このエントリーでは、「産後うつ」に関する炎上ツイートから、「個人の経験」を一般化してアドバイスしないことの重要性をお伝えしています。

「産後うつ」は甘えとのツイートが炎上

「産後うつ」に対する、橋本琴絵さんという方のツイートが炎上しています。

下記はそのツイートの引用です。

あなたは、このツイートを読んでどう思われたでしょうか。

多くの方が、怒りを感じられたのではないかと思います。

しかし、キャリアコンサルタント受験生の多くが、程度の差はあれ、この橋下琴絵さんと同じことをしているんです。

支援者は、「個人の経験」を一般化してはいけない

キャリアコンサルタント養成講習では、「受容」が大切と教えられます。

しかし、あなたはついつい、こんな言葉を使っていないでしょうか。

・ただ
・でもね
・だけど
・そうは言っても

この言葉を「クライエントの考えを聴いた後に」使っているのなら、それは受容という態度ではなく、「自分の意見の方が正しいので、なんとか納得させたい」という態度です。

例えば、「今の会社に入って半年だけど辞めたい」

こんな悩みを抱えた相談者役に対して、受験生だけなく、合格者・実務者も含めて非常に多いのが、「石の上にも三年」という考え方です。

例え口に出さなくても、言葉にしなくても、内心そう思っている方は本当に多いように感じます。

あまりにこの「石の上にも三年」マインドが支持されているので、最近の講義では、「石の上にも三年という考え方をお持ちの方は、中学校から6年、大学を卒業された方なら10年以上も英語を勉強してこられたと思いますが、それで英語の何が『分かった』んですか?」とお伝えしています。

当然のことですが、英語をネイティブレベルで習得している人もたくさんいます。

が、同じような教育を6年~10年受けて、全員が全員、しっかりと身についているわけではないですよね。

それが、「個々の体験(経験)など相談者の役に立たない」ということなんです。

あなたが中学校、高校の6年間の勉強で英語を身につけられたとしても、それは「あなただけ」の経験なんです。

あなたが中学校、高校の6年間の勉強で英語を身につけられなかったとしても、それは「あなただけ」の経験なんです。

「あなたの経験」という「フィルター」を横に置くのが支援のスタート。

キャリアコンサルタント養成講習の説明会や講義で、講師から、下記のように言われた人がいるそうです。

「キャリアコンサルタントは、あなたの経験が、全て役に立つ仕事です」

そう言われたら、嬉しいですよね。

でも、大変申し訳ないのですが、それは間違いです。

先ほどの橋本琴絵さんのツイート。

これが「個人の経験」に基づいた、意味のない「アドバイス」です。

これに対して、産婦人科医の宋美玄さんは「個人の体験を一般化するな」とバッサリ切り捨てました。

今回、「私は産後3ヶ月で衆議院議員選挙を全力で駆け抜けました」と書いているように、育児の問題は、個人の成功体験を一般化して押し付けるアドバイスが多いことに気づきます。

(引用:BuzzFeed

まさに、この発言のとおりだと思います。

「私の頃は」「赤ちゃんはそんなものよ」「食べれば治る」「私もそうだったけど~」

こういった言葉で述べられる「個人の体験」は、時代や環境、個人の資質も違う中で得られた、「ひとりひとり違う経験」であり「一般化して当てはめるものではない」んです。

だから、多くの場合「相談者の役には立たない」

そして、「そう言われた相談者は、心を閉ざす」、つまりラポールが壊れてしまうんですね。

これが分かっていれば、キャリアコンサルタントやカウンセラーという仕事が、「あなたの『経験』が役に立つ仕事」ではなく、むしろ「あなたの経験というフィルターを横において、虚心坦懐に相談者の話を、考えを、想いを聴く仕事」だということが分かるはずです。

「あなたの経験が、全て役に立つ仕事です」

私だって、そう言いたい。

そう言った方が、受講生に喜ばれるのは分かっているから。

だけど、違うんです。

あなたの経験は、貴重で、クライエントの役にたつ「かも」しれないけれど、まずはその「自分の経験が、クライエントの役に立つだろう」という「思い込み」を外して、クライエントの話を聴く。

そうすれば、

・ただ
・でもね
・だけど
・そうは言っても

なんて言葉は、出てこなくなるはずです。