資格で理想のライフスタイルを実現する、キャリ魂塾のキャリ魂太郎です。


このエントリーでは、私たちの「生きている世界」は同じだけれど「経験している現実」は異なる、という「事実」について解説しています。

キャリアコンサルティングの悪い例

桜木さん桜木さん

「商社」の存在意義が良く分からないんですよね。


土本さん土本さん

例えば、メーカーは「作ること」が得意ですが、「販売・営業すること」は不得意だったりしますよね。
また、小口の顧客に対して都度対応するというのも、メーカーにとっては負担になることもあるため、商社のマッチング・仲介機能は今のところ意義があると思いますが…


桜木さん桜木さん

でも、うちの場合、間にいくつもの商社や代理店が入っていて、効率も悪いし…


土本さん土本さん

それは「桜木さんの会社」の業界やビジネスの在り方であって、「商社」の存在意義とは関係ないですよね


桜木さん桜木さん

ただ単に、お客様に言われたものを買ってるだけってこともあるし…


土本さん土本さん

メーカーと直接取引できる企業ばかりではありませんから、代理で購入して貰えるという意味では、メリットがありますよね。


桜木さん桜木さん

それは分かるんですが、乗せてる金額もちょっと大きいと思うし…


土本さん土本さん

お客様を騙しているのならともかく、納得されているのであれば、それだけ桜木さんのお勤めの会社が、お客様から「価値」を感じられているということではないでしょうか。


桜木さん桜木さん

うーん、やっぱり私の会社の存在意義が分からないんですよね。
なくてもいいって思うし。


土本さん土本さん

「商社」じゃなくて、桜木さんの「お勤め先」の存在意義が分からない、ということですね。


桜木さん桜木さん

仰ることは、理屈としては分かりますが…






いかがでしょうか。

これは、「キャリアコンサルティング」としては、悪い例というより、「キャリアコンサルティングになっていない」例です。

ある意味では「素人」の単なる「会話」と言っても良いでしょう。

クライエントである桜木さんは、最初は主訴として「商社の存在意義が分からない」と述べているのに対して、土本さんは早々に「答え」を述べていますが、そもそも桜木さんの主訴は「商社の存在意義が分からない」ことではありません。

つまり、言語コミュニケーションとしては「主訴」は「商社の存在意義が分からない」と表現されていますが、「桜木さんの経験している現実」では「商社」とは「自らが勤務している企業」とイコールなんです。

なので、土本さんが「一般論としての商社の存在意義」を伝えたところで、何も桜木さんには響かないし、このケースでは「ラポール」が生まれることはありません。

キャリアコンサルティングとして「伝え返す」

この例を、キャリアコンサルティングとして「最初の応答」をいくつか考えてみます。

桜木さん桜木さん

「商社」の存在意義が良く分からないんですよね。

キャリ魂太郎キャリ魂太郎

「商社」の存在意義が良く分からない…例えばどんな点でそう感じますか?


キャリ魂太郎キャリ魂太郎

「商社」の存在意義が良く分からない…具体的にそう思われた出来事などがありますか?


キャリ魂太郎キャリ魂太郎

「商社」の存在意義…ですか…

いかがでしょうか。

最初の応答を、こういった「伝え返し」(※養成講習によって表現は異なります)にするだけで、この後の面談が変わってくるのがお分かりになるかと思います。

特に、あなたが商社に勤務した経験があれば、もしかするとやっきになって「商社の存在意義」を分からせようと、悪い例で土本さんが行ったように、「説得」に入ってしまうかもしれません。

しかし、あなたが見て、感じて、経験してきた「現実」と、クライエントが今現在体験している「現実」は、全く違うものです。

キャリ魂太郎のしょうが焼き理論

私達は、同じ世界に生きていながら、全く異なる「現実」を生きている(経験している)んですね。

これを、私は「しょうが焼き理論」と呼んでいます。

あなたの考える「しょうが焼き」は、このようなタイプかもしれません。

(出典:キッコーマン

しかし、クライエントにとっての「しょうが焼き」は、こちらかもしれませんよね。

(出典:ヱスビー食品

逆もまた然りです。

そして、あなたに「しょうが焼き」へのこだわり(専門知識)があればあるほど、自分の好むタイプの「しょうが焼き」を押し付けたり、相手の好むタイプの「しょうが焼き」を否定してしまうこともある。

このことを、しっかりと腹落ちさせてから、試験・実務の「面談」に挑んで下さいね。