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設問1:解答例
相談者は大学3年生で、研究室を決める時期である。これまでは大学院進学を考えてきたが、先輩達からキャリアに関する様々な話を聞き、ただ大学院に行くだけではダメだとも思う。就職も気になるが、適性やしたいこと等も分からず、どうしたらよいか(分からない)。
116(121)文字(句読点含む)
※本解答例はあくまで「受験生と同じ状況(初見・制限時間約5分)で解答した場合における、キャリ魂塾として考える一例」であり、今後設問を検討し、変更を行うことがあります。以上につきご了承をお願いいたします。
設問1:設問のねらい
基本的に、設問1は「国語(現代文)の試験」と考えて差し支えありません。
ここで問われているのは、「全体を要約して伝える」スキルです。
個人で相談業務をしている場合は別として、法人や団体で面談業務を行う場合、ほとんどの職場で「相談の概要の記載」(相談記録票作成)が必要となります。
このとき、ダラダラと余計なことばかりを記載したり、重要なポイントを記載しなかったりすると、引継ぎなどがスムーズにいきません。
100文字なら100文字、200文字なら200文字、逆に50文字なら50文字と、職場のフォーマットに基づいて、きちんと「記載すべきことを記載する」スキル(=要約スキル)が求められるんですね。
そのため、設問1は非常に実務的な出題と言えます。
設問1:解答のポイント
国語の試験やビジネス文書での基本は、いわゆる5W1Hに沿って記載することが大切です。
しかし、ことカウンセリングにおける面談記録の場合は、この5W1Hに加えて「Emotion」を記載することが絶対に必要です。
これは、カウンセリングを行う団体の多くが「気持ち」を重視しているためです。
面談記録における概要記載
繰り返しますが、ここで求められるのは「一般的なビジネス文書作成」ではありません。あくまで「国語的要約」をベースに、「カウンセリング記録」の要約として、必要なポイントを記載することが求められます。
そのため、設問1については
・誰が→「相談者が」
・どのような経緯で→「研究室を決める時期が迫ってきたことで」
・現在の状況に至り→「大学院への進学と就職のどちらかを選ばなければならない状況になり」
・どんな気持ちになって(相談に来たのか)→「ただ大学院に行くだけではダメなのではないか」「(就職と言っても)どうしたらよいのか…」
この大まかな流れを外さず記載することがポイントです。
もっとシンプルに言えば
1.相談者はこれまで大学院進学を考えていた
2.しかし、就職も気になるようになった
3.とはいえ、就職についてはどうしたら良いのか分からない
これが記載できていれば、最低限の内容は伝わりますので、この3つで6点と考えても良いのではないでしょうか。
ただ設問1は、キーワード採点と考えられるため、多少情報量を多めに記載することをおススメしています。
キャリコン論述試験の場合、一行に50~60文字(句読点含む)程度は記述することができます(あまり小さい字になると、採点者が読みづらくなるので注意)。
また、国家資格試験の論述は、2級の論述と比べても圧倒的に時間が足りないため、できるだけ一撃で書き上げることもポイントの一つです。
要約スキルは、新聞社説の要約等で練習を!
この要約スキル(ひいては求められる場面に応じた、適切な文章作成能力)は、一朝一夕で身につくものではありません。
私も、相談業務を行った際は、毎回この「相談概要」の作成を行っています。
虐待など、相談内容によっては外部への情報提供(通告)を行うケースもあり、そういったケースでは「情報提供を受ける外部機関にとって重要な情報は何か」を考える必要も出てくるなど、概要作成は作成者だけではなく、所属する企業・団体の評価にも繋がる業務です。
苦手な方は、ぜひ新聞社説の要約など、地道な研鑽に取り組んで頂ければと思います。