キャリ魂太郎です。

このエントリーでは、ジェンドリンの理論に基づいて、一部の養成講座の指導方法に反論を行っています。

ジェンドリンの体験過程理論

フォーカシングを提唱したジェンドリンは、ロジャーズと一緒に研究をした学者です。

このジェンドリン、元々は哲学を専攻していたのですが、ロジャーズからカウンセリング(臨床心理)を学んでおり、2017年5月、91歳で亡くなられました。

ロジャーズより四半世紀ほど若い方だったんですね。

さて、今回のエントリーの前提なのですが、ロジャーズは「『技法に関わらず』成功するカウンセリングの共通点」に気づいていました。

これが、養成講座でも学ぶ「カウンセラーの自己一致、共感的理解、無条件の肯定的関心」ですね。

ロジャーズとジェンドリンの真逆のアプローチ

このロジャースの3条件に対して、ジェンドリンは、逆のアプローチを行いました。

ロジャーズが主に、「カウンセラーの在り方」からカウンセリングの成功要件にアプローチしたのに対して、ジェンドリンは「クライエントの在り方」からカウンセリングの成功要件にアプローチしたわけです。

簡単に言うとカウンセリングの成功に重要なのは、

ロジャーズ:カウンセラーの関わり方(態度)
ジェンドリン:クライエントの関わり方(話す内容)

となります。(ジェンドリンは別にロジャーズを否定しているわけではありません。両方が揃えばより良いのは当たり前ですよね。)

ジェンドリンの体験過程理論に基づく、カウンセリングの成功要素

ロジャーズはあなたも養成講座で学んだはずですので、割愛し、ジェンドリンにフォーカスします。

ジェンドリンは、

「多くのカウンセリング成功事例では、カウンセラーがどう聞くかだけではなく、クライエントがどういうことを話しているかも関係してくる」

この点に着目しました。

これを言い換えると「クライエントがどのように(カウンセリングの時間を)体験しているか」と考えたんですね。

だからフォーカシングでは「7段階の体験過程」という理論が出てきます。

この7つの体験過程とは、「クライエントが自分の気持ちをどれだけ吐露しているかを7段階に分類したもの」と言えます。

段階1:全く自己関与がない状態

クライエント自身にとって、特に関係のないことを話す段階です。

例:ロサンゼルスで異常気象だそうですね。

カウンセラー視点では、クライエントは心を開いていないと考えられる状態です。

段階2:自分には関係するけれど、外的な話。

クライエント自身に関係はするけれど、一般論的な会話です。

例:今日は花粉が多くて、鼻が詰まっていますが、大丈夫です。

この段階も、ラポール的には低いと考えて差し支えありません。

そして、この段階1.2で「リフレクション(伝え返し)」をしても意味はなく、「はい、今そう言いましたよね」と返されます。

例えば、
CL:「今日は花粉が多くて、鼻が詰まっていますが、大丈夫です」
CC:「今日は花粉が多いんですね、鼻詰まりは大丈夫なんですね」
というやつ。

「今そう言いましたよね。」で終わります。

繰り返しますが、この1.2.段階でのオウム返しには、意味がないとされます。

段階3:反応としての気持ちが表れる。

段階3に入ると、クライエントが、少し気持ちを表してきます。

例:本当に、毎年この時期は花粉症で『不快』です。林野庁や厚労省って『国民の健康なんてどうでもいいんでしょうね』。

こんな感じ。

この段階3までしか踏み込めずにいると、多くの場合「カウンセリングは失敗」に終わるとされます。

受験生的には「堂々巡り」という介入レベルと言う感じでしょうか。

これは「事実ばかり話していて、気持ち(の深いところ)を話してくれなかった」ということになります。

段階4:詳しい気持ちの描写がはじまる。

段階3よりも、感情について語られ始める段階です。

例:花粉症で、目も満足に開けられないし、医療費はかさむし、不愉快だけでなく、生活が「苦しい」んです。毎朝呼吸が苦しくなって目覚めるし、『なんだかもう…外に出たくない…動きたくないっていうのかな…』

このように、「感情を表現する言葉を探すための沈黙」などが生じ、段階3よりも探索的であり、描写が詳しくなってきます。

段階5:気持ちを自己吟味したり、問題提起したりするような段階。

段階4の感情をさらに吟味したり、はっきりと自己探索したりします。

例:このつらさは、花粉症ではない人には「分からないでしょう?(問題提起)」毎朝、外に出るのさえ辛くて、ううん、「それどころか(吟味)」目玉も鼻も外して洗いたい洗いたい洗いたいってそんなことばかり考えてしまうんです。

この段階5に入ると、カウンセリングの成功事例が増えてくるとされます。そして「リフレクション」はこの段階から増やすべきであるとされます。

例えばこんな感じ。
CC:「目玉も鼻も洗いたくてたまらない、そんなことばかりを考えてしまうんですね?」
CL:「ええ、ほかのことが考えられないんです」
CC:「他のことが考えられない?」
CL:「ええ、とにかく目と鼻、喉のことばかり考えてしまって…本当は仕事のことも子どものことも考えなきゃいけないのに…」

段階2とは、明らかに反応が変わることが多く、オウム返しが有効に機能してきます。

段階6.7:自己探索が進み、気づきが生じる状態

段階6.7はちょっと細かくなってくるのでまとめますが、自己探索が完全に進んでいく状態を指し、この段階でのカウンセラーの援助は、「自己探索の支援」や「感情に触れるキーワードの発信」ということになります。

そして、こういったカウンセラーの働きかけにより、段階6.7では、何かに気づいたりすることが増えてきます。

例えば
CL:「私、本当に仕事も家庭もちゃんとやりたいのに…花粉症さえ治れば…」
CC:「花粉症が治れば…?」
CL:「ええ、花粉症さえ治れば、私、「ちゃんとできる」んです。花粉症になる前は「できていた」んだから。」

こういう感じでしょうか。

ただ繰り返すだけなら、素人のほうがマシである。

いつも面接ロープレ対策講座でお話していますが、「新幹線で青森から東京に出てきた」を繰り返すことに意味があるとすれば、それは「あなた(の記憶)のために」繰り返しているというだけです。

クライエントのために繰り返しているのではありません。

そんな繰り返しなら、聴き上手な素人に話した方がマシですよね。

あえて一部の養成講座、講師に苦言を呈すると、ジェンドリンの理論(そしてキースラーの研究)に基づけば、最初から全ておうむ返しで、質問をしないというのは、「失敗するカウンセリングの方法」です。

インテーク(試験的には15分)では、段階2,3が主になりますから、そもそも論で言えば、伝え返しはほとんど必要ないのですから。

※本エントリーは「傾聴とフォーカシングの臨床心理学」(池見陽,1996)を基に再構成したものです。

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