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このエントリーでは、キャリアコンサルタント養成講習で手薄になりがちな、学生(大学生)の就職活動支援について、解説しています。

大学は生き残りをかけて「就活支援」に取り組んでいる

まず、あなたに質問です。

大学の数は、平成29年度と平成30年度と比較したとき

1.減った
2.増えた

さてどちらでしょう。

もちろん、子どもは減り続けています。

増える見込みは(今後、移民などの劇的な対策が講じられない限り)ありません。

常識で考えれば、当然1です。

しかし現実は、2です。

平成29年度と平成30年度を比較すると、大学は2校ではありますが、増えました。

(出典:学校基本調査-平成30年度結果の概要-)

偏差値で見たとき、世の中には偏差値75以上の大学もあれば、30台の大学もあります。

同じような偏差値帯の大学に複数合格したとき、親の立場ならどんな大学に行かせたいでしょうか。

教授が有名で教育熱心?

違いますよね。

多くの場合「就職に強い大学」です。

つまり大学は、子どもの数が減っていくにもかかわらず、競合が増えるという熾烈な競争の中で、大学の売りとなる「就職への強さ」を高めるために、カネ・ヒトという多くのリソースを投じて、文字通り「生き残りをかけて」、キャリアセンターの能力を高めようとしているんです。

養成講習ではほぼスルーされる「就活支援」

大学は生き残りをかけて、就活支援に力を入れています。

なのに、養成講習であなたは、大学生を想定した、エントリーシートの添削をしましたか?

大学生のための面接「対策」をしましたか?

おそらく、していません。

グループディスカッションでは、司会をするべきなのか?しないほうが良いのか?するならどう振る舞うことが求められている?

きっと、何も学んでいません。

元々、「キャリアコンサルティング実施のために必要な能力体系」には、「学生の就職活動支援」という具体的な項目はないからです。

また、以前にもお伝えしているように、ここでは「聴くだけ」の非指示的アプローチではなく、指導という指示的アプローチが必要なシーンです。

だって、「司会者としてどう振る舞うか、お悩みなんですね」なんてオウム返しだけで終わったら、親が怒鳴り込んできますからね。

大学のお客様は、学生であり、そのスポンサーである「親」です。

スポンサーである「親」をも納得させるアプローチ、関わり方が求められる場なんですね。

今のキャリアコンサルタント養成講習で学ぶ内容は、大学キャリアセンターのニーズと合致していない。

ハッキリ言えば、今のキャリアコンサルタント養成講習の内容では、大学キャリアセンターへ就職し、学んだことを役立てようとするのは、かなり難しいと思われます。

なぜか。

下記は、東京工業大学の学生支援センターキャリア支援部門紹介からの引用です。

学生支援センターキャリア支援部門では学内のあらゆる部署と連携をしながら、主に次の業務を行います。
1.就職関係の一般的な知識・ノウハウ・情報の提供
2.東京工業大学の就職情報収集・提供
3.全学的なガイダンス等の計画・実行
4.就職相談全般
5.新しい分野への就職アドバイス
6.系・学科・専攻では対応が難しい特殊ケースの就職相談
7.進路に迷っている方へのアドバイス など

(引用:東京工業大学HP

いかがでしょうか。

情報提供・アドバイス。

下記は、早稲田大学です。

低学年生に対しては学内のガイド役

学生が自立した社会人として世に出るために必要な素養や地力は、大学での教育・研究や課外活動など、本来的な学生生活の中で培われます。大学は学生が人間として成長する場であり、その期間は必ずしも職業選択だけを目的とする期間ではありません。入学後の最初の3年間(大学院の場合は1年間)は、自分の生き方や進路の方向性をしっかり見極める期間です。キャリアセンターでは入学時に導入・動機付けとして学内のあらゆる知的成長の場を学生に紹介することに重点をおき、自分の志向に適した活動を充分にできるようなサポートを行います。

就職活動を行う学生に対しては企業・採用等情報の提供役

就職活動を行う学生に対しては、学部3年(および修士1年)から、職業安定法33条の2「学校等の行う無料職業紹介事業」に則り、就職活動に必要な情報を提供します。しかし、個別の学生に個別の企業を斡旋することはいたしません。学生には学生生活で培った地力を充分に活用し、自立した独自の活動として就職活動(企業選択)をさせています。

(引用:早稲田大学キャリアセンターの基本的考え方

ガイド役、情報提供とあります。

これが今、大学がキャリアコンサルタントに求めていることです。

大学キャリセンでは、指示的アプローチ(アドバイス)が必要

「指示的アプローチ」つまり「アドバイス」(=指導と助言)ができる人材が求められているのが、大学キャリアセンターです。

大学が求めている人材が「指示的アプローチ」そして「情報提供」ができる人材なのに、養成講習が指導するのは「非指示的アプローチ」であり、学生の就活支援にあたってはほとんど社会人向けの支援を応用して下さい、という感じだったのではないでしょうか。

これでは、大学キャリアセンターへの就職は難しいですよね。

だって、先方の求める能力を有していないのですから。

もちろん、非指示的アプローチが全く不要という話ではありません。

しかし例えば、大手企業しか眼中になく、連戦連敗の学生。

何とか「大手に行きたい」と思っている。

そういった状況でただ寄り添うだけでなく、「ベンチャーにも目を向けてみてはどうか」とアドバイスできる。

そして、そのアドバイスにはしっかりとした知見と学生への愛情がある。

こういった人材が、大学キャリアセンターという場では求められているんですね。

一部の大学では、「キャリアカウンセラー」を大学キャリアセンター内で別枠で募集する動きもあるようですが、「カウンセラー」であれば、大学内に既にスクールカウンセラーがいることも少なくありません。

求められる領域に応じたアプローチができる。

これが、新世代キャリアコンサルタントの在り方です。