キャリ魂太郎です。

このエントリーでは、「思い込み」という言葉を安易に使用しないこと、そしてその理由について、お伝えしています。

何でもかんでも「思い込み」と評するのは失礼である。

論述模擬試験の採点をしていたり、面接ロープレで口頭試問を行っていたりするわけですが、多くの方が、軽率に使用している言葉があります。

それが、

「相談者は、〇〇という『思い込み』があり~」

というもの。

私は、この「思い込み」という言葉、本当に失礼だと思っています。

この安易な「〇〇という思い込みがあり~」という言葉が、塾生から発せられるたび、養成講座は受講生に何を教えているのかと憤りを感じるレベルです。

相談者の「内的世界の専門家」は誰?

例でご説明しますね。

「公務員で20年働いてきたけれど、上役の顔色ばかりうかがって、自分のやりたいこともできないし、早く辞めたくてたまらないんだけれど…やっぱり解雇がなく安定しているのは捨てがたいし、社会的な信用もあるし…」

という相談があります。

この相談に対して(10分くらい話すわけですが)、

「相談者は、公務員の仕事にやりがいがないと『思い込んで』おり~」

と答える方、本当に多いんですよ。

それはちょっと待ってよと。

「相談者の内的世界の専門家」は誰ですか?

あなたは、相談者とわずか15分話しただけですよ。

そんなあなたに、相談者の何が分かるんですか?

相談者の内的世界を誰よりも知る、相談者自身が、「やりがいがない」と言っているのです。

たとえ、「それは、相談者が、現在の仕事のやりがいに気づいていないからだ」、と感じたとしても、まずは相談者の「やりがいがない」という言葉を受け入れるべきでしょう。

わずか15分話しただけの赤の他人が、相談者が得てきた知見に基づいて述べていることを、「思い込み」と評するなど、失礼にもほどがあります。

「失礼」とは、言い換えれば「ラポールが壊れる」、ということです。

そして現実には、「やりがい」なんて感じなくても働くことは可能です。

例えば「お金」や「待遇」が良いから、または「家族のため」に。

どう考えても「やりがいはない」けれど働く、それではダメなんですか?

「やりがい掘り」はラポールを壊す行為である。

ちょっと話がそれますが、ひたすら「やりがいを探させる」行為を、私は「やりがい掘り」と呼び、そういったことをしないように指導しています。

だって、「夫と別れたい。だけど金銭的な問題があって別れようかどうしようか迷っている相談者」に対して、「ひたすら夫の良いところを探させる」支援者なんて、おせっかいで腹立たしい以外の何者でもないですよね?

「思い込み」が使えるケース

「思い込み」という言葉が使えるケースはないのか、と言えば、それはもちろんあります。

例えば、

「公務員をやめたいが、妻は反対するに決まっているし、相談できない」

この場合、「妻の内的世界の専門家」は誰でしょう。

当然「妻本人」ですよね。

「妻の本当の気持ち」は妻にしか分からない。

それを、聴きもせずに「決めつけている」こと、それが「思い込み」です。

思い込みが使えるケース、使えないケース

少し整理しましょう。

1.自分の職場を「やりがいがない」と感じていること
2.妻の気持ちを「反対されるに決まっている」と決めつけていること

これは全然違いますよね?

1.については、例で挙げたケースだと、20年間働いてきて、やりがいが感じられないと「痛感」しているのです。

この気持ちを受容せずに、「思い込んでいる」と評するなんて、相談者の側からしたら「あんたに俺の何が分かるっていうんだよ!」と怒られても仕方ありません。

2.については、相談者が「妻(他人)の気持ちを決めつけている」のですから、これは「思い込み」です。

簡単にいえば、

白黒思考
・過度の一般化
・他人の心を読みすぎ
・「べき」思考

こういった考え方(≒認知のゆがみ)が表出している場合に、「思い込み」という言葉を使うようにして下さい。