したのは、
この間違った傾聴の故ではないでしょうか。


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