理想のライフスタイルを実現する、キャリ魂塾のキャリ魂太郎です。
このエントリーでは、国家資格キャリアコンサルタント論述試験対策の基本でありながら、多くの受験生の課題と感じることをピックアップしています。
※基本的には、キャリアコンサルティング協議会を想定していますが、一部はJCDAでも同様かと思います。
Contents
キャリアコンサルタント論述試験対策以前の課題
これまで、軽く1,000枚以上の模擬試験答案を採点してきました。
その中で感じるのは、多くの受験生が「共通する課題」を抱えていることです。
そしてそれは、「論述試験」以前の課題であることがほとんどです。
具体的には、下記のようなものです。
1.漢字ミス(誤字脱字)が多い。
2.主語と述語の関係の誤り。
3.助詞の不正確な使用。
4.冗長な文章。
5.修飾、被修飾の位置関係が遠い。
6.話し言葉として不自然。
7.空欄前後で自然に繋がらない。
自分はそんなことはない、と思われるかもしれません。
しかし、これら全てをクリアしている受験生は、1割程度と言ったところです。
また、私も急いで打っていたりすると、間違えることもあります。
つまり、これらは「誰でもしてしまう可能性がある」ことです。
論述試験を練習する際、また本試験に臨むにあたっては、上記の課題を必ず意識するようにして下さい。
漢字ミス(誤字脱字)が多い。
今回、キャリ魂塾の論述模擬試験は、父親の骨折による介護をテーマにしました。
つまり、問題文には「骨折」と書いてあるわけです。
にもかかわらず、複数名の方が「骨接」と書いていました。
意味が逆になってしまいますね。折れたのにくっついてます。
落ち着いて、漢字を見直してください。
そして、相変わらず「自己肯力感」と書かれている方が少なくありません。
自己「効力」感です。
また、「職暦」「履暦」なども多いです。
「暦」は「こよみ」です。
「暦」は季節、カレンダーのお話ですね。
個人の経験してきたことなどは、自分の「歴史」ですから「歴」になります。
実際に間違えている方が多数いるので、あまりキツくも言えないのですが、「履歴書」を正しく書けないキャリアコンサルタントって、採点担当者の目にはどう映るでしょうか。
その他、慌てているのだと思いますが、脱字なども目立ちます。
主語と述語の関係の誤り。
主語と述語の関係が不明瞭だったり、誤っている文章を書く方も多いです。
例えば
「相談者は、実家のあるA県での労働市場について情報収集を支援する」
こういう文章です。
「相談者は→支援する」ではないですよね。
「支援する」のは「キャリアコンサルタント」です。
正しく(そして読みやすくするために)は、
「相談者は、実家のあるA県での労働市場について『理解が不足している』。そのためHWIS等の情報を提供することで、A県の労働市場の理解が得られるよう支援する」
となります。
助詞の不正確な使用。
助詞の使い方が正確ではない文章も目立ちます。
私は文法の専門家ではありませんので、助詞・助動詞などの違いはもちろん分かりませんが、例えば
「ご両親は、今回の就職で反対されているんですね」
こういった文章は、間違いとは言い切れないため、減点はしませんが、モヤっとします。
なぜ「で」?
ここで使うのは「に」ですよね。
「ご両親は、今回の就職『に』反対されているんですね」と書くと、スッキリしませんか?
「学校「に」風邪が流行っているんですね」
よりは
「学校「で」風邪が流行っているんですね」
の方が、すっと入ります。
意図は伝わるので減点はしませんが、こういった「モヤっと」する文章は、疲れていると余計に気になってきます。
冗長な文章。
これは、本当にやめて欲しいです。
「相談者は、両親の介護の問題がありながらも、それを上司に相談できていないという自己理解や仕事理解の不足があり、またワーク・ライフ・バランスが崩れている点についても自覚が足らず、一人で悩んでおり、職場での孤立が伺える点も心配だが、本人の「何とか大丈夫です」という言葉から、この点に関しても自己理解や自分が万一病気になった場合などの周囲への影響などに考えが至っておらず、仕事理解の不足と考えられるため、こういった点について支援を行っていく」
ここまで極端な人はめったにいませんが、こんな文章は読みたくありません。
自分で打っていても、ゾワっとします。
それは「読む相手のことを一切考えていない」人しか書けない文章だからです。
どう書けば、読み手に「自分の言いたいこと」がより正確に伝わるか、他人から見て読みやすい文章とはどういったものか、そんな考えが一切ない人しか書けない。
そんな文章なんです。
また、冗長な文章は書く側のミスも読む側のミスも増えることになります。
こういった点でも、一文は短くするように心がけて下さい。
修飾、被修飾の位置関係が遠い。
これは、急いで書くとよく間違えるポイントです。
「山田さんは、いつも隣の市の職場に行くのに、バスを使うんですね」
と書くよりは、下記のように書く方が伝わりやすいです。
「山田さんは、隣の市の職場に行くのに、いつもバスを使うんですね」
このように、「いつも」という頻度の修飾語を「バスを使う」という行為(被修飾語)の近くに置くと、意図が伝わりやすくなります。
話し言葉として不自然。
これも非常に多いです。
空欄Aは「逐語」の中に入る応答ですから、「話し言葉」として自然であるほうが望ましいはずです。
例えば、空欄Aを埋めるのに、
「Aさんは、電機メーカーに勤めたが、3年で退職した。その後1年間就職活動をしたが、まだ就職できていない。貯金も底をついてきており、焦っていると。」
相談者に対して、そんな言い方しませんよね。
でも、論述試験だと書いちゃう。どうしてでしょう。
「Aさんは、電機メーカーに3年間お勤めされた後、退職され、その後1年間就職活動をしてこられたんですね。けれども、まだ納得できる就職ができておらず、貯金も減ってきており、焦っていらっしゃる感じでしょうか。」
リアル面談だと、こうやって話していませんか?
いつも話しているように、柔らかさを意識して書いて下さいね。
特に「が」という言葉は、文字にするとなんとなく厳しい印象を与えるように感じます。
注意してみて下さい。
空欄B前後で繋がらない。
これ、意外と多いんです。
「なるほど、では【B】について考えてみるというのはいかがでしょうか。」
ここで【B】を埋めるのが、受験生のすべきことです。
なのに
【では、将来の夢について考えてみる】
って書いちゃう。
それだと
「なるほど、ではでは、将来の夢について考えてみるについて考えてみるというのはいかがでしょうか。」
になってしまいます。
問題をよく読んで、適切な語句や応答を入れるようにして下さい。
まとめ
以上をまとめると、
落ち着いて、問題をよく読み、あくまで「逐語記録上、自然な応答」や「適切な文章」を、「読み手が読みやすいように」書く。
ということになります。
そして、これは「内容以前」の課題です。
どれだけ見立てが正確であっても、それを「読み手である採点者」に伝えるスキルがなくては、論述試験としては意味がありません。
このエントリーも、読み手であるあなたが、できるだけ読みやすいように、漢字やひらがなの使い分け、句読点の位置、そして一つ一つの文章の長さや改行を意識しています。
読む相手のことを考えた文章を書けない人が、目の前の相談者に寄り添い、相手にこちらの意図が正しく伝わる話し方ができるでしょうか。
文章を書くのも、実際にお話をするのも、支援者としての姿勢は全く一緒なんですね。