このエントリーでは、キャリアコンサルティング協議会を指定試験機関とする、第14回国家資格キャリアコンサルタント面接試験(以下「面接試験」)で出題された、「白坂さん」をキャリ魂太郎が15分でキャリアコンサルティングした逐語記録を掲載しています。

※本ブログでは、「キャリアコンサルティング協議会が指定試験機関として実施する面接試験」について対象としており、日本キャリア開発協会(JCDA)の面接試験は一切考慮しておりませんので、ご注意ください。

第14回出題事例「白坂さん」とは

キャリ魂塾では、面接試験対策を全て「過去に出題された事例」で行っており、個人の経験は一切扱いません。

今回ご紹介する「白坂さん」とは、第14回に出題された事例ですが、受験された方の情報を総合すると、概ね下記のような感じです。

第14回面接試験出題事例「白坂さん」
氏名:白坂一也
性別:男性
年齢:48才
学歴:4年制大学経済学部卒業。
職歴:中堅食品メーカー勤務、営業職を23年勤めたあと、3年前に人事部に異動、現在は人事課長。
家族構成:妻、長女、長男(同居)
態度:暗め、寡黙、聴かれたことには答えるが、広がりがない

相談したいこと(来談経緯)
業務改革で、1年前に人事の仕事の大部分をアウトソーシングするようになり、人員も大幅に減り、やりがいがなくなった。
また、今後業務改革が進むと、自分も会社に残れるかどうかわからないため、転職しようかどうか迷っている。

なお、協議会に電話で確認したところ、試験実施期間後の面接事例の公開については特に制限を設けていないそうです。

こういう点は、協議会の良いところですね。

また、この第14回白坂さんも、「早坂さん」というお名前だったり、「食品卸販売会社」だったり、受験された方によって設定が微妙に違いますが、大筋は一緒です。

キャリ魂太郎の15分間逐語記録

今回は、第14回面接試験を実際に受験され、白坂さんがクライエント役として出題された方にクライエント役をして頂きました。

特に、ノリが悪く、淡々とした態度(あまり自分から話さない)が印象的だったとのことで、可能な限りその実際の出題に近い態度でクライエント役を演じて頂くことをお願いしています。

では、その逐語録をPDFでどうぞ。

※逐語録のうち、太枠で囲んでいる箇所は、「オープンクエスチョン(開かれた質問)」です。

Download (PDF, Unknown)

逐語解説:『クライエントが聴いて欲しいこと』を問いかければ、話してくれないクライエントはいない

「話さない」「ノリの悪い」「塩対応」なクライエントに、不安を感じている人も多いと思います。

しかし、面接試験においてのクライエント役は、「自分が相談したくて来た」(しかも『有料』の場と明言されることもあります)。

これが基本です。

あなたが、無理やり首に縄をかけて引っ張ってきたのではありません。

なので「話さないクライエント」なんて、極論で言えば、「ヘンな人」です。

体調が悪いので自発的に病院に行ったのに、医師の前で黙っている人なんてまずいない。

これと同じで、「社会人としてあり得ない」態度なんですね。

48歳という、いい歳をした大人が、自分から相談に来たにも関わらず、話さない。

それは、「現実的にはイレギュラーであり、試験のクライエント役として相応しくない態度」です。

イレギュラーとは例えば、セクハラなど性的な問題、障害や精神疾患などの病気に関する問題など「話しにくい悩み」を抱えて来られる方などが想定されます。

こういうケースでは、「『自分から来た』のに話さない」ことは、可能性としては十分考えられます。

しかし、面接試験では、セクハラなどの性的な問題や、障害、精神疾患などの事例は出題されません。

出題されるのは、「キャリアの悩みとそれに関連したライフプラン上の悩み(と介護や育児、収入面の不安など)」です。

にもかかわらず、話さない。

そんなイレギュラーなクライエントを1/3~1/4の「確率」で出題するなんて、不公平にもほどがあり、まともな試験とは言えません。

なので、「温かで受容的、承認的な態度を取り、『クライエントが聴いて欲しいこと』を問いかければ、話してくれないクライエントはいない」。

これがキャリ魂塾の考え方です(試験的に出題されたことのある例外は、上司から勧められて(嫌々・渋々)来た場合)。

※養成講習団体によっては、「クライエントは話さない」と強く指導しているケースがありますが、そういった団体は、恐らく「社内キャリコン」「セルフ・キャリアドック」のような「制度として半ば強制的に面接を受けさせられるクライエント」や「無料相談」しか、想定していないのだと思います。

「見立て」に使うポイント

1.「業務改革が進めば、自分もリストラの対象になる『かもしれない』というだけで不安になっている点
➡状況理解不足(仕事理解不足でも可)

