このエントリーでは、キャリアコンサルティングにおける「クライエントへのアプローチ」を解説しています。

クライエントに対して行われる「3つのマウント」とは?

このキャリコン業界では、クライエントに対して「3つのマウント」が行われることがあります。

それがこの3つです。

①認知の歪みを「修正する」
②変容を「促す」
③気づきを「与える」

いずれも、「クライエントに対して上から目線」での関わり方であることが、文字にすればご理解いただけるのではないでしょうか。

特に、キャリ魂塾では「促す」という言葉は、「にんべん」に足であり、「人を足で蹴っ飛ばして『何かをさせようとする』態度」を表している単語と解説し、少なくとも「クライエントに寄り添う」ことを標榜するのであれば、決して使用してはいけない言葉であるとお伝えしています。

NLPを作り上げた、リチャード・バンドラー、ジョン・グリンダーによれば、「認知の歪みは、個性であり、そのクライエントの『世界の創造モデル』」です。

他人が「修正」しようとするのは、傲慢であり、寄り添いや受容とかけ離れた、マウントでしかありません。

また、変容も気づきも、「生じる(自発する)」ものであり、「促す」ものでも「与える」ものでもありません。

キャリ魂塾では、改めて、この3つの表現を「クライエントへのマウント」と捉え、不適切なアプローチ(表現)であると銘記しておきます。

そもそも「認知」は歪んでいるものである

リチャード・バンドラー、ジョン・グリンダーは、「私たち人間が作るモデルは、主に三つの点で、現実の世界と異なっている。」と述べています。

三つの点とは、①削除 ②歪曲 ③一般化 です。

簡単に言えば、現実世界で体験したことを、人は全て記憶できることはありませんので、部分的に削除して記憶されます。

この不完全な記憶は、さらに「事実を歪曲し」、個々の経験となります。

この個々の経験を「一般化」して、人は思考・行動しています。

つまり、ヒトは「現実世界」を①削除②歪曲③一般化という「モデリング」によって、「歪めている」。これがヒトの思考・行動の前提になっています。

認知の歪みを「修正」しようとするのは「受容」ではない。

ヒトは、そもそも「現実世界」を「歪めてモデリングしている」。これを言い換えれば、その個人がもつ性質=「個性」ですよね。

あなたがもし、「認知を修正しよう」とするのであれば、それは「その人の個性を変えよう」としているのと、さほど変わりません。

「個性を変える」なんて、凄く傲慢で上からな「態度」だと思いませんか?

エリクソニアンは、「個性を変える」のではなく、「個性をリソースと捉える」ことが大切。

私自身は元々エリクソニアンなので、NLPとしては3割ほどしか学んでいませんが、多分、リチャード・バンドラー、ジョン・グリンダーが掴んだ「ミルトン・エリクソンの言いたいこと」はこんなことかな?と、簡単に図にしてみました。ご参考になれば幸いです。