このエントリーでは、キャリコンサルタント面接ロールプレイ試験(以下、単に「面接試験」と言います)対策として、クライエントの発言を「深堀り」する「問いかけ」の例と「問いかけ」をどのように選択するかについて、お伝えしています。

※本ブログの試験対策情報では、「キャリアコンサルティング協議会が指定試験機関として実施する面接試験」について対象としており、日本キャリア開発協会(JCDA)の面接試験は一切考慮しておりませんので、ご注意ください。

質問することが思い浮かばなくなった原因とは?

前回の、「深掘り問いかけ」についてのエントリーが、思ったより好評だったのですが、改めて考えると「質問することが思い浮かばない」というお悩みが非常に多いように感じます。


その多くは、「養成講習での間違った指導」が原因です。

つまり、養成講習で「質問をするな」という間違った指導をされてしまったがゆえに、「質問することができなくなってしまった」。

このパターンが本当に多く、一部の養成講習機関や講師の「思い込み」による間違った指導が、その人の良いところを潰してしまう結果となっていること、更には試験に合格できなくなっていることについて、本来は何らかの行政指導が必要ではないかと感じることもあります。

「問い質す」のではなく「問いかける」

とは言え、確かに「質問」にも問題はあります。

それは、読んで字のごとく、「問い質す」という「態度」でクライエントに臨んだ場合です。

「問い質す」という態度では、クライエントとの間にラポールは生まれません。

誰だって「問い質されたくはない」からです。

なので、ここでの「質問」とは「問いかける」。

「『問い質す』ことで、関係を構築するのではなく、『問いかける』ことで関係を構築する」。

これが「支援者としての『態度』」なんです。

よくある「役に立たないオウム返し」の例

この1年くらいでかなり改善されてきたように感じますが、まだまだ下記のような「質問できない」受験生は少なくありません。

桜木さん桜木さん

今の部署は人事課ですが、異動したのは3年前です。

土本さん土本さん

ふむふむ。今の部署は人事課ですが、異動したのは3年前なんですね。

桜木さん桜木さん

はい。今お話したとおりです。

土本さん土本さん

あ、申し訳ありません…(え…💦オウム返しをしたら、勝手にクライエントの内省が深まるんじゃないの~💦)

キャリ魂太郎キャリ魂太郎

実務では、このような何の意味もない「オウム返し」でラポールが構築されることも、内省が深まることもまずありません。
こういった「意味のないオウム返し」に対して、ロジャーズも「単に伝え返せばよいと思われていることにはうんざりだ」と自身の思いが伝わらないことへの気持ちを吐露しています。

彼はリフレクションの応答は「理解の試み」(“testing understandings”) あるいは「知覚の確認」(“checking perceptions”) と呼ばれるべきだとしていた (Rogers, 1989)。

(引用:「体験過程が⼼理療法論に及ぼす根本的なインパクト:⼆種の交差の検討」池見陽)

キャリ魂太郎の「バックトラッキング」技法

単なる、そして意味のない「オウム返し」をするのではなく、ここでは「バックトラッキング」という「オウム返し」と「問いかけ」を併せた応答技法を使うことで、「きちんと聴いてくれている」というラポール構築と、「深掘り」の両方を行うことができます。

こちらの「問いかけ」の例を読み、一部の養成講習機関や一部の講師の呪縛から解放され、本来のあなたを取り戻して下さいね。

キャリ魂太郎キャリ魂太郎

ふむふむ。今の部署は人事課で、3年前に異動されたんですね。この3年間、具体的にはどんな仕事をしてこられたんですか?

キャリ魂太郎キャリ魂太郎

なるほど。今の部署は人事課で、3年前に異動されたんですね。この3年間、一番達成感があったのはどんなときでしたか?※

キャリ魂太郎キャリ魂太郎

ふむふむ。今の部署は人事課で、3年前に異動されたんですね。この3年間で、ご自身が成長したと感じられるのはどのような点でしょうか?※

キャリ魂太郎キャリ魂太郎

ふむふむ。今の部署は人事課で、3年前に異動されたんですね。異動の際に例えば上司や人事課などから、何か異動の理由などのお話はありましたか?

キャリ魂太郎キャリ魂太郎

ふむふむ。今の部署は人事課で、3年前に異動されたんですね。異動を告げられたときは、どんなお気持ちでしたか?

キャリ魂太郎キャリ魂太郎

ふむふむ。今の部署は人事課で、3年前に異動されたんですね。その異動は、桜木さん自身がご希望されたのですか?


※「達成感があった出来事を経験している」「成長をしている」ことを「前提」とする『前提』(暗示)技法を併せて使用。

このように、「クライエント自身に関心を持っていれば」いくらでも問いかけは出てくるはずです。

そう、いくらでもです。

例えば、婚活で考えてみて下さい。

条件=問いかけと考えれば、聴きたいこといっぱいありませんか?

それと同じで、幾らでも出てくるんですね。

キャリ魂太郎キャリ魂太郎

ふむふむ。今の部署は人事課で、3年前に異動されたんですね。異動のとき、前の部署の部下の方から何か言われたりしましたか?

キャリ魂太郎キャリ魂太郎

ふむふむ。今の部署は人事課で、3年前に異動されたんですね。桜木さんの会社では、異動に際してはどのようなルールがある感じですか?例えば20年同じ部署の方などもいるのでしょうか?

キャリ魂太郎キャリ魂太郎

ふむふむ。今の部署は人事課で、3年前に異動されたんですね。異動のとき、歓迎会とかはあったりするんですか?

あなたがお望みなら、あと100でも200でも。

しかし、数を誇っても、そこには何の意味もありません。

必要なことは、その問いかけが「クライエントの役に立つ」かどうかです。

その「問いかけ」は、何の意味を持つのか

「問いかけ」は、「よりクライエントの役に立つ」ものを選択する必要があります。

例えば

・二重の不安の解消
・YESセットによる関係構築
・情報収集
・内省促進

といったものです。

特にキャリコン面接試験のような、「インテーク面接」では、「二重の不安の解消」が最優先ですから、スタートから8~10分くらいまでの問いかけは、基本的には「答えやすいモノ」を選択します。

「二重の不安の解消」の展開

「二重の不安の解消」は、基本的には下記のように展開(進展)します。

目の前のキャリアコンサルタント(支援者)は、私の話を聴いてくれる人だな(態度)

話しやすい人だな(態度)

聴いて欲しいことを問いかけてくれる人だな(展開)

安心できそうだな(変容)

『私の(本当の)悩みを話しても大丈夫そうだな』(変容)。

これが「二重の不安の解消」です。

あなたの「問いかけ」は、二重の不安の解消に繋がっていますか?

そしてそれは、「逐語記録」を読まなければ「分からない」んです。

だから、「逐語記録」を作ってみて下さいね。