リハビリテーションカウンセリングは第4回初出後、8.9.10回と3回連続出題されたこともある重要論点です。

学習の目標:相談者の個人的特性等によって、課題の見立てのポイントや留意すべき点があることについて一般的な知識を有すること。

リハビリテーションの定義

リハビリテーションに関する定義:「身体的・精神的・ 社会的に最も適した機能水準の達成を可能にすることで、各個人が自らの人生を変革して行く手段の提供を目指し、かつ時間を限定した過程」
(国際連合 の障害者世界行動計画 1982)

① 「身体的・精神的・社会的に」
リハビリテーションは医学分野に限るものではなく、教育や社会的分野に加えて職業的な分野も重要な構成要因であり、いわゆる総合リハビリテーションの視点に立つことが不可欠である

② 「最も適した機能水準の達成」
リハビリテーション活動は、個人の置かれている様々な環境(職業や職場なども当然この中に含まれる。)との関わりにおいて「最適な機能水準」となる関係性を目指すものであり、発症以前の状態にまで回復させる「最高の状態」を求めるのではない。

③ 「各個人が自らの人生を変革して行く」
本人の意思決定や自主性、更にはそのためのエンパワーメントの向上を重視している。

④ 「時間を限定した過程」
実行プログラムには始まりと終わりがあるため、実施に際してはケースマネジメントの視点が不可欠である。

リハビリテーションカウンセリングの定義

「リハビリテーションカウンセリングとは、身体障害、知的障害、発達障害、認知障害、情緒障害のある人の個人的な目標や、職業及び自立生活における目標を、最も統合化された場で達成するために体系化された支援過程のことである。このカウンセリング過程とは、本人自身による権利擁護の促進や、心理学的・職業的・行動学的な介入を通じて、コミュニケーション、目標設定、望ましい発達や変化を促すものである。」

(2003年Commission for Rehailitation Counselor Certification 全米リハビリテーションカウンセラー認定委員会による定義:八重田訳 2008.05.31)

キャリアコンサルティングとの関係

キャリアコンサルタントの基本的知識のひとつとして「相談者の類型的・個人的特性(例えば、障害者については障害の部位や程度)などによって、留意すべき点があることについて理解していること」が挙げられており、その連携が重要と考えられる。

なお、障害者職業センターでは『障害者の雇用の促進等に関する法律』に基づく職業指導の一環として職業リハビリテーションカウンセリングが実施されている。

リハビリテーションカウンセリングの独自性

生物・心理・社会的な障害の影響を最小限に留めて、それが社会的不利に及ぼす影響をできるだけ阻止することによって、社会参加を促すための様々な活動を展開するための支援技術にある。




リハビリテーションカウンセリングにおける支援技術

① カウンセリング
障害者本人を対象とする場合には、障害によって否定的になった自己像を現実の場面に即して肯定的に再統合化したり、達成が困難となった将来目標を現実に即して達成可能な目標として再構築する。

② コーディネート
障害によって機能低下した職務遂行の技能や能力を回復・復旧させたり、代替の技能を再学習して仕事や職場の求める諸能力と調整する。

③ コンサルテーション
家族、学校、同僚、地域生活、仕事、文化・政治・経済的状況などの様々な集団や環境を対象とする場合では、対象者本人の現有する諸能力でも対応できるように環境要件そのものを再構造化する。

④ ケースマネジメント
支援を提供する専門家やその他の人たちを対象とする場合には、提供される支援の内容が対象者本人のニーズに応え得るように調整する。

リハビリテーションカウンセリングにおける特徴的な課題

① 事業主の存在
障害者雇用の当事者は障害者と事業主との二者であり、両者の要求の調整の上で成立する。

したがってその障害者の要求を受け止めるだけでは不十分で、事業主の要求の実現をも加味し た意見の調整が必要になっている。

② コミュニケーションの障害をもつクライエントの存在
職業リハビリテーションでは、発達や認知の 障害をもった人たちが、サービスのユーザーとして多いこともあり、言語を媒介としたコミュニケーションに支援を要するクライエントでは、そのための方法論の検討が必要になる。

③ 障害者の意思の尊重や自己決定の実現
クライエント自身の意思決定や自己責任が改めて強調されるようになってきたことと関連して、障害者の意思を尊重し、自己決定を図るような関わり方とはどのようなものを言うのかを明らかにするコミュニケーションのあり方が問い直されている。

頻出論点

実際の出題としては1.2級でも下記の選択肢が繰り返し出題されている。

・障害を持つ人が人生における目標を定め、それを達成できるようにサポートする。

・障害を持つ人が平穏で、創造的で、活力と喜びに満ちた生活を送っていけるようにサポートする

・障害を持つ人が人生のさまざまな場面で、自分の資源を利用して問題を解決できるようになるのをサポートする。

・障害のある人それぞれの遺伝的、生物学的、心理・社会的独自性に価値を見出し、その人のニーズにあ わせたサービスを提供する。