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このエントリーでは、平成30年度「公正な採用選考をめざして」を用いて、キャリアコンサルタント学科試験の解き方について、解説しています。

キャリアコンサルタント学科試験問題の解き方

最初に、キャリアコンサルタント学科試験問題を解くにあたって、もっとも重要な考え方をお伝えしておきます。

それは

「あなたの考えは聞いていない」

ということです。

大事なことなので、もう一度言います。

「あなたの考えは聞いていない」

これが「大前提」です。

この大前提をしっかりと意識して、学科試験問題にチャレンジして下さい。

公正な採用選考とは

キャリアコンサルタントにとって、公正な採用選考が行われることは非常に重要なポイントです。

なぜなら、どれだけクライエントを支援したとしても、例えば、採用する側(企業・団体・個人)が「東京都港区赤坂に住む人しか採用しない」と決めていたら、何の意味もないからです。

採用というシーンにおいて、もっとも重要なのはクライエントの能力や履歴書の書き方などではなく、「雇う側の公正な採用選考意識」です。

つまり、この「公正な採用選考を『めざして』」という言葉には、「公正な採用選考が行われていない」という現実が透けて見えるわけですね。

基本問題を「大前提」を意識して解く

では、基本的な問題です。

「あなたの考えは聞いていない」という、大前提を意識して解いてください。

平成30年度「公正な採用選考をめざして」によれば、下記のうち、誤っていると考えられるものはいくつあるか。

1.日本国憲法第22条は、基本的人権の一つとして、全ての人に「職業選択の自由」を保障している。
2.企業等の雇う側には、採用方針・採用基準・採否決定といった、「採用の自由」が認められている。
3.採用選考を行うに当たっては、何よりも「人を人としてみる」人間尊重の精神、すなわち応募者の基本的人権を尊重することが重要である。
4.企業等の雇う側は、応募者の適性・能力のみを基準として、採用選考を行うものとされている。

1.1つ
2.2つ
3.3つ
4.全て正しい

さて、いかがでしょうか。

改めて考えると、基本問題とは言え、勉強がしっかりと進んでいる人にとって、また本試験で出題されるとなると、なかなか難しい論点です。

問題文1の正誤ポイント

問題文1.を見たとき、多くの人は養成講習で憲法を学んでいないという課題があります。

憲法22条の正誤

まず「第22条」なのかどうか、これが正しくは23条であったり25条だったり…そんなひっかけ問題?と思ってしまうかもしれません。

しかし、キャリアコンサルタントは、「職業選択」に関する専門家です。

憲法第22条が「職業選択の自由」について述べていることは、出題されようがされまいが、しっかりと押さえておいてください。

むしろ、この憲法第22条こそが、国が定めたキャリアコンサルタントという「国家資格者」にとって、ある意味ではスタートラインです。

次に「憲法第22条」という記載は間違いがないと判断出来ても、勉強している方は逆に迷うかもしれません。

なぜなら、憲法第22条は、「職業選択の自由」だけではなく、「居住」「移転」の自由をも保障しているからです。

日本語の問題としてみたとき、誤りと考える人がいても仕方がない部分ではあります。

「全ての人」

最後に、「全ての人に」と問題文にはあります。

さて、外国人には、この「日本国憲法の保障する基本的人権(職業選択の自由)」は及ぶのでしょうか。

「憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべき」

とされています。

しかし、外国人の職業選択においては、在留資格などの制限があり、日本人と比較して「等しく及んでいる」とは言えません。

明らかに誤りですね。

出題の前提を考える

問題文1だけを読んだ場合、厳密に言えば、この選択肢1は、実は間違いとも言えます。

しかし、出題の前提である、問題文をもう一度読んで下さい。

平成30年度「公正な採用選考をめざして」によれば、というのが、この出題の前提です。

つまり、この問題文1は、平成30年度「公正な採用選考をめざして」によれば正解となります。

だからキャリ魂塾の講義では、口を酸っぱくして、何度も「問題をよく読んで下さい」とお伝えしているのです。

ちなみにキャリ魂塾では、講座の日時や会場の問い合わせをする人については、受講をお断りしています。

それは「書いてある」からです。

「読まない人」は「聴かない人」

何かの調査では、「説明書を読まない人が7割」と書いてありました。

説明書を読めば分かるのに、読まないから、コールセンターの人が忙しくなってしまうんですよね。

そして、読まない人は、聴かない人でもあります。

書いてあることは、伝えたいことだからです。

伝えたいことを読まない人が、「聴くこと」だけはできる、なんてことはありません。

読まない、聴かない、それでは合格はまだ遠い。

まずは「問題をしっかりと読む」ようにしてください。

問題文2の正誤ポイント

この、問題文2.については三菱樹脂事件(S48.12.12最大判)の判例に基づく、超メジャーな論点です。

最高裁の判断

最高裁判所は、「思想、信条を理由とする雇入れの拒否を直ちに民法上の不法行為とすることができない」と示して、高裁判決を覆して本件思想、信条の調査結果ゆえに雇入れを拒否しても「違法とすることができない」としました。

令和の現在で考えると、おかしな気がします。

思想・信条で採用を拒否なんて、していいの?となるかもしれません。

判例も時とともに変わりゆくわけですが、この判例も私が生まれる前の昭和48年の判例です。

今、同様の裁判が起これば、結果は変わるかもしれませんが、それまではこの判例が有効とされます。

つまり、問題文2は正しいとなります。

【参考】

問題文3の正誤ポイント

コチラに関しては、まず常識的に考えて下さい。

この問題文3.について、誤りと判断する方は、養成講習の修了証を返納しましょう。

その修了証は、間違えて発行されたものだと思います。

問題文4の正誤ポイント

実は、この問題文4.は実務的に考えてみると、非常に難しい論点です。

適性・能力のみで採用選考という言葉の意味

「応募者の適性・能力のみを基準として、採用選考を行う」のであれば、建設現場や警備業において、男性よりも体力的に劣る女性が採用される可能性が低くなります。

また、例えば「社長の息子で、彼が父親である社長に頼めば、営業成績の達成は容易」つまり『コネ』というのは、応募者の能力でしょうか。

コネ採用がもしダメなら、今流行のリファラル採用は「コネ」採用ですが、ダメでしょうか。

容姿は能力ですか?

容姿が能力なら、容姿の良し悪しを採用基準にしていいですか?

こういった問題が出てきます。

問題の前提に戻る

このように、迷うこともあります。

しかし、ここでも大前提に戻りましょう。

繰り返しますが、平成30年度「公正な採用選考をめざして」によれば、というのが、この出題の前提です。

平成30年度「公正な採用選考をめざして」によれば、この問題文の通りの記載がありますので、正解となります。

つまり、この問題では、全て正しいが正解となります。

「あなたの考えは聞いていない」をしっかりと意識し、「問題をよく読む」

キャリアコンサルタント学科試験で問われるのは、基本的に出典(根拠)のある問題です。

その逆が論述・面接ロールプレイ試験であり、例えば「キャリアコンサルタントとして、あなたが考える相談者の問題について述べよ」といった出題ですね。

受験生は、まずキャリアコンサルタント学科試験では、ほとんどすべての問題が「出典(根拠)」のある問題であり、その出典に基づいた解答が求められているということを念頭に、問題を解くようにして下さい。

平成31年度版 公正な採用選考をめざして