男性は「説明的コミュニケーション」、女性は「共感的コミュニケーション」の文化と言われます。

とはいえ、共感が上手な男性もいれば、論理的な説明に長けた女性もいます。

そういう意味では、男性「脳」、女性「脳」といった分類には、意味がないとも言われます。

ただ、現実的に考えると、男性は基本的には「少年マンガ」を読んで育つことが多く、逆に女性は一般的に「少女マンガ」を読んで育つことが多いわけです。

なので「脳」ではなく、学習理論から、「思考(行動)パターン」を、少年マンガ的・少女マンガ的と分類することはできるのではないでしょうか。

少年マンガ的心理描写

一般的な少年マンガ的心理描写は、このように「細かな説明」を行います。

(引用:「魁!男塾」©宮下あきら 集英社)

この「背中で語る」というシーンですら、登場人物やナレーションなどで、その内面が詳細に語られることが多いわけですね。

続いて、セリフ回しのクドさでは定評のある、ワンピース。

とにかく登場人物が良く喋ります。

(引用:「ワンピース」©尾田栄一郎 集英社)

こちらは「HUNTER×HUNTER」や「幽遊白書」でおなじみの冨樫義博氏。

「H×H」では今や文学作品か、とツッコまれるほど、文字が増えていますが、昔から割とその傾向です。

(引用:「レベルE」©冨樫義博 集英社)

この「扉を開けて来客を迎えるシーン」は、下の「星の瞳のシルエット」と大違いですね。

少女マンガ的心理描写

私は姉がいましたので、やはり当時の絶対的王道少女マンガ雑誌と言えば「りぼん」です。

姉がいないうちに、隠れてよく読んだものですが、こちらは私に「ボブカット」という概念を初めて教えてくれた「星の瞳のシルエット」。

(引用:「星の瞳のシルエット」©柊あおい 集英社)

冨樫義博氏のマンガを見慣れている男性なら、こう言うでしょう。

「なんか話せよ」

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こちらは良く知りませんが、「天使なんかじゃない」。

(引用:「天使なんかじゃない」©柊あおい 集英社)

そしてご存じ「ときめきトゥナイト」。

真壁君が魔族という設定は余計だったんじゃないかな…

(引用:「ときめきトゥナイト」©池野恋 集英社)

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これらの画像からお分かりのように、「肝心なところでは『解釈を読者に委ねる』」つまり「察する」ことが少女マンガ的心理描写手法と言えます。

だから、「真壁俊は江藤蘭世に『キスして…いいかな…?』などとは訊ねない」。

少女マンガって、ラストシーンでも男女が黙って見つめ合っているような作品、解釈を読者に委ねているような作品が多いような印象があります(偏見)。

「僕の初恋をキミに捧ぐ」とかさ…

少年マンガ的恋愛マンガ:電影少女

この「生育環境」=「教育」が、男女のコミュニケーションの差異に影響を及ぼしている可能性は高く、例えば「ウィングマン」で人気を博した桂正和氏は、「少年マンガ」に「恋愛」を持ち込む際に、「少女マンガ」的な「登場人物の感情を読者の解釈に委ねる(つまり『察する』)」手法を採用せず、少年マンガの心理描写と少女マンガの恋愛描写を融合させた作品を生み出しました。

それが、30年ほど前に少年ジャンプで連載された「電影少女」という、少年マンガ的恋愛マンガです。

少年マンガ的恋愛マンガなので、心理的な描写はこうなります。

(引用:「電影少女」©桂正和 集英社)

こんなにきちんと説明してくれる女の子、まあいませんよね。

女性から関係を断つ場合、大抵は何も言わず、それこそ「理由?そんなこと察しなさいよ」と終わるのが普通ではないでしょうか。知らんけど。

(引用:「電影少女」©桂正和 集英社)

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まるで「誤解するな、これはこういう気持ちから出た行動なんだ」と諭すかのように、解釈・考察の余地が無いほど説明してくれています。

こういったコミュニケーションが「恋愛」だと誤解・刷り込まれてしまえば、男性から女性へのアプローチは上手く行かないことが増えてしまいますよね。

結果として、男性の不満や悩みは、「だったらそう言えばいいだろ(なぜ言わないんだ?)」となってしまい、一方女性の側からすれば、「なぜこの人はいちいち言わなければ分からないのか」となってしまうのではないでしょうか。

男性と女性の文化の違いをコミュニケーションに活用する

安易な、男性脳・女性脳という考え方に与するものではありませんが、育ってきた環境が違えば、価値観が否めないのは事実。

海外のマンガ事情は良く知りませんが、少なくとも日本の場合、

肝心なところは、「(誤解が生まれないよう)しっかりと説明されるもの」と無意識的に捉え、育ってきた社会・文化が「男性文化」。

それに対して

肝心なところを、「あなたの思い通りの解釈で構わないor言わなくても察するもの」と無意識的な配慮を促すことで育まれたのが「女性文化」

と考えることは可能かもしれません。

結果、男性は、女性に対して「察する」配慮が必要になることが多く、女性は男性に対して「簡潔に要点を説明する」行為が求められることが少なくありません。

こういった「学習理論」から、少年マンガを読んで育ったケース、少女マンガを読んで育ったケースとして、その違いを念頭にコミュニケーションを行うと、より親密な人間関係が形成できるかもしれませんね。