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「粘り」のない受験生が100%
現在のキャリアコンサルタント養成講習での学びは、私が学んだ2015年のモノから新体系となりましたし、また個々の養成講習の教え方にも個性があるため、実際のところどんな指導をされているのかは把握しようがありません。
とは言え、なぜか不思議に共通しているのは、「粘りがない」ことです。
私の知る限りで言えば、「粘り」のない受験生が100%です。
「粘り」がないとは?
「粘り」とは、簡単に言えば「諦めない」ことです。
つまり「粘りが無い」とは「諦めが早い」ことなんです。
なぜか、修了した養成講習に関わらず、受験生はみんな「諦めが恐ろしく早い」のです。
簡単な例でご説明しますね。
「今晩あなたが、眠っている間に奇跡が起こったと想像してみて下さい。奇跡とは、今日あなたがここへご相談に来られた理由が解決するというものです。ただ、あなたは、眠っていたので問題が解決していることは知りません。明日の朝、目が覚めたときにどのような違いがあることで、奇跡が起こって、あなたがここに来ることになった問題が解決したとわかるでしょうか?」
(DeJong&Berg.1997)
これは、解決志向ブリーフセラピーで行われる「ミラクルクエスチョン」です。
このミラクルクエスチョンを問いかけたタイミングや、ラポールの程度にもよりますが、多くのクライエントはこう言うでしょう。
「そんなのわかりません」
もしキャリアコンサルタント受験生が、何かクライエントに問いかけた後、「そんなのわかりません」と言われたら、
「そうですよね、なかなか難しいですよね…
応答の言葉は別として、文脈的には、このように「クライエントの反応におもねる」人が100%です。
別にミラクルクエスチョンに限りません。
ほとんど全ての問いかけで、「クライエントの反応が悪いと、別の質問や話題に逃げてしまう」のが受験生なんですね。
なぜ、受験生は「別の話題に逃げてしまう」のか?
「問いかけ」に対してクライエントの反応が望ましいものではないとき、まず100%、受験生は別の話題に逃げてしまいます。
それは、恐らくは
・自分自身が技法(問いかけ)の意味や効果を良く分かっていない。
・怒らせた、機嫌を損ねたと思ってしまう。(つまりラポールが壊れたと考える)
この2つの理由、どちらも大きいと感じます。
「技法に基づく問いかけ」の意味やその効果が良く分かっていないのは、技法の習得が進んでいないので顕著ですし、加えてロープレしか経験がないために「ラポール」を「好き嫌い」の感情だと勘違いしているわけですね。
いつもお話していますが、ラポールは相手が怒ろうが、嫌われようが、壊れないモノは壊れないのです。
どれだけブラックジャックを無免許医とバカにしていても、最後に頼るのはブラックジャック。
これが「プロのラポール」であり、「好き嫌い」とは関係ありません。
「そんなのわかりません」から「粘る」
では、「そんなのわかりません」と言われてから、「粘る」方法をお伝えしておきます。
一つは、説明をすることです。
「今の問いかけは、ミラクルクエスチョンと言って、非常に効果のある解決志向ブリーフセラピーでのアプローチで良く用いられている質問なんですね。少し今考えにくいかもしれませんが、あくまでイメージをするということが大切なので、お時間を取りますから、ゆっくりと考えて頂けますか?」
これが「粘り」です。
「クライエントの役に立つ」と思って問いかけたのなら、軽々に引っ込めない。
あなたに子どもがいたとして、子どもに何か体調不良があったとしましょう。
お医者さんが薬を出してくれたけれど、苦いことは分かっている。
子どもは薬が嫌い。
あなたはこんな風に言うはずです。
「ちゃんと薬を言われたとおり飲もうね。だって良くなりたいよね?このお薬は、結構効くって有名なんだよ。明日は治ってるかな?」
クライエントに対しても同じです。
「この質問を考えることで、あなたのお悩みに役に立ちます」
これを自信をもって言えないから、引っ込めてしまう。
そして、「そんなのわかりません」と言われたのだから、これは拒絶ではなく、「分かるように趣旨を説明してよ」と言われていると考えることもできます。
しっかりと「粘るべきは粘る」。
繰り返しますが、「粘る」ことができないのは、「クライエントにとって『より良い結果』をもたらす」かどうか、支援者として自信がないからです。