このエントリーは、令和4年度(2022年度)キャリアコンサルタント試験及びキャリアコンサルティング技能検定試験の学科試験(以下単に「学科試験」と言います)で出題される可能性のある、育児介護休業法の改正点について解説しています。

育児・介護休業法改正の概要

令和3年6月に育児・介護休業法が改正され、下記の5項目が段階的に施行されることとなりました。

1 男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設 【令和4年10月1日施行】
2 育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け 【令和4年4月1日施行】
3 育児休業の分割取得 【令和4年10月1日施行】
4 育児休業の取得の状況の公表の義務付け 【令和5年4月1日施行】 
5 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和 【令和4年4月1日施行】

令和4年度に実施される学科試験では、上記の改正のうち、2.5が出題対象となります。

育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

育児休業の取得率は、女性の場合83.0%(令和元年度)まで上がってきました。

しかしながら、男性の育児休業取得率は、7.48%(令和元年度)とまだまだ低い状況です。

そのため、今回の改正の大きな意図としては、今後「男性も積極的に育児休業が取得できる社会づくり」と言えるのではないでしょうか。

そういった状況で、まずスタートするのが、令和4年4月1日に施行される「育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け」です。

ざっくりと

・育児休業を取得しやすい雇用環境整備
・妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

上記2つに分けてみていきましょう。

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の義務付け

まず「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の義務付け」です。

やはりまだまだ「周囲に迷惑をかける」という意識をお持ちの方も少なくありません。

このような職場風土だと、安心して育児休業を取得できませんよね。

この改正は、育児休業取得に後ろ向きな職場風土・意識を変えることも、目的の一つと言えます。

その具体的な内容としては、下記の3つです。

①新制度及び具体的な現行育児休業を取得しやすい等の雇用環境の整備の措置を事業主に義務付け

②具体的な内容は、研修、相談窓口設置等の複数の選択肢からいずれかを選択

③環境整備に当たっては、短期はもとより1か月以上の長期の休業の取得を希望する労働者が希望する期間を取得できるよう事業主が配慮することを指針において示す。

妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置を義務づけ

次が、「妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置を義務づけ」です。

こちらも「周囲に迷惑をかける」という意識を変えるために、事業主サイドからの育児休業取得を働きかけることを意図した改正と言えるかと思います。

改正の具体的な内容としては、下記の3つです。
①労働者又は配偶者が妊娠又は出産した旨等の申出をしたときに、当該労働者に対し新制度及び現行の育児休業制度等を周知するとともに、これらの制度の取得意向を確認するための措置を義務付け。

②周知の方法は、面談での制度説明、書面等による制度の情報提供等の複数の選択肢からいずれかを選択とする。

③取得意向の確認については、育児休業の取得を控えさせるような形での周知及び意向確認を認めないことを指針において示す。

有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

そして、有期雇用労働者の方の育児・介護休業取得要件も緩和されました。

これまで有期雇用労働者の育児休業取得には、下記の2つの要件があったんですね。

1.引き続き雇用された期間が1年以上
2.1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない

このうち、1.の要件が撤廃されます。なお、2.については撤廃されていませんので要注意です。
※ただし労使協定の締結により除外が可能。

女性の場合、男性に比べて有期雇用労働に従事しているケースも多いですが、こういった改正によって、有期雇用労働の女性も無期雇用の方と同じように育児介護休業が取得できるようになっていけば、女性の社会参画がさらに進むようになるかもしれませんね。

育児・介護そして治療の両立支援は、キャリアコンサルタント実務においても要チェックポイントです。しっかりと抑えておきましょう!