このエントリーは、キャリアコンサルタント学科試験やキャリアコンサルタント実務で重要になる、雇用保険法の改正ポイントについて解説しています。

雇用保険法の改正が重要な理由

下記の「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)の概要」で示されているように、今後の日本社会(国内雇用)の変化に対応すべく、雇用保険法の改正が目白押しとなっています。

キャリアコンサルタントの根拠法令である、職業能力開発促進法は、旧雇用対策法(現在は労働施策総合推進法)と相まって、と目的条文(第1条)にあるように、「職業(雇用)の安定」を目的とする法律です(現行のキャリアコンサルタント養成講習において、例えば「マンションオーナーとして不労所得を得たい」というような相談が全く想定されていないのはこのためです)。

そのため、求職者支援法でもある雇用保険法は労働法の中でも非常に重要な法律となります。しっかりと押さえておきましょう。

改正雇用保険法のは段階的に実施

改正された雇用保険法は、段階的に実施されています。

令和2年8月に被保険者期間の計算方法の改正が実施、さらに10月に給付制限期間に関する改正が実施されました。

直近の試験対策としてはまず、この2つの改正を押さえておきましょう。

被保険者期間の計算方法の改正

これまでは、「賃金支払基礎日数が11日以上ある月」を、被保険者期間1カ月として数えていました。この従来の数え方に加えて「賃金支払基礎時間が80時間以上ある月」についても、被保険者期間として計算することになりました。

パート・アルバイトなどの短時間労働者の場合、雇用保険の加入条件(週の所定労働時間20時間以上)は満たすものの、1カ月の出勤日数が少ないといったケースもあります。

このような働き方では、少し欠勤しただけで賃金支払基礎日数11日以上という条件が満たせないことがあるため、時間による基準が加えられたものです。

付制限期間に関する改正

これまで、基本手当を受給するには7日間の待期期間と原則3か月の制限期間(重責解雇又は正当な理由のない自己都合による退職)がありました。

このうち、正当な理由のない自己都合退職に関しては、制限期間が2カ月に短縮※されます。
※「5年間のうち2回まで」に限る。また、重責解雇や5年のうち2回の制限を超える自己都合退職については、これまでどおり3カ月の給付制限。

今後のキャリコン学科試験は、重要法改正が目白押し!

令和3年4月以降に実施される、国家資格キャリコン学科試験や、キャリコン技能検定学科試験は、重要な法改正が目白押しです。

最近の易化傾向を鑑みれば、改正論点ばかりが出題される可能性は高くはありませんが、実務的には非常に重要なポイントであるため、ある意味では試験合格よりも重要といってもいいかもしれません。

試験に不合格であっても、損害賠償請求されることはありませんが、実務では損害賠償請求になることがあるからです。

また、冒頭にお伝えしたように、雇用対策はキャリアコンサルタントにとって、ある意味では職業的命題の一つといえます。

必ず押さえておくようにしてくださいね。