このエントリーでは、心理カウンセラー・キャリアコンサルタントに絶対必要な3つのポイントのうち、「自分の健康を守る」について、解説しています。
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心理カウンセラー・キャリアコンサルタントに絶対に必要な3つのポイント
心理カウンセラーやキャリアコンサルタントとして相談業務に入るために、絶対に必要になるのは、下記の3つです。
1.自分の健康を守る
2.守秘義務を守る
3.クライエントと依存関係に入らない
まず自分の健康を守る
このエントリーでは、1.自分の健康を守る について解説をしていきます。
「自分が病んでしまいませんか?」という質問に対する回答
例えば「私はカウンセラーです」と自己紹介したり、「仕事で心理カウンセリングをしています」などとお話しすると、多くの方から本当によく頂くご質問があります。
それが「自分が病んでしまいませんか?」です。
私はこのように「自分が病んでしまいませんか?」と質問されると、毎回こう答えます。
「クライエントのお悩みを聴いて、自分が病んでいるようでは、まだプロとは言えません。」
これは凄くもなんともない、本当に当たり前の話なんです。
「自分が病まない」は最低限でありスタートライン
「相談対応で自分が病まない」。
これは相談業務を仕事にするなら、最低限であり、スタートラインです。
逆に言えば、自分が病むかもしれないと思うなら、まだ仕事にするには準備ができていない状態です。
これはとても大事なことですが、意外と軽視されているように感じます。
本来、自分の健康という何よりも大切なものを守る自信がないのなら、まだ実務に入ってはいけないんです。
毎日「死にたい」相談を受けても病まないために
職場にもよりますが、精神的にきつい相談があることは少なくありません。なので、それが分かっているのであれば、防衛策は事前に準備しておく必要があります。
私は以前、夜の10時から朝の7時まで、SNSを使った自殺防止相談の事業統括責任者兼スーパーバイザーという立場で働いていました。
誇張抜きに、カウンセリング現場としては、最も過酷な現場だったと思います。毎日毎日毎日8時間ひたすらずーっと、死にたい死にたい死にたい助けて、今から死ぬ、今手首を切っている、最後に誰かと話したかった…そんなご相談ばかりの現場ですから…
自分がひとつ対応を間違えれば、場合によっては本当にクライエントが死ぬかもしれない。遺書に「最期に相談したカウンセラーが全く理解してくれなかった」と書かれる可能性もありますし、対応に激高したクライエントが、自暴自棄になってジョーカーのように事件を起こす可能性だってないとは言えません。そのため毎回非常にシビアな、一言一句にまで神経を使った対応が求められる職場でした。
しかし、それでも精神的には安定しています(逆に言えば、精神的に不安定な人ができる仕事ではありませんよね)。
自分の安全をおろそかにする人は、専門職とは言えない
もちろん、疲れるということはあるし、ストレスも溜まります。人間だからそれは当然です。けれども「病む」ことは一切ありません。
どんなキツイ悩みを聴いても、勤務時間が終了し、自宅に戻って休めばリフレッシュし、キレイすっきりさっぱり持ち越さない。
これができないのであれば、実務の場にデビューするのは、思いとどまってください。危険な現場である、リスクのある業務だと分かっているのに、無防備で仕事に臨むのは、「専門家」ではありません。
防衛策・安全対策がないというのは、例えて言うなら、「原子力発電所で作業をするのに防護服を着ない」。これと一緒ぐらいありえない話です。工事現場に入るのにヘルメットをかぶらない、自分の安全をおろそかにする。それは専門職とは言えませんよね。プロほど自分の身を守る、安全に気を配っています。
個人開業の方なら、病んでしまえば生活が不安定になります。またどこかで雇用されて働きたい考えている方は、仕事としてカウンセリングをして、そのカウンセリング業務が原因で自分が病んでしまったら、それは「労災」になり、事業運営にも影響するんだということも理解しておかないといけません。
限界を弁え、リファーを適切に行う
では、どんな防衛策・安全対策があるのかと言えば、それは個人個人によって色々と違っていいと思います。
例えば気分転換できる趣味があるというのでもいいと思います。でも、食べ物とかお酒とかそういうのはあんまり良くないですよね。それはそれで体に変調をきたす可能性があるので、違う方法を考える方が良いと思います。
私がお伝えしたい方法の1つは、自分の限界をわきまえて、きちんとリファーするということです。
自分の限界をわきまえるというのは、自分にできないことはできないと割り切るということです。
それができれば、クライアントが自分の限界を超えた悩みを言ってきた際に、「そのお悩みに関しては、大変恐縮ですが私ではあなたのお役に立てません。誠に申し訳ありません。ただ、そのそのお悩みには、○○という専門機関(専門家)がありますので、もしよろしければそちらをご紹介させて頂きたいと思うのですが、いかがでしょうか…」と言えるようになります。
リファー先としては、医療機関や児童相談所などは必須のリファー機関になります。自殺防止相談だと、警察も非常に重要なリファー先です。
また、自傷他害をしてしまった相談などの場合、救急車を呼ぶこともありますので、緊急性の高い場合のリファー先の選定やリファーの実行は非常に重要です。同様に、医療、福祉の公的機関について勉強しておくことは、とても大事だと思います。
職場にリファーできる人はいますか?
職場でリファーできる人がいるかどうかも重要です。私はスーパーバイザーでしたので、例えば自殺防止相談で対応されていたカウンセラーから、「希死念慮の強いクライエントを、どうしても止められません。このままだとクライエントが死んでしまうかもしれないので、代わって下さい」といったリファーが良くありました。
このような感じで、職場にリファーできる方や指導してくれる方がいるかどうかも大事だと思います。
ひとりで抱え込まずに、適切にリファーできれば、ストレスはかなり軽減するし、その後を引き継いだ方の対応を見ることで、自分の学びにもなって一石二鳥ですよね。
また、SNSカウンセリングの場合、返信に少し時間的余裕があることもありますから、その場にいるスタッフで話し合いながら対応する、ということもできると思います。
このように、きちんと自分の限界をわきまえ、リファーを適切に行える、これが「自分の健康を守る」一つの方法だと思います。
「自分『が』なんとかしてあげたい」の気持ちより、「自分『を』守る」
この業界はクライエントに対して、自分が何とかしたい、自分が何かしてあげたいといった気持ちが先行してしまう方が多いように感じます。
しかし、何よりも「クライエントの前に、まず自分の健康を守る」。
どうぞこのことを忘れず、ご自身の健康を大切にして頂ければと思います。