2.「やりがいがない」仕事でも、責任感を持って仕事に取り組める能力がある点
➡自己理解不足

3.「誰にも相談していない」点
➡支援理解不足

4.会社に残るにしろ、転職をするにしろ、どのようなスキルが求められているか「考えたことがない」点
➡仕事理解不足(状況理解不足でも可)

5.キャリアビジョンが描けていない点
➡戦略不足

「良かった点」に使うポイント

1.クライエントが沈黙しているとき、「ゆっくり考えて下さいね」と声掛けを行った上で、焦らずクライエントの考えがまとまるのを待つことができた。
➡関係構築
※キャリ魂塾では「ただ黙って待つ」のではなく、「声掛け」を行うよう指導します。

2.「やりがいがない」仕事であるが、「自分にしかできない」仕事であるという気づくきっかけを伝えられた。
➡仕事理解に寄与

3.「会社に残るにしろ、転職するにしろ、必要なスキルとは何か」を考える必要性を伝えることができた。
➡今後のキャリアを考えるきっかけに寄与

4.クライエントから「ありがとうございます」という感謝の言葉を頂けた。
➡関係構築

5.その他、会話の中で「支持」「承認」等を随時行いながら、自己効力感を高めるような応答を心がけることができた。

「改善点」に使うポイント

1.配偶者には「話したことはありません」を、「話したことはあります」と聞き間違えた点。不明点は思い込まずに確認することで、よりラポールが構築できる可能性がある。

2.「家では仕事の話をしない」という点について、もっと話を深掘りすることで、「家族とのライフプランを考える必要性」に気づいて頂き、必要な情報提供、働きかけをすることもできたと感じる。

「今後の支援」に使うポイント

1.48歳ということから、転職となった場合に時間が掛かることも想定されるため、職務経歴書等の準備も行い、実際にリストラなどの確実性が高まった場合に、スムーズに転職できるよう転職可能性に注意したキャリア形成支援を検討する。

2.家族の方に、現在の仕事の状況なども伝え、実際にリストラなどがあったとき、家族一人一人が自律した判断ができるよう、家族との関係性を深める支援を行う。

今回の面談のポイント

キャリ魂塾の面接試験対策講座を受講された方は、同じく第14回に出題された「山田さん」と全く同じように、私がほぼタイムマネジメントシートに沿って進めていること、そして今回もレジメのスライド番号8で解説している、3つのパターンの【1】に当てはめていることが、この逐語録を読めば、ご理解頂けるかと思います

そして、今回の面談も「山田さん」の時と同じく、私は「リストラがあろうがなかろうがどちらでも良い」と考えて進めていることがご理解頂けるかと思います。

白坂さんの職業能力開発を行うこと、いわば「現職でのスキルアップ」=「転職に備えておく」ようにすることは、リストラの有無に関わらず行っておくべきことだからです。

前回の「山田さん」と全く同じであること、つまり「パターン」であり、何も恐れることはないという点、そして今回もキャリアコンサルタントに求められているのは「リストラの有無の確認」というような、「今、この場限り」の支援ではなく、この先10年、20年と続く、白坂さんのキャリアを「どのように充実させるか」ではないでしょうか。

更に言えば、応答の中で常に「支持」「承認」を意識して行うことで、「関係構築」を行っていっていることも、ご理解頂けるかと思います。

オウム返しが無い?キャリ魂塾メソッドにオウム返しが少ない理由

キャリ魂塾メソッドでは、意味のないムダなオウム返し、そして「自分が記憶するためのオウム返し」を行いません。

ムダなオウム返しをせず、相槌やピンポイントな「伝え返し」を行うことで、時間が生まれ、結果としてより「話を聴く」ことが可能となります。

あなたがクライエントなら、なんでもかんでも、しかも長々とオウム返しばかりされるキャリアコンサルタントと、話をしっかりと聴いて、目標ができたり、最初に取り掛かること(スモールステップ)が分かるキャリアコンサルタント、どちらにお金を払うでしょうか。

普通に考えれば、当たり前のことですよね。

なんでもかんでも「マネ」をされて嬉しい人など、いるわけがないんです(これを「いる」と思っているのは、実務経験のない人だけです)。

面接試験受験の際の注意点

最後に、面接試験の受験に当たっての注意点です。

私自身は出題パターンを熟知しているため、与えられた時間が15分でも20分でも、目標設定及び方策に進むこと自体はそれほど難しくありません。

しかし、受験生の方は決して「15分で目標設定、方策に進もう」と「型に嵌めて」考えず、まずは丁寧にしっかりと寄り添い、クライエントの「話を聴く」ことに時間をかけるように心がけて頂きますようお願いいたします。

一つの目安として、大体、中間まとめを12~13分あたりで行うくらいで十分ではないかと思います。

最後に、本面接事例は、あくまで「ご参考」であり「正解」ではない点、ご理解の程を宜しくお願いいたします。