「治療と仕事の両立支援」のポイント

このエントリーでは、キャリアコンサルタント学科試験対策として、「治療と仕事の両立支援」の押さえておきたいポイントの解説をしています。

「治療と仕事の両立支援」のポイント
両立支援のための環境整備
1.事業者による基本方針等の表明と労働者への周知
2.研修等による両立支援に関する意識啓発
3.相談窓口等の明確化
4.両立支援に関する制度・体制等の整備

キャリコン学科試験予想問題:「治療と仕事の両立支援」

本エントリーを読み終えると、キャリコン学科試験で出題が予想される、下記のような「治療と仕事の両立支援」の問題が解けます。

「治療と仕事の両立支援」 予想問題 難易度:難
厚生労働省令和2年3月改定版「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」において述べられている、「両立支援のための環境整備」のうち、正しいものはいくつあるか。

1.事業者による基本方針等の表明と取引先への周知
2.自社ウェブサイトによる両立支援に関する調査
3.支援内容の明確化
4.両立支援に関する制度・体制等に関する委員会設置

「治療と仕事の両立支援」の重要論点

厚生労働省令和2年3月改定版「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」)において、重要な論点をご紹介しておきます。

両立支援を行う前の環境整備

両立支援を行う前の環境整備として、下記の4項目を押さえておいて下さい。

1.事業者による基本方針等の表明と労働者への周知
2.研修等による両立支援に関する意識啓発
3.相談窓口等の明確化
4.両立支援に関する制度・体制等の整備

つまり、予想問題の正答は「正しいものはない」となります。

治療と仕事の両立支援を行うに当たっての留意事項

その他、治療と仕事の両立支援を行うにあたっての留意事項として、下記の7項目があります。

少し分量がありますが、内容自体はそれほど難しくないので、目を通しておくようにして下さい。

安全と健康の確保

治療と仕事の両立支援に際しては、就労によって、疾病の増悪、再発や労働災害が生じないよう、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行うことが就業の前提となる。従って、仕事の繁忙等を理由に必要な就業上の措置や配慮を行わないことがあってはならないこと。

労働者本人による取組

治療と仕事の両立に当たっては、疾病を抱える労働者本人が、主治医の指示等に基づき、治療を受けること、服薬すること、適切な生活習慣を守ること等、治療や疾病の増悪防止について適切に取り組むことが重要であること。

労働者本人の申出

治療と仕事の両立支援は、私傷病である疾病に関わるものであることから、労働者本人から支援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことが基本となること。なお、本人からの申出が円滑に行われるよう、事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や情報の取扱方法の明確化など、申出が行いやすい環境を整備することも重要であること。

治療と仕事の両立支援の特徴を踏まえた対応

治療と仕事の両立支援の対象者は、入院や通院、療養のための時間の確保等が必要になるだけでなく、疾病の症状や治療の副作用、障害等によって、労働者自身の業務遂行能力が一時的に低下する場合などがある。
このため、育児や介護と仕事の両立支援と異なり、時間的制約に対する配慮だけでなく、労働者本人の健康状態や業務遂行能力も踏まえた就業上の措置等が必要となること。

個別事例の特性に応じた配慮

症状や治療方法などは個人ごとに大きく異なるため、個人ごとに取るべき対応やその時期等は異なるものであり、個別事例の特性に応じた配慮が必要であること。

対象者、対応方法の明確化

事業場の状況に応じて、事業場内ルールを労使の理解を得て制定するなど、治療と仕事の両立支援の対象者、対応方法等を明確にしておくことが必要であること。

個人情報の保護

治療と仕事の両立支援を行うためには、症状、治療の状況等の疾病に関する情報が必要となるが、これらの情報は機微な個人情報であることから、労働安全衛生法に基づく健康診断において把握した場合を除いては、事業者が本人の同意なく取得してはならないこと。
また、健康診断又は本人からの申出により事業者が把握した健康情報については、取り扱う者の範囲や第三者への漏洩の防止も含めた適切な情報管理体制の整備が必要であること。

新規論点は、不安になっても深入りしない。

下記エントリーでも、ガイドラインについてご紹介していますが、やはり新規論点は不安になる受験生も多いのではないでしょうか。

当然、全ての出題について網羅することは非常に難しいため、「見たことがない問題があって当たり前」という気持ちで取り組むことが重要です。

全ての過去出題論点を押さえた方は別として、今から「ガイドラインを全て押さえよう」と思わず、このブログでご紹介した論点のみ押さえておくようにお願いします。

参考:厚生労働省令和2年3月改定版「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」

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