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このエントリーでは、民法改正に伴う労働契約の解約申出(つまり退職の申出)について、解説しています。
現在のルールは3種類。
キャリ魂塾の学科試験対策指導では、養成講習とは異なり民法を重視しています。
それは、学科試験にはまず出題されない民法が、労働基準法等の理解において非常に重要だからです。
インターネットなどでは、「労働者からの退職の申出は14日前にすればよい」といった内容の説明がされていることが多いのですが、厳密にはこれは誤りとなります。
まず、労働基準法では「無期雇用労働者からの退職の申出は、〇日前に行うものとする」というルールは定められていません。
この場合、労働基準法は民法の特別法という扱いのため、労働基準法に定めのないルールは、民法のルール(条文)が適用されます。
なので、無期雇用労働者からの退職申出に際してのルールは、下記の通りとなります。
原則:退職の意思表示から2週間経過で終了。
月給制:賃金計算期間の前半に退職の意思表示をした場合、次の賃金締め日で終了し、賃金計算期間後半に申出した場合は、翌賃金期間の満了で終了。
年俸制:退職の意思表示から3ヶ月経過で終了
となっています。
民法の「退職のルール」が改正される!
しかし、現在民法が改正されており、順次施行されています。
実は、このルールに関する民法改正が施行されると、上記の3つの相違がなくなり、全て、「退職の意思表示から2週間経過で雇用契約終了」となります。
就業規則はどうなる?
民法のルールには、「任意法規」と「強行法規」という区別があります。
任意法規としてこの労働契約の終了を解釈すると、就業規則は一応労働者に周知されており、採用時にも労働条件として合意することが可能ですので、就業規則が有効となります。
しかし、強行法規として解釈すると、この一律2週間という改正は「労使の合意にかかわらず2週間」として強制されるため、就業規則で定めた、退職の事前届出ルールが無効とされる恐れがあります。
個人的には、医師をはじめとする有資格者の雇用はもちろん、現在人手不足が厳しい状況であることから、極端に長い事前申出期間を定めることはともかく、合理的な範囲内で労使双方が合意した事前申出期間は有効とするべきだと考えています。
こういった論点は、ほぼ100%キャリアコンサルタント学科試験には出題されませんが、退職代行などのサービスも広がってきた現状では、実務的に非常に重要な意味を持ちます。
キャリアコンサルタントは、労働法に関する改正だけでなく、民法の改正にも注意をしなければならないのです。
この民法改正にもぜひ注意をしておいてくださいね。