さて、今日はキャリ魂塾メルマガから「解決志向」と「問題志向」の違いの解説です。




解決志向カウンセリングとは?

加藤さん加藤さん

「解決志向カウンセリングは、カウンセラー主導なのでしてはいけない」と養成校で指導されたのですが…
キャリ魂塾は解決志向重視、キャリアコンサルティング協議会でも解決志向傾向ということで、よくわかりません。

塾生の方から、こんなご質問を頂きました。

解決志向アプローチをしているキャリアコンサルタントは、まだまだ少数というか非常に少ないように思いますので、よくある疑問と言えるかもしれません。

よくあるということは、「教えた人が誤解している」し、大変恐縮ですが「誤解したまま教えている人が多い」ということです。

(キャリコン業界では)実践されている方が少数ということも、なかなか誤解が解けない原因かもしれません。

解決志向も問題志向も、ベースは「傾聴」

傾聴とは、あらゆる支援のベースであり、解決志向(問題解決)カウンセリングが傾聴をしていない、という話ではありません。

解決志向と問題志向は、ベクトルが違うだけで、どちらも傾聴をベースにしています。

解決志向は、「問題やその原因、改善すべき点」を追求するよりも、解決に役に立つ「リソース=資源」に焦点を当て、有効に活用することを重視している、というだけなんです。

昨日の勉強会でもお話しましたが、例えば

「死のうかどうか迷っています」というご相談があった。

「死のうかどうか迷っている」ということは、逆に言えば?

「生きようかどうか迷っている」ですよね。

つまり「死のうとしている」=「生きようとしている」。

なぜ「生きようとしている」?

「これ」が既にリソースであり(リソースがあるから、まだ死んでいない)、「これ」が私(支援者)には分かりません。

だから、自分自身の専門家であるクライエントに教えて貰う。これが「解決志向」です。

このリソースは、当然既に相談者に内在しているので、その探索支援を行うわけです。

解決志向は、原因にこだわらない

主訴は先ほどと同じ、「死のうかどうか迷っています」を、今度は原因志向で考えてみます。

誤解を恐れず大雑把に言えば、「なぜ死にたいと思うようになったのか」その「原因」を「取り除けば(解消すれば)」、クライエントは「生きる」と考えるのが「原因志向」です。

だから、面談が暗いことが多いわけですね。「死にたい」がスタートなんだから、当たり前っちゃ当たり前。

解決志向は、いわば「死にたい気持ち」を聴かないんですよ。

「生きたい気持ち(今まで死なずにいられたリソース)」を聴くんです。

それは表裏一体だから。

ついでに、私も原因にはあまり興味がありません。

だって、原因を話したくない人もいるから。

性犯罪の被害者だったら?

だから、私は原因を「聴かない・触れない」。

こんな風に、悩みの原因を話したくないことなんて山ほどあるし、それをラポールを作って「話してもらう」なんて、お互い負担(精神・時間・金銭)が大きいですよね。

私は、割とセンシティブなご相談でも、そこにあまり触れないことも結構あります。

そこまでは話して頂けたとしても、深掘りはできないかもしれないからです。

なので、私の場合、原因は「聴かずに」ラポールを構築するということになります。

元々私のカウンセラーキャリアが、母子家庭の相談員から始まっているというのも、こういったアプローチスタイルに影響があるかもしれませんね。

そうそう、これは割と自信がある予測ですが、「原因を話してもらうこと」を重視していると、いずれカウンセリングもAIに奪われます。

AIは、守秘義務を守るからです。

悪用したり、ハックするのは人間というだけで。

ビッグデータとして活用されるくらいは、まあ仕方ないでしょうし。

「カウンセラー主導カウンセリング」とは?

話が逸れましたが、冒頭の「カウンセラー主導カウンセリング」は、カウンセラーが、「誘導」つまり「方向付け」を行っているケースです。

例えば

「私は、結婚してもしなくてもどちらでもいいと思うけれど、やっぱり家に帰って、温かい料理があると、結婚して良かったって思うんじゃないかな」

これが、「誘導」です。

応答に、「あなたも結婚したほうがいい」という「方向付け」が、包含されていますよね。

言葉では、「どちらでもいい」と言いながら、本音では、「結婚したほうがいい」と誘導する。

このような面談も含めて、「カウンセラーが主体的に方向付けを行う」ものを、「カウンセラー主導」と言います。

なお下村英雄先生は、これを「リテンション」(引き止め)として、キャリアコンサルタントの「機能」として挙げ、否定していないことは、要チェック笑

(出典:「企業内キャリアコンサルティング研究のフロンティア」下村英雄 労働政策研究・研修機構)

解決志向とは、リソースを見つけ、どのように活用するかを一緒に考える傾聴ベースのアプローチ。

カウンセラー主導カウンセリングとは、クライエントを自分の思うように誘導する自分本位のアプローチ。

似てもいないし、全く異なるものです。

そうじゃなければ、キャリアコンサルティング協議会が「解決志向で行こう」なんてコラムを掲載するはずがないですよね。

「自律した判断」に基づいて、自分の好きなアプローチをする

そして、一人一人のキャリコン、カウンセラーのアプローチは「自律した判断」に基づいて、好きに、自由にすればよいのであなたが「原因志向」でも「解決志向」でも、どちらでも良いと思います。

私は、あなたに解決志向を押し付けないし、原因志向はやめて欲しいとも言いません。

合格したら、試験官はいません。

全て、あなたが自律的に判断し、あなたのクライエントが評価することだから。

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