このエントリーでは、第17回国家資格キャリアコンサルタント面接ロールプレイ試験(キャリアコンサルティング協議会を指定試験機関とするもの。以下同様)で出題された、「自動車運送業」について、クライエント役をする際の注意点をお伝えしています。

「自動車運送業」の相談者役をする際の注意点

第17回面接ロールプレイ試験では、自動車運送業を個人で営んでいる相談者役が出題されました。

この自動車運送業には、許可が必要な場合と、そうでない場合(届出)があり、どちらをイメージして相談者役設定を行うかによって、応答が大きく変わってきます。

一般貨物自動車運送業を営む場合

いわゆる一般貨物自動車運送業を営んでいる場合は、「個人事業主」という設定であっても、「1人」ではありません。

必ず「組織」で事業経営を行うことになります。

それは、一般自動車貨物運送事業の許可要件として、そもそも「車両が5台」、「運行管理者が1名」必要になるからです。

具体的には、一般自動車貨物運送業許可申請を行う場合、車両が5台ですので、ドライバーも5人必要です。

運行管理者はドライバーと兼任できませんので、その他にも運行管理者1名の確保が必須です。

この他、車両の整備管理者(ドライバーと兼任可能)が1名必要です。

学校を出て数年では、通常一般貨物自動車運送業の許可は取れない。

一般貨物自動車運送事業の許可取得に当たっては、車両を5台を購入することはもちろん、その駐車場も必要です。

また、事務所を借りる際にも、事務スペースだけではなく、休憩室も必要になります。

このように許可取得には多額の費用が掛かるため、許可要件として「事業計画」や「開業資金」が求められます。

この開業資金についても、運送業許可後の6か月間の人件費、12か月間の事務所・駐車場の賃料、自動車税や任意保険などの保険料まで含めた資金を準備しなければなりません。

いわゆる普通の家庭で育ったと考えると、高校や大学を出て数年では、一般貨物自動車運送業の許可は取れないのが現実です。

許可の不要な自動車運送業とは?

一方で許可が不要(届け出は必要)で、要件も比較的クリアしやすいのが、「軽貨物運送事業(貨物軽自動車運送事業)」です。

こちらは、軽貨物車両を使って運賃を受け取り、荷物を運送する事業です。

車両も1台でよいので、個人事業主1名で開業することが可能です。

こういった違いから、第17回面接ロールプレイ試験で出題された相談者役が言っている「運送業を自営している」は、「軽貨物運送事業」であると考えられます。

クライエント役の作りこみが甘いとどうなる?

第17回面接ロールプレイ試験で出題されたこの相談者役ですが、取引先(荷主)は一社で、その取引先社長から営業として採用したいとの話があったため、迷って相談に来た、とのことです。

この主訴を厳密に検討した場合、事業的に言えば違法となる可能性があります。

それは、「軽貨物運送事業」は「不特定多数の荷主の貨物を、軽自動車または二輪自動車を使って有償で運送する」事業であり、荷主を特定しているのであれば、それは「特定貨物自動車運送事業」となり、「一般貨物自動車運送事業」とほぼ同じ許可要件を満たす必要があるからです。

つまり、「荷主を特定して貨物運送業を行うのであれば、特定貨物運送業の許可が必要」になるんですね。

特定貨物自動車運送事業者とは
特定の荷主の需要に応じ、有償で貨物を自動車により運送する企業や個人のことである。
この事業を経営するには国土交通大臣の許可を受ける必要がある。
特定の荷主が対象となるため、メーカー、商社の物流システム化の推進対策として、輸送ならびに配送を担当する系列(子)会社による事業化が多くみられる。

(引用:Weblio辞書より)

仮に「荷主が特定されている軽貨物運送事業」を営んでいる相談者が、私のところに相談に来たとすれば、「特定の荷主の貨物しか運送しないのであれば、特定貨物運送業の許可が必要になることはご存じですか」という情報提供を、どこかの段階ですることになります。

キャリ魂塾のクライエント役は、仕事理解が違います

いかがでしょうか。

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7/27:追記

いわゆる「車両持込」で、運送業を行う場合は、「荷主の特定」に該当しません。

この場合は「下請(請負)」として運送業を行っているケースになります。

相談者役をされる際は、この違いを理解した上で行うことが必要になります。