このエントリーでは、キャリ魂塾の国家資格キャリアコンサルタント論述模擬試験の講評を行っています。

※キャリ魂塾の実技(論述・面接)試験対策メソッドは、全て「キャリアコンサルティング協議会」を試験機関とする試験を想定しており、JCDA(日本キャリア開発協会)は一切考慮しておりません。

全体講評:クライエントの内的世界の想像不足

今回、特に危惧したのは下記の2点です。

①「新課長からきつく当たられる」などのクライエントの悩みを、「思い込み」と記述された方の多さ

②アセスメントに不信感を持ったクライエントに対して、あたかもアセスメントを絶対視するかのようなアプローチの多さ

特に①は、実務的に言えば一発アウトではないでしょうか。

ハラスメント、いじめを「思い込み」と捉えるのが「支援者」?

あなたが「学校で部活の先輩からキツく当たられて…その先輩は他の人とは一緒にお昼を誘ったりするのに、自分だけは誘われないし、自分にだけボール磨きなどを押し付けたりもするし、LINEを送っても返信がないんです」と相談した。

なのに、「それはあなたの思い込みですね。期待されているんだと思います」

このような支援者だったらどうでしょう?

また、このような人間関係を「コミュニケーションが上手くいっていない」=「先輩(模試では課長(上司))からの支援不足」と捉え、それを当の先輩に直接相談する、または先生や監督(模試では所長)に相談することを提案する。

ご自身がそのようなことを提案されたら、どうでしょうか。

ハラスメント、いじめを「思い込み」、つまり「先輩の期待に気づかないクライエントの理解が不足している」と考えている。

そのどこに寄り添いがあるのか。受容しているのか、内的世界への共感があるのか。

オウム返しのような小手先のテクニックよりも、もっと大切なものをしっかりと見つめていただければと思います。

アセスメントは万能でも絶対でもない

今回、アセスメントに不信感を抱いているクライエントも出題しました。

このクライエントに対しては、「別のアセスメントを提案」や、「アセスメントの結果への理解が足りない」など、アセスメントが正しいことを前提とした解答がほとんどでした。

いわゆる心理査定的なアセスメントは、あくまで一つの参考であり、絶対視するものではありません。

また、アセスメントに不信感があるクライエントに対して、別のアセスメントを提案したとして、素直に受け入れていただけるかは疑問です。

例えば、血液型占いを信じていない人に、星占いを薦めるようなアプローチで、ラポールが構築できるでしょうか。

クライエントの内的世界を想像する

これらの記述からは、何よりも大切であり、根本である「クライエントの内的世界の想像力」が感じられません。

50分という限られた時間ではありますが、可能な限りクライエントの内的世界を自らのことのように想像する、味わう。

クライエントの状況や心情を、これまで以上に「自分のこととして」考える訓練が必要ではないかと感じます。

漢字間違いの多さ

今回も、漢字の間違いが非常に多く見られました。

特に「適性」を「適正」と記述されている方が多いです。

また「相談」を「想談」と記述されるなど、普段「書く」ことに慣れていない現代社会人の漢字力が落ちているように感じます。

漢字間違いは、点数を大きく下げる可能性!

「適性」を「適正」と書く方は、通常、答案のすべてにおいて「適正」と書くことになります。

そうすると、1か所で1点減点としても、答案全体で5か所間違えていれば、5点の減点となってしまいます。

せっかくの35点が、30点です。絶対に避けましょう。

問2をパターンで書かない

問2について、同じパターンで書かれている受験生が散見されました。

問2は、パターンで解答できるものではありません。自分の頭で、自律して考えて書いてください。

キャリ魂塾の論述模擬試験は、本試験よりシビアな採点を行っています。

キャリ魂塾の論述模擬試験は、本試験よりもシビアな採点を行っています。

そのため、点数が10点以下となる方も珍しくありません。

これは、キャリ魂塾の論述採点が、まごうことなき「絶対評価」であり、一切の調整を行っていないためです。

誤字はもちろん、主語や述語の関係、助詞など、とにかく「読み手が分かりやすい文章」を書けているかまで、チェックしています。

読み手(=採点者)に分かりやすい文章を書く。

それが、何より大切な「寄り添い」と考えているからです。

採点者が、何枚も何十枚も採点している中で、読点(、)がなく、一文が長い文章。

主語がない、助詞の使い方が間違っている、修飾被修飾の関係が不明瞭…

このような文章を読んだとき、採点者はどう感じるでしょうか。

こういった「心配り」は、今批判を浴びている、「似非マナー」よりも、はるかに大事なことです。

ご了承いただけましたら幸いです。