このエントリーでは、キャリアコンサルティング技能検定試験の面接ロールプレイ試験過去出題事例を用いて、キャリ魂塾の「見立て」の立て方を解説しています。
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理論を使い、事例から『面談前』に「見立て」を立てる
(出典:公認心理師必携テキスト第2版(福島哲夫監修 学研メディカル秀潤社)
あなたは、
1.何のために理論を学ぶのか、説明できますか?
2.その説明通りに、理論を使いこなせていますか?
この2つができていないと、中には
3.理論なんて役に立たない!「心」「気持ち」でクライエントに相対することが大切!
と頑なに理論を拒否し、結果として「行き当たりばったり」を正当化してしまう人までいたりします。
そして、これこそが諸富祥彦先生曰く、「来談者中心療法」が、アメリカで「効果のある心理療法リスト」から漏れた一つの理由でもあると考えられます。
キャリ魂塾では、臨床心理として基本的な考え方をベースに、事例紹介をいわゆる「ヒアリングシート」と捉えています。
そのため、2級キャリコン技能検定面接事例など、事例が入手できた段階で仮説(見立て)構築を行います。
その「仮説構築」のために、各種理論を使用し、「仮説検証」及び「介入検討」として、カウンセリングを行うのが、キャリ魂塾スタイルです。
つまり「面談」は「仮説(見立て)検証の場」であり、「見立て」(仮説)そのものは、「事例を読んだ時点で検討し、構築する」のがキャリ魂塾の見立ての立て方のファーストステップとなります。
第23回面接ロールプレイ出題事例:板垣 陽一さん
サンプルとして第23回2級キャリコン技能検定面接ロールプレイ出題事例から、「見立て」(仮説構築)を行います。
相談者:板垣 陽一
年齢:35 歳
家族:妻(30 歳)と同居。
学歴・職歴:四年制大学(経済学部)卒業後、不動産仲介会社の法人営業部に 12 年半勤務。現在は人事部採用教育課の課長。
【相談したいこと】
入社以来、営業一筋でやってきたが、3ヶ月前に管理職への昇進と同時に人事部に異動となった。課長になったことで張り切っていたが、仕事の内容だけでなく異動したばかりの部署での管理職ということに戸惑いを感じており、これから上手くやっていけるのか自信がなくなってきた。今後どうすればよいのか考えがまとまらず、相談したい。
(出典:キャリアコンサルティング協議会)
転機(トランジション)理論:シュロスバーグ
「3ヶ月前に管理職への昇進と同時に人事部に異動」を「転機(トランジション)」と捉え、4S点検を行います。
4S点検と「見立て」構築
どんな転機でも、それを見定め、点検し、受け止めるプロセスを通じて乗り越えることが可能と考え、転機に直面した際にこれを乗り切るために利用できる内的資源を下記の4つに分類し、点検を行う。
状況:Situation
自己:Self
周囲の支援:Support
戦略:Strategies
1.営業で培った経験が人事で活用できていない(self)
2.管理職という仕事に対する知識が不足している(self)
3.社内資源(上司・同僚)等に相談できていない可能性(support)
4.自信がなくなった=自己効力感の低下(self)(自己への認知の歪み)
5.今後どうして良いか考えがまとまらない(戦略欠如)(strategy)
組織内職業発達理論:シャイン
キャリア中期の危機(35~45 歳)が生じたと捉える。
【一般的課題】
・自分のキャリアの再評価を行い、現状維持か、キャリアを変えるかを決める
・自分のキャリアの抱負を、中年の転機の諸側面と対比させて評価する
・自分の生活全体において、仕事及び自分のキャリアがどれほど重要であるべきかを決める
・他者の助言者になりたいという、自分自身の欲求を満たす。
【特定課題】
・自分のキャリア・アンカーを知り、評価する
・現在を受け入れるか、別の未来を選ぶか明確な選択を行う
・行った選択をめぐって家族との新たな調整を達成する
組織内職業発達理論と「見立て」構築
1.自らのキャリア・アンカーが把握できていない(自己理解不足)
2.自らのキャリアの再評価ができていない(自己理解不足)
3.他者への助言者になりたいという自分自身の欲求が満たされていない(仕事理解不足)
4.現在を受け入れるか、別の未来を選ぶかの選択ができていない(自己理解不足)
(一般的)発達課題:ハヴィガースト
「発達課題とは、人生のそれぞれの時期に生ずる課題で、それを達成すればその人は幸福になり、次の発達段階の課題の達成も容易になるが、失敗した場合はその人は不幸になり、 社会から承認されず、次の発達段階の課題を成し遂げるのも困難となる課題」
発達課題とは何か、よくご存じない方も多いと思いますが、ここまで「個人の幸不幸感に影響する」とされている人生上の課題なんですね(ちなみに私は子どもがいませんが、大きなお世話です笑)。
・配偶者を選択する、結婚相手との生活を学習すること
・第一子を家族に加えること、子供の養育
・家庭の管理
・仕事に就くこと
・市民としての責任を負うこと、適した社会集団を選択すること
一般的発達理論と「見立て」構築
1.子どもがいないことが、「今後どうすればよいかわからない」ことに影響していないか。
2.家庭とのかかわり方に課題はないか。
面談前に構築した「見立て」を「面談で検証する」
いかがでしょうか。
理論をしっかりとマスターしていれば、「事例」を検討する中で、「見立て」(仮説)を構築することができます。
このように、面談『前』に見立てを構築し、その見立てに誤りがないか、自らが行おうとしている介入(キャリコン業界的には『今後の支援』)が正しいかを、傾聴により「確認・検証」する。
その「確認・検証」の過程でも、相互作用によりクライエントが変容していきます。
この変容が、カウンセラー主導にならないために、そして仮説を無理やりクライエントに当てはめてしまわないように、傾聴をしっかりと行い、検証をすることになります。
これがキャリ魂塾だけの「臨床心理に基づいたキャリアコンサルティング」です。
理論を使いこなそう
キャリアコンサルタント養成カリキュラムでは、傾聴偏重の指導になっており、「見立て」(仮説)構築のための理論的基礎がほとんど教えられておらず、「臨床心理」的に見れば行き当たりばったりの面談指導になってしまっているように感じます。
何のために、理論を学ぶのか。
試験に合格するためだけに嫌々丸暗記をするのは、「理論の重要性・必要性」が理解できていない、つまり「キャリアコンサルタントとしての職業理解不足」があるからです。
ぜひ、理論をしっかりとマスターして、相談者の「気持ち」をより理解する一つのツールとして使いこなして下さいね。
キャリ魂塾は、理論をベースに「学科・論述・面接」を指導しています。
キャリ魂塾のキャリアコンサルタント試験対策講座は、学科・論述・面接を通して、「理論の基礎をしっかりと学び、面接で活用する」ことをお伝えしています。
あなたがもし、「何のために理論を学ぶのか分からない、傾聴だけでいいのではないか」と考えているなら、ぜひキャリ魂塾に来てください。
美味しんぼの山岡さんではありませんが、理論を駆使した「心理学的に正しいキャリアコンサルティング」を体験頂けますから。