このエントリーは、キャリ魂塾の解決志向キャリアコンサルティング勉強会で解説した、「上司の気持ちをリソースとして活用する」の講義をご紹介しています。
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「上司に相談したくない」クライエントに上司を「リソース」と考えて貰う
自らが抱えている問題を、上司に相談できずにいるクライエント役が出題されるケースは多々あります。
こういったケースでは、キャリアコンサルタントが「上司への相談」を提案しても、大抵の場合は否定的な応答が返ってきます。
「上司への相談」提案への否定的な応答例
例えば、こんな感じです。
どうして上司の方に相談されないんですか?何かご事情があるのでしょうか。
こういった問いかけに対して、クライエントはこんな風に答えたりします。
できない人だと評価されてしまいそうで…
とか
いつも忙しそうにしているし…
このように、「上司に相談すること」に対して、否定的な応答が帰って来ることは少なくありません。
このとき、クライエントの気持ちに「だけ」フォーカスしてしまうと…
確かに、できない人だと評価されると思うと、相談できないですよね…(困ったな…次に何を言おうかな…)
このように、多くのキャリアコンサルタント役が、その後の応答に詰まってしまうことになります。
これは、「問題志向」で考えたとき、クライエントが「問題」と考えた時点で、それは「問題」を構成する一つの要素になってしまうからです。
なので、本来の問題に加えて、「上司との関係改善」という問題(悩み)がさらに増えることになります。
繰り返しますが、これは「クライエントの気持ち」に『だけ』寄り添ってしまっているからです。
クライエントの気持ちではなく、上司の気持ちにフォーカスする。
クライエントの気持ちにフォーカスするだけでは、問題が良い方向に向かうとは限りませんし、かえって複雑になることすらあります。
問題志向とは逆に、クライエント自身、そしてクライエントの周りの状況の全てをリソースととらえ、ユーティライゼーション(Utilization:利用できる物はなんでも利用する)で考えるのが、エリクソニアンの「解決志向キャリアコンサルティング」。
なので、例えばこんな風に問いかけます。
評価が下がるのがイヤって思っておられるんですね…評価と言えば、自分が上司の立場で考えたら、ちょこちょこ相談してくる部下と、まったく相談してこない部下、どっちが可愛い部下だなって印象ですか?
いつも忙しそうですか…そうすると自分が上司になったとき、自分が忙しいと部下にアドバイスとか一切したくないって思われますか?
そう、「上司の気持ち」がリソースです。
よっぽど性格の悪い上司や、多忙で今にも倒れそうな上司は別として、通常、上司は部下をサポートしてあげようと思っています。
それは、自分自身の能力の再確認に繋がる(メンターとメンティーの関係)し、部下からの尊敬を得ることもでき、また、「部下の成功は上司の手柄」でもあるからです。
逆に言えば、「部下の失敗は上司の責任」ということにもなりますので、上司としても部下の悩みは早期に解決を図りたいところです。
であれば、「上司をリソースとして捉え、活用すること」が、クライエントにとっても、上司にとっても、WIN-WINの関係になるはず。
クライエントの「今、ここ」の感情に『だけ』フォーカスしていると、この「上司」というリソースに気づけません。
口頭試問で「上司に相談できるように支援する」と答えることは簡単ですが、「それができないから相談に来た」わけです。
であれば、できれば15分(20分)のロールプレイ中に、この「認知の変容(リフレーム)」が生じる方が、説得力(どのように上司との関係を支援するか)がありますよね。
ご参考になりましたら幸いです。