キャリ魂太郎です。

論述答案の採点を改めて見返すと、今回、「促す」という言葉を使われた方が非常に多かった印象です。

なぜだろうと思っていたのですが、ある養成講座の論述模範解答に多用されていたので、得心しました。

「促す」を使ってはいけない理由

これまでも、養成講座の中には「できるだけ今の仕事にやりがいを見つけさせて、辞めないようにさせる」などの低レベルな指導をする団体があり、開いた口が塞がらなかったわけですが、今回も同じですね。

「促す」という言葉の意味を知らないわけです。

受験生の皆様も、まずは「促す」という言葉の意味をきちんと調べて下さい。

うながす【促す】
( 動サ五[四] )
① 早くするようせきたてる。催促する。 「連れを-・して急ぐ」
② 相手がそれをする気になるよう勧める。 「参加を-・す」 「注意を-・す」
③ 進行を早める。促進する。 「発育を-・す」

出典:大辞林第三版 三省堂 

いかがでしょうか。

主体的な選択、自己決定権の尊重とは真逆の概念です。

気づきを促す、内省を促す、などの文脈で使うのは良いと思います。

この場合は、「そうする気になるよう勧める」ことが、ある意味では、キャリアコンサルタントの役割として必要だからです。

しかし、何かのツールなどの使用を促す、とかであれば、それは自己決定権の尊重とはなりません。

例えば、あなたが「ハローワークに行くように促された」らどう感じますかという話ですね。

自己決定権を尊重されていると感じるでしょうか。

もちろん全ての養成講座のレベルが低いとは言いませんが、少なくとも「促す」を多用するような「模範的」解答を作る団体は…ヤバいですね。

コンサルタント・カウンセラー・コーチは言葉の専門家でなければならない。

常々お話ししていますが、コンサルタント、カウンセラー、コーチといった職業は、「言葉」が商売道具です。

「言葉」の使い方や意味、相手が受ける印象に鈍感ならば、訓練が必要です。

どれだけ「傾聴(態度)」が良くても、使う言葉が「私」ではなく「拙者」だったら、シビアな場にはちょっと合いませんよね。

まあ、そこまで極端な話でなくても、例えば

「キャリアコンサルタントなんですね。私「も」持ってます」
「キャリアコンサルタントなんですね。私「でも」持ってます」

いかがでしょうか。

後者を言われたら、大抵の人は不快に感じるはずです。

ほとんど同じ文章であっても、わずか1文字変わるだけで、相手の心に与える影響が変わる。

これが「言葉」です。

そして、コンサルタント、カウンセラー、コーチといった職業は、この「言葉」を駆使するのです。

アサーションも、「言い方」つまり「言葉」の使い方のトレーニングをすることは、ご承知のとおりです。

法律も「以上」「以下」「超える」「未満」「遅滞なく」「すみやかに」「ただちに」「無罪」「無実」「暴行」「傷害」「または」「および」…全て意味合いが違いますよね。

こういった言葉の使い方を学ぶことについて、面倒だ、神経質だと思う方には、適性が無いというだけのことです。

「言葉」に鈍感な方は、さようなら。

それがこの職業(業界)の、たったひとつの「ルール」です。

言葉では伝わらないものが確かにある。
しかしそれは言葉を使い尽くした人だけが言えることだ。

言葉は心という海に浮かんだ氷山のようなものだ。
海面から浮かんでいる部分はわずかだが、それによって海面下に存在する大きなものを知覚したり、感じ取ったりすることができる。

言葉を大事に使いなさい。
そうすればただ沈黙しているよりも、より多くのことを正確に伝えられるのだから。

出典:銀河英雄伝説©田中芳樹 らいとすたっふ

先日、ミニセミナーの後の懇親会で、出席された方から「キャリ魂塾で言葉の大切さに気づきました」と言って頂きましたが、こういう言葉を頂くのは、本当に嬉しいですね。

ありがとうございました。