設問1:解答例

相談者は離婚を機に不動産会社事務職にパートで入社、2年目で正社員になり現在3年目。コロナ禍もあり、育児との両立を考えると「テレワークが羨ましい」と思うが現職では難しい。また今後の不安もあり転職も考えるが簡単な事務しかできず、どうすればよいか分からない。
126文字(句読点含む)

※本解答例はあくまで「受験生と同じ状況(初見・制限時間約5分)で解答した場合における、キャリ魂塾として考える一例」であり、今後設問を検討し、変更を行うことがあります。以上につきご了承をお願いいたします。
※追記1:「不動産会社」をカットし、「今後の不安」を「今後に漠然とした不安」と書き換えるのもありかもしれません。

設問1:設問のねらい

基本的に、設問1は「国語(現代文)の試験」と考えて差し支えありません。

ここで問われているのは、「全体を要約して伝える」スキルです。

個人で相談業務をしている場合は別として、法人や団体に雇用されて面談業務を行う場合は、ほとんどの職場で「相談の概要の記載」が必要となります。

このとき、ダラダラと余計なことばかりを記載したり、重要なポイントを記載しなかったりすると、引継ぎなどがスムーズにいきません。

100文字なら100文字、200文字なら200文字、逆に50文字なら50文字と、職場のフォーマットに基づいて、きちんと「記載すべきことを記載する」スキル(=要約スキル)が必要になります。

そのため、設問1は非常に実務的な出題と言えます。

設問1:解答のポイント

国語の試験やビジネス文書での基本は、いわゆる5W1Hに沿って記載することが大切です。

しかし、ことカウンセリングにおける面談記録の場合は、この5W1Hに加えて「Emotion」を記載することが絶対に必要です。

これは、カウンセリングを行う団体の多くが「気持ち」を重視しているためです。

面談記録における概要記載

繰り返しますが、ここで求められるのは「一般的なビジネス文書作成」ではありません。あくまで「国語的要約」をベースとした「カウンセリング記録」の要約として必要なポイントを記載することが求められます。

そのため、設問1については

・誰が→「相談者が」
・どのような経緯で→「離婚を機に現職に採用され2年目から正社員」
・現在の状況に至り→「コロナ禍になり育児との両立が不十分と感じ」
・どんな気持ちになって→「テレワークが羨ましい」「転職した方が良いのか」「どうしたらよいか分からない」

相談に来た。

これを記載することが肝要です。

ただ、キャリコン論述試験設問1は、キーワード採点と考えられるため、多少情報量を多めに記載する方が良いかもしれません。

キャリコン論述試験の場合、一行に句読点を含んで、130文字程度は記述することができます(あまり小さい字になると、採点者が読みづらくなるので注意)。

また、国家資格試験の論述は、2級の論述と比べても圧倒的に時間が足りないため、できるだけ一撃で書き上げることもポイントの一つです。

この要約スキル(ひいては求められる場面に応じた、適切な文章作成能力)は、一朝一夕で身につくものではありません。

キャリアコンサルタント・カウンセラーは「言葉のプロフェッショナル」であり、「言葉は心という海に浮かんだ氷山の一角」です。

苦手な方は、ぜひ新聞社説の要約など、地道な研鑽に取り組んで頂ければと思います